ここがポイント!
- 40歳以降、年齢ごとに発生する手続きがある
- 60歳で雇用条件に変更がある場合、発生する手続きがある
- 退職された従業員から「60歳到達時等賃金月額証明書」を求められる場合がある
社会保険労務士法人アールワンの西嶋です。
会社では、従業員の方が特定の年齢をむかえたタイミングで、社会保険の手続きや給与計算の変更が生じます。
それぞれ細かい点で、対応が異なってきますので注意が必要です。
今回は、特定の年齢ごとに生じる手続きなどの注意点についてお伝えします。
1. 年齢ごとに発生する手続きとは?
具体的には「40歳」「60歳」「65歳」「70歳」「75歳」になった時点で、変更や手続きが生じます。
※ 雇用保険、社会保険(健康保険、厚生年金)に加入している方を対象としています。
2. 会社が行う主な手続きについて
60歳の手続き
①60歳到達時等賃金月額証明書の申請
60歳に到達した際に所属していた会社で手続きを行う必要があります。
定年再雇用により、60歳以降の雇用条件が変更となり、賃金が60歳到達時の75%未満に低下した場合
高年齢雇用継続給付金の申請が可能となります(雇用保険の被保険者期間が通算で5年以上あること)。
②社会保険の同日得喪手続き(健康保険・厚生年金資格喪失届・資格取得届)
60歳の定年後に嘱託社員として同じ会社に再雇用され、報酬に変更(1等級でも下がれば)があった場合に申請が可能です。
一旦、定年退職があったとして喪失届の提出を行い、新たな雇用条件を締結し、資格取得届の提出を行います。
※ また、60歳以後、嘱託契約の契約更新の度に報酬の変更がある場合、同日得喪の手続きが可能です。
※ 申請の際、就業規則の写し(定年の定めの箇所)、雇用契約書の写しなどが必要です。
70歳の手続き(70歳到達届)
①厚生年金資格喪失届の申請
厚生年金保険に加入する従業員が、在職中に 70 歳に到達し、70 歳到達日(誕生日の前日)以降も、継続して同じ会社に雇用される場合、行う手続きとなります。
②70歳被用者該当届の申請
70歳以上となると厚生年金の被保険者ではなくなるため、保険料の徴収は行われませんが、就業され、報酬を受け取るのであれば被用者とされ、その報酬に応じて年金受給額の調整が行われます。
※ ①と②ですが、70歳以降、報酬の変更が発生しないのであれば、手続き申請は不要です(報酬の変更がある場合、届出が必要)。届出省略となり、会社に決定通知書が送付されてきます。
※ また、70歳以降被用者となった場合でも算定基礎届・月額変更届、賞与支払届の対象となった場合は届出が必要です。
75歳の手続き
①健康保険資格喪失届の申請
75歳に到達すると、健康保険の資格を喪失し、後期高齢者医療制度へ移行するため、資格喪失の届出が必要です。
※ 被扶養者の方が75歳の到達した場合は健康保険被扶養者異動届の申請が必要です。
3. 実務上でのお話
年齢ごとに気を付けなければならない保険料控除や手続きについては、人事管理ツールのソフトや給与計算ソフトを利用していれば、対象の従業員の方が一定の年齢をむかえる際、通知してくれる機能があり、給与計算の際に保険料控除を漏らしてしまうことや、手続き申請を忘れてしまうことは多くはないかもしれません。
ただ、その中でも「60歳到達時等賃金月額証明書」の手続きは、従業員の報酬が60歳以後(定年再雇用などで)下がらず、高年齢雇用継続給付金の対象とならない場合(賃金が75%未満に低下しない)、手続き申請を行わない場合があります。
しかし、その方が転職をし、転職先の会社で報酬が下がった場合、高年齢雇用継続給付金の申請対象となることがあります。
その場合、「60歳到達時等賃金月額証明書」の申請手続きは、60歳到達時に在籍していた会社が行うことになりますので、対象の従業員の方の報酬が下がらない場合でも、念のため、手続き申請を行っておくのが良いでしょう。
後になって、退職された従業員から「60歳到達時等賃金月額証明書」を依頼されるケースが意外とあります。実際に、こんなご質問をいただいたことがあります。
Q:60歳到達賃金証明書ですが、60歳定年の方がいます。
その方が4/10生まれで、4/9が定年退職日になります。
4/9に資格喪失届を提出するのですが、60歳到達賃金証明はこの場合、「提出できない」のか「資格喪失と一緒に提出する」のかどちらになるのでしょうか?
答えは、提出は可能です。また、資格喪失後でも提出が可能です。
当社でも退職後(雇用保険喪失後)転職先で高年齢雇用継続給付金の申請ができる、申請できる可能性があるということで手続き依頼を受けることがあります。
まとめ
特定の年齢に到達するタイミングで生じる給与計算の変更や手続きについては、把握して整理しておくことが大切です。
現在、特定の年齢で生じる手続きはすべて電子申請で対応が可能です。
事前に整理をしておけば、Charlotte(シャーロット)の予約申請機能を利用し、事前に申請処理を済ませることも可能です。
会社が行う手続きに関しては、電子申請で対応することを推奨します。
「Charlotte(シャーロット)」とは?
「Charlotte」は、人事給与システムのデータを活かし、幅広い電子申請(143手続き)に対応。26の人事給与系システムとの連携実績があり、複数のソフトを介さず1つのシステムで行えるSaaS型クラウドサービスです。
●社会保険、雇用保険、労働保険の電子申請 ●36協定や就業規則変更などの労使手続き ●健康保険組合に向けた手続き ●労務担当者が対応する税申告「e-Tax」、「eLTAX」に関する申告
さらにオプションとの組み合わせで公文書や離職票、支払い決定通知書を従業員に自動で届けるサービスなど、労務DXの実現により労務ご担当者様の業務負担を軽減します。
サービス、費用の詳細やデモンストレーション、無料トライアルなど、当サイトよりお気軽にお問い合わせください。
総務省推進のASPIC「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」を取得しています。
認定年月日:2021年2月10日 認定番号:第0245-2102号
デジタル庁 e-Gov最終確認試験合格
デジタル庁の最終確認試験は、民間事業者が開発したソフトウェアを使用してe-Gov電子申請サービスが正常動作確認することを目的としております。民間事業者が開発したソフトウェアの正常動作の確認を目的とするものではありません。
「Charlotte」の開発会社である株式会社ユー・エス・イーは一般社団法人 人事労務システム協議会の会員企業です。
「一般社団法人 人事労務システム協議会」は、社会保険、労働手続、給与業務、勤怠、源泉徴収所得税・個人住民税(特別徴収)など人事労務の問題解決を推進することを目的とする団体です。行政とHRサービス事業者のつながりや事業者間の協働環境を構築し、相互の事務連絡、情報交換や協議等の円滑化を目指して活動しています。
「Charlotte」の開発会社である株式会社ユー・エス・イーは税務システム連絡協議会の加盟会社です。
「税務システム連絡協議会」は、税務・会計に関するシステム・ソフトウェアに携わる企業を対象として作られた、税務行政の効率化・省力化とともに納税者の利便性の向上を図り、税務行政のICT化に寄与し、適正な申告納税制度の確立に努めることを目的とした集まりです。1994年に設立され、2022年3月末時点において、税務及び財務関連システムを開発・販売・サポートとする企業33社が加盟しています。
※「Charlotte」は株式会社ユー・エス・イーの登録商標です。(登録商標第5980282号)
※ 本ウェブサイトに掲載されている各社名あるいは各製品名は、各社の登録商標または商標です。