ホーム > お役立ちコラム > 年金手帳の再交付申請手続きがなくなります。 実務への影響は? 今ある、年金手帳は処分してもいいの?

第22回
年金手帳の再交付申請手続きがなくなります。
実務への影響は? 今ある、年金手帳は処分してもいいの?

ここがポイント!

  • 年金手帳の交付・再交付が廃止されるが、基礎年金番号は存続
  • 社会保険申請業務への影響はない

社会保険労務士法人アールワンの西嶋です。

2022年4月で年金手帳の交付が廃止されています。
それに伴い、年金手帳の再交付申請手続きも廃止となり、新たな手続きが新設されました。

今回は、年金手帳の交付廃止に伴う変更点についてお伝えします。

1. 年金手帳の交付・再交付が廃止されました

2022年4月以降、年金手帳の交付及び再交付が行われなくなり、番号の通知のみが行われています。
(基礎年金番号は廃止にはなりません)

「年金手帳再交付申請書」の手続きがなくなるため、「基礎年金番号通知書再交付申請書」の手続きが新設されています。
※ 年金手帳再交付申請の手続きの受付は2022年3月31日に終了しています。

年金手帳の交付を廃止する背景

個人番号(マイナンバー)制度の導入による影響が大きいです。

従来は年金関係の手続きで、年金手帳の添付が必要でしたが、番号が確認できる書類か、個人番号の提示で手続きが可能となっています。
実は基礎年金番号にはマイナンバーが紐づいており、手続き申請の際に基礎年金番号ではなくマイナンバーを提示すれば、ほとんどの手続きが基礎年金番号なしでも受理されますし、添付書類の省略が可能となっています。
(年金機構はマイナンバーでの申請を推奨しています)

また、基礎年金番号とマイナンバーが紐づいたことで、厚生年金における住所変更・氏名変更手続きは行わなくても、公的な手続き(住民票の異動、婚姻届など)を行えば、マイナンバーとの連携により、自動的に変更がされるようになっています。
※ 厚生年金の住所変更手続きはすでに廃止となっています。

年金事務所のシステム上、しっかり管理ができているため、作成コストも発生する手帳形式で交付する必要がなくなっています。

どのように通知書が届くのかというと・・・

基礎年金番号通知書に関する手続き完了後は従業員(被保険者)の自宅に直接公文書(基礎年金番号通知書)が届きます。
(従来は、年金手帳の再交付の時、手帳が会社宛てに届き、労務担当者から従業員へ渡す流れでした)

会社ではなく従業員に直接届くので、労務担当者がわざわざ郵送手配などの準備をする必要がなくなるため、労務担当者の負担軽減に繋がります。この点は非常に良いと感じています。
※従業員に通知書が届かない場合は、会社に届きます。

もし、会社として番号の通知書を確認したい場合は、従業員からメールなどで共有してもらう必要があります。しかし、事前の準備や案内が労務担当者の負担となり面倒さを感じてしまう部分です。

そのような課題を解消できるサービス「Charlotte POST EE」がCharlotte(シャーロット)にはありますので、詳しく知りたい方はご確認ください。

2. 社会保険手続きへの影響は? なにかすべきことは?

社会保険手続きへの影響はありません。
(従来通り、基礎年金番号若しくはマイナンバーを使用して申請を行います)

変更点を簡単にまとめてみました。

表1

場面 従前 今後(2022年4月以降)
年金番号の通知(20歳到達) 年金手帳 基礎年金番号通知書
年金手帳の紛失 年金手帳の再交付 基礎年金番号通知書の再交付
手続き名称 年金手帳再交付申請書 基礎年金番号通知書再交付申請
社会保険手続き
(※ 変更点なし)
基礎年金番号、もしくはマイナンバー 基礎年金番号、もしくはマイナンバー

Q1:健康保険 厚生年金の取得手続きの際、基礎年金番号が分からないときは?
A1:下記のいずれかでの対応となります。
①基礎年金番号の代わりに個人番号を記載して申請
②資格取得届と基礎年金番号通知書再交付申請を同時に行う
※ ②は番号の通知書の交付を被保険者となる方が希望した場合

Q2:現在持っている年金手帳はどうしたらいい?
A2:破棄せず、自身で大切に保管しておきましょう。
手帳の交付・再交付が廃止されるだけで、基礎年金番号を使用して行う手続き(年金の請求、ねんきんネットへの登録、社会保険関係の手続き)は存在します。

Q3:2022年4月から各社会保険申請手続きで基礎年金番号を利用した場合、年金手帳の写しではなく、基礎年金番号通知書を添付するの?
A3:申請の際、基礎年金番号通知書の添付は不要です。基礎年金番号が記載されていれば問題ありません。

Q4:2022年4月から資格取得届には個人番号だけで申請可能なの?
A4:従前から基礎年金番号か個人番号いずれかで申請が可能です。

従業員から質問が来たときに回答ができるよう、不明点等は事前に確認しておいた方がよろしいかと思います。

まとめ

個人番号(マイナンバー)制度の普及により、基礎年金番号を使用する場面は、少なくなってきてはいます。
しかし、基礎年金番号が廃止になるのは、まだ先の話になります。
社会保障制度の手続き全てが個人番号で管理されるようになるまで、まだ時間が掛かるでしょう。
個人番号による一元化管理が実現すれば、様々な手続きシーンで別の役所で発行しないといけない添付書類などが省略可能となります。
手続きにかかる労力が少なくなるため、大きなメリットです。
便利になる一方で、特定個人情報となる個人番号の漏洩や第三者に知られないための管理をどのように行っていくかが、課題だと思います。
(社内のセキュリティルールを確認し、取得方法、本人確認、保管・廃棄方法の精査が必要です)

今回の、年金手帳の廃止は、個人番号による一元化管理に向けた動きのひとつです。

現状、手続き実務への影響はありませんが時間の経過に伴い、実務への影響(手続き廃止、新設、様式変更)は発生します。
今後も動向を注視したいと思います。

本コラムの著者

社会保険労務士法人アールワン

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