プロが教える! 電子申請導入のポイント
第20回
就業規則の作成・変更の際は届出が必要です。
「本社一括届出」の運用も検討してみましょう。
- #労使協定
- #労働基準監督署
- #本社一括届出
- #労働保険
ここがポイント!
- 常時雇用する労働者が10名以上の場合、就業規則の届出義務発生
- 就業規則は、労働者に周知して効力が発生
- Charlotteなら、今まで運用していた事業場ごとの届出でも事業場が多ければ多いほど就業規則の届出が楽
社会保険労務士法人アールワンの西嶋です。
「就業規則」と聞くと会社の法律といった堅苦しいイメージを持たれる方もいるかもしれません。
ですが、従業員とのトラブル防止や助成金の他にも従業員の働きやすい環境作りや業務生産性を向上させ、会社の成長のためにも会社と従業員が一緒に働いていく上で、非常に大切なものです。
また、就業規則は作成して終わりではありません。状況を見ながら届出を行った就業規則の見直しをしていく必要があります。
更に、就業規則は一部の社会保険手続き申請時に添付必須となっています。
このように就業規則は年間を通して触れていくものになっています。
今回は就業規則の届出と就業規則にまつわる申請業務の効率化についてお伝えいたします。
目次
- 1. 就業規則とは?
- 2. 就業規則の届出には何が必要か?
- 3. 就業規則の作成・変更する場合の注意点
- 4. 就業規則はどこへ届出するのか?
- 5.電子申請が可能な「本社一括届出」とは?
1. 就業規則とは?
就業規則とは、会社と労働者が仕事をしていく上で守っていかなければならないルールです。
※ 常時雇用する労働者が10名以上となった場合、就業規則の作成と届出義務が発生します。
作成・届出義務を怠ると30万円以下の罰金となるのでご注意ください。
就業規則の作成は会社によって様々です。
①就業規則本則
②賃金規程
③育児・介護休業規程
④通勤車両管理規程
⑤退職金規程
⑥出張旅費規程
⑦テレワーク、在宅勤務規程など
※ ①~③は最低限作成しておく必要がありますが、④以降については、作成するかは会社の状況に応じての判断となります。
会社によっては、契約社員、パート・アルバイト向けの就業規則を作成する場合もあります。
就業規則のメリット
- 明文化することで働く上でのルールが明確になる。
- 会社に合ったルール(フレックスタイム制やテレワーク・在宅勤務など)を定めることで、柔軟な働き方を実現できる。
- 助成金の申請が可能となる。(キャリアアップ助成金や正社員転換に関するルールの定めなどが必要)
2. 就業規則の届出には何が必要か?
就業規則の届出には、以下3点が必要です。
-
- 就業規則(変更)届
※ 事業主の押印が必要 - 作成・変更した就業規則
- 労働者代表(労働組合代表)の意見書
※労働者代表の署名・押印は廃止(令和3年4月から)
- 就業規則(変更)届
上記3点を2部用意し、各事業場を管轄する労働基準監督署へ届出を行います。
1部は労働基準監督署で受付印を押印後、返送してもらい、事業場の控えとします。
就業規則作成・変更の流れ
①規則の作成・変更⇒②労働者代表(組合代表)から意見を聞く⇒③意見書を作成⇒④就業規則修正(必要な場合)⇒⑤就業規則の届出
就業規則は作成したら終わりではありません。
法律の改正、会社状況、社会情勢に応じて、自社の規則がそれに合っているのか確認を行い、変更していく必要があります。
3.就業規則の作成・変更する場合の注意点
就業規則の作成・変更を行う場合、ポイントになる部分がいくつかあります。
①マイナンバー取り扱いについての定めがあるか
→従業員のマイナンバーは、税金や社会保険関係の手続き以外で使用しないことまた、限られた者しか扱わないことが定められているか
②ハラスメント(セクハラ、パワハラ)についての定めがあるか
→ハラスメントの定義及び相談窓口についての定めがあるか
→業務に関する投稿禁止を定めているか
④健康診断の定めがあるか
→通常の健康診断で、再検査になった際の再受診及び会社への報告についての定めがあるか
⑤最新の法改正、会社の要望に沿った内容になっているか
→法改正の内容が反映されているか(従業員が働きやすいルールの追加や有給休暇の前倒し付与など)
※上記以外にも休職期間が適正であるか、定年再雇用の定めがあるか等、確認を行います。
4. 就業規則はどこへ届出するのか?
就業規則の作成・変更する場合、事業場ごとに管轄の労働基準監督署へ届出が必要です。
届出の方法は2種類あります。
①窓口申請
②電子申請(単一事業場届出か本社一括届出)
就業規則は、労働基準監督署に届出を行ってから効力が発生するのではなく、労働者に周知されてから効力が発生しますのでご注意ください。
※ 届出については、規則の施行日前や施行日後でも問題はありません。
電子申請の場合
◆e-Govの場合◆
令和3年4月から電子申請対応となりました。
◆Charlotte(シャーロット)の場合◆
令和4年2月から電子申請対応となりました。
就業規則を届出できるだけではなく、
離職票など、一部の社会保険を申請する際、都度、就業規則を添付しなければならない作業をCharlotteなら省略できます。
※事前にCharlotteの独自機能「自動添付機能」の設定が必要となります。
今年から当社でも実際に「Charlotte 36plus」を利用し、電子申請を行っていきます。
実際に利用してみた感想を社労士コラムで発信していければと思います。
詳細は以下からご確認ください。
Charlotte 36plus
5. 電子申請が可能な「本社一括届出」とは?
36協定同様、各事業場単位の届出を一括して本社が届出することが可能となっています。
本社一括届出の条件
本社と各事業場の就業規則の内容が同一であること。
電子申請手順
<単一事業場の届出>
①申請画面にて、就業規則(変更)届と意見書の入力
②作成・変更した就業規則を添付して届出
<本社一括届出>
①【就業規則(本社一括)】一括届出事業場一覧作成ツールをダウンロード
②一括届出事業場一覧作成ツールに各事業場情報(労働者数、業務内容など)を入力し、CSVファイルを作成
③申請画面にて、就業規則(変更)届(本社情報)の内容を入力
④作成・変更した就業規則、各事業場の意見書、CSVファイルを添付して届出
※ 電子申請<単一事業場、本社一括届出>は電子証明書の添付は不要です。
本社一括届出を行った感想として、各事業場情報を入力したCSVファイルさえ作成できれば、届出は難しくありません。
(36協定の一括届出より入力が簡易となっています)
また、紙で届出を行う場合、就業規則を2部用意して、各事業場を管轄する労働基準監督署へ郵送または持ち込みを
行う必要があるため、本社一括届出を行うことで、届出にかかる時間と労力の削減が可能です。
本社一括の届出は紙で行うことも可能ですが、作成・変更があった事業場全ての規則一式と意見書を用意する必要がありますので、電子申請での届出を推奨します。
まとめ
就業規則は、会社と労働者にとって非常に大切なものです。
作成・変更を行うことで労務トラブルの防止、助成金申請が可能になる多様な働きの実現など多くのメリットがあります。一般的に出回っている就業規則ではなく、常に自社の状況と照らし合わせて、会社と労働者が協力して業務を行っていけるような内容としていきましょう。
その際は届出も忘れずにお願いいたします。
東京都千代田区麹町1-3 ニッセイ半蔵門ビル3F
TEL 03-5215-1361 / FAX 03-5215-1381
契約社数約140社(2020年4月時点)
スタッフ数12名
ホームページ: https://www.office-r1.jp/