ここがポイント!
- 2022年は雇用保険料率が大幅にアップ
- 概算保険料の算出は?
- 電子申請で申告を行う場合の注意点
社会保険労務士法人アールワンの西嶋です。
間もなく労働保険の年度更新の時期を迎えます。
2022年は期の途中に雇用保険料率の改定があるため、概算保険料の算出方法が例年と異なります。
今回は労働保険年度更新についてお伝えします。
1. 2022年は期の途中である10月に雇用保険料率がアップします
料率改定がある場合、通常4月から改定されることがほとんどでしたが、2022年は10月に行われます。
コロナ関連の助成金(雇用調整助成金など)の申請により、雇用保険の財源不足が改定の要因です。
<現行>
事業の種類 | ① 労働者負担 | ② 事業主負担 | 雇用保険料率(①+②) |
---|---|---|---|
一般の事業 | 3/1000 | 6.5/1000 | 9.5/1000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 4/1000 | 7.5/1000 | 11.5/1000 |
建築の事業 | 4/1000 | 8.5/1000 | 12.5/1000 |
<2022年(令和4年)10月から>
事業の種類 | ① 労働者負担 | ② 事業主負担 | 雇用保険料率(①+②) |
---|---|---|---|
一般の事業 | 5/1000 | 8.5/1000 | 13.5/1000 |
農林水産・清酒製造の事業 | 6/1000 | 9.5/1000 | 15.5/1000 |
建築の事業 | 6/1000 | 10.5/1000 | 16.5/1000 |
2022年の料率改定は、近年稀に見る大幅アップとなります。(労働者と事業主の負担増)
2. 概算保険料の算出方法は?
<保険料算出方法> ※ 一般の事業の場合
- 2022年4月1日~2022年9月30日の賃金総額(見込み) ×9.5/1000にて保険料算出
- 2022年10月1日~2023年3月31日の賃金総額(見込み)×13.5/1000にて保険料算出
※ 賃金見込み額は、前年度に確定した賃金額を基に今年度の概算保険料を算出し申告・納付するのが一般的です。
しかし、前年度に確定した賃金額が基の概算保険料を申告・納付しないといけないわけではありません。
概算保険料は任意に決定することができます。
3. 申告を行う際の注意点(概算保険料申告欄)
①前年度に確定した保険料算定基礎額を入力する
②労災保険・雇用保険の合算料率は入力しない
③労災保険料率を入力する
④雇用保険料率は入力しない
⑤労災保険分、雇用保険分の概算保険料を直接入力する
【注意点】例年と料率の入力仕様が異なっています
ゼロの省略はできず、桁数を合わせる必要があります。正しく入力されていない場合、返戻となります。
例:労災保険料率が3/1000の場合、申告書に記載されている通り「3.00」と入力してください。
※確定保険料の労災保険、雇用保険料率を入力する場合も同様です。
2022年の申告の際は、概算保険料欄に上記のように記載・入力を行います。
2023年の年度更新の際は、確定保険料は2022年度の概算保険料申告欄と同じ記載方法での申告が必要です。
年度更新の概要について詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
4. 保険料負担について
2022年の料率改定で驚いたのは、保険料負担が増加することです。
労働保険料は社会保険料(健康保険料・厚生年金)の保険料負担と比較すると労働者・事業主負担は少ないという印象でしたが、2022年の改定は大きなインパクトがあります。
<今後の保険料負担の比較> ※ 一般の事業の場合
例:年収400万の労働者1人あたりの保険料負担額
<従前>
400万 × 9.5/1000=38,000円(労働者負担:12,000円 事業主負担:26,000円)
<今後>
400万 × 13.5/1000=54,000円(労働者負担:20,000円 事業主負担:34,000円)
※ 1人あたりの負担額(労働者・事業主合算)が約30%増加となります。
労働者の人数が多い会社ほど保険料の負担が増加することになります。
年度更新の申告・納付手続きは毎年6月1日~7月10日に行うことになりますが、大きな金額が動くことになりますので、労務担当者の方は保険料の算出を早期に行い、会社の資金状況に合わせて概算保険料の決定を行うことが求められます。
今後は申告・納付が始まる1ヶ月前位に把握できている状態がよいと思います。
まとめ
2022年の料率改定についてお客様にご案内すると「えっ、こんなに上がるの!」という反応がほとんどです。
5月下旬頃になると申告書の封筒が届き始めますので、早期に準備をしておきましょう。
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