プロが教える! 電子申請導入のポイント

第15回
失業保険の受給資格に満たない場合の手続き
転職や転籍をされた社員の方々へ労務担当者ができる対応とは

  • #雇用保険
  • #ハローワーク
  • #健康保険組合
  • #離職票
  • #期間等証明

公開日:2021年8月31日

ここがポイント!

  • 転籍後の会社で被保険者期間が失業保険受給要件に満たない場合、転籍前の会社の被保険者期間を足せる
  • 転籍前の会社は要注意。被保険者資格喪失原因によって、喪失後に申請できる手続きが異なる

社会保険労務士法人アールワンの西嶋です。

転職や転籍をされた社員の方々が、失業保険の受給資格を満たさない場合の対応方法をご説明します。
今回のコラムは「転籍後」について詳しくお伝えします。

転職とは異なり、転籍は転籍前の会社が注意しなければならない手続きがあります。

転籍というのは頻繁に発生する資格喪失理由ではありませんが、いざ発生した場合、慌てずこのコラムのことを思い出していただけると幸いです。

1. 転籍後の会社で加入期間12ヶ月に満たず退職する場合

転籍後の会社で1年以上在籍し、退職する場合、加入期間が12ヶ月以上あるので転籍後の会社で
雇用保険 資格喪失届(離職票)の申請手続きのみを行えば問題ありません。

しかし転籍後の会社で、1年を経たず退職となった場合、失業給付の受給に必要な被保険者期間を満たすことができません。
そのため、退職者は失業給付を受給できないのでしょうか?そのようなことはありません。
転籍前の会社での被保険者期間も足してカウントすることができます。

退職者より「失業給付の受給のために離職票が必要」と連絡を受けた転籍後の会社は、転籍前の会社へも連絡するようにお伝えください
退職者より連絡を受けた転籍前の会社は、すでに提出している雇用保険の喪失原因ごとに異なった手続きを行う必要がありますのでご注意ください。

以下、例を挙げてご説明します。
A社(転籍前の会社)、B社(転籍後の会社)とします。

A社が行う手続き

喪失原因「1」の場合 …… 雇用保険被保険者資格喪失届提出後の期間等証明票交付の申請
喪失原因「2」の場合 …… 雇用保険被保険者資格喪失届提出後の離職票交付の申請

※ 喪失原因の詳細は、本コラム内「2. 転籍前の会社で雇用保険 資格喪失届する場合の喪失原因は?」を参照ください。

B社が行う手続き

雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)

よって、退職者が失業給付の申請をハローワークで行う際、必要な書類は以下2パターンがあります。
①離職票(B社)+期間等証明(A社)
②離職票(B社)+離職票(A社)

ここで、転籍前の会社が気を付けないといけない落とし穴をお教えします。

喪失原因「1」の場合で「雇用保険被保険者資格喪失届提出後の離職票交付」の申請を行うと返戻となります。
理由は、喪失原因「1」の場合、離職票の発行ができないためです。

<失業給付の受給要件のおさらい>
離職日以前2年間に12ヶ月以上の被保険者期間があること。(会社都合退職の場合、6ヶ月以上)

賃金支払基礎となった日数が11日以上ある月、または賃金支払基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1ヶ月としてカウントします。

<豆知識>
育児休業給付金や介護休業給付金の受給資格が12ヶ月満たせない場合も、同様の手順で対応が可能です。

<豆知識>
転職し、在籍している会社で受給資格が12ヶ月満たせない場合も、転職前の会社での被保険者期間も足してカウントすることが可能です。
A社(転職前の会社)、B社(在籍している会社)
A社が行う手続き:雇用保険被保険者資格喪失届提出後の離職票交付の申請
B社が行う手続き:雇用保険被保険者資格喪失届(離職票交付あり)

2. 転籍前の会社で雇用保険 資格喪失届を提出する場合の喪失原因は?

通常、雇用保険 資格喪失届の喪失原因は退職理由によって3つに分かれています。

喪失原因1:死亡、在籍出向、出向元への復帰、その他離職以外の理由(転籍など)
喪失原因2:自己都合での退職、契約期間満了、懲戒解雇(自己の責めに帰す重大な理由による解雇)など
喪失原因3:会社の倒産、整理解雇、退職勧奨に合意など

転籍する社員に向けた資格喪失届を行う際の注意点は、喪失原因の選択です。

  • 退職金や年次有給休暇など転籍前の事業所の勤続年数を継続するような場合・・・喪失原因「1」
  • 退職金や年次有給休暇を一旦清算し転籍するような場合・・・喪失原因「2」

ここで、転籍前の会社が気を付けないといけない落とし穴をお教えいたします。

通常は第1章で挙げた例の通り、すでに手続きが済んでいる資格喪失届の喪失原因に従い申請しますが、転籍後の会社でどうしても離職票を出せない等の状況もあります。

その場合、喪失原因に従って期間等証明を申請するのではなく、「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」の手続きを行い、改めて離職票の申請を行っていただく場合もあります。

3. 従前会社で電子申請を行う場合、添付不要な書類がある

以下手続きを行う際、「雇用保険被保険者資格喪失確認通知書(事業主通知用)」の添付は不要です

  • 雇用保険被保険者資格喪失届提出後の期間等証明票交付の申請
  • 雇用保険被保険者資格喪失届提出後の離職票交付の申請

※ 紙申請の場合は添付が必要。

4. まとめ

退職された方の状況に応じて申請手続きが異なるので確認した上で申請を行いましょう。

転職や転籍された方が今所属している会社の失業保険の受給資格を満たさない場合でも、
第1章でお伝えした通り、受給資格が適応される可能性がありますので退職されるまたは、された方にアドバイスしてみてはいかがでしょうか。

また、電子申請で行う申請内容は基本的には紙申請と同じです。普段、紙申請で手続きを行っている方が使用すれば、電子申請の
メリットを最大限活かすことが可能です。是非導入を検討ください。

社会保険労務士法人アールワン 様
東京都千代田区麹町1-3 ニッセイ半蔵門ビル3F
TEL 03-5215-1361 / FAX 03-5215-1381
契約社数約140社(2020年4月時点)
スタッフ数12名
ホームページ: https://www.office-r1.jp/

導入などに関するご相談を
無料でお受けしています。

お問い合わせはこちら

お電話でのお問い合わせ

受付時間:平日 9:00〜17:00
株式会社ユー・エス・イー Charlotte(シャーロット)推進室

総務省推進のASPIC「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」を取得しています。
認定年月日:2021年2月10日  認定番号:第0245-2102号

デジタル庁 e-Gov最終確認試験合格
デジタル庁の最終確認試験は、民間事業者が開発したソフトウェアを使用してe-Gov電子申請サービスが正常動作確認することを目的としております。民間事業者が開発したソフトウェアの正常動作の確認を目的とするものではありません。

「Charlotte」の開発会社である株式会社ユー・エス・イーは社会保険システム連絡協議会の幹事会社です。
「社会保険システム連絡協議会」とは、総務省行政管理局及び厚生労働省等と、社会保険・労働保険関係手続きの電子申請が可能なソフトウェアを開発・販売・サポートする社会保険システム業界との窓口として、相互の事務連絡、情報交換及び協議等の円滑化を図り、社会保険行政の円滑な執行に資することを目的とした団体です。

「Charlotte」の開発会社である株式会社ユー・エス・イーは税務システム連絡協議会の加盟会社です。
「税務システム連絡協議会」は、税務・会計に関するシステム・ソフトウェアに携わる企業を対象として作られた、税務行政の効率化・省力化とともに納税者の利便性の向上を図り、税務行政のICT化に寄与し、適正な申告納税制度の確立に努めることを目的とした集まりです。1994年に設立され、2022年3月末時点において、税務及び財務関連システムを開発・販売・サポートとする企業33社が加盟しています。

※「Charlotte」は株式会社ユー・エス・イーの登録商標です。(登録商標第5980282号)
※ 本ウェブサイトに掲載されている各社名あるいは各製品名は、各社の登録商標または商標です。

お問い合わせお問い合わせ
資料ダウンロ資料ダウンロ

動画を見る 閉じる
×