ここがポイント!
- 育児休業を短期間取得する方が増える見込みのため、場合によっては保険料免除にならない
- 2回に分けて育児休業を取得した場合、取得した期間の内訳を忘れず記載
社会保険労務士法人アールワンの西嶋です。
令和4年10月1日の育児休業法改正により、育児休業のルールが大きく変わっています。
その中でも育児休業取得者の社会保険料免除(給与・賞与)ルールも変更されており、労務担当者は制度の理解と正確に届出を行う必要があります。
今回は改正後の社会保険料免除ルールと育児取得4つのケースをサンプルとして挙げ、記載方法をお伝えします。
1. 育児休業等期間中の社会保険料免除ルールについて
<従来ルール>
月の月末に育児休業を取得していれば、その月の保険料(給与・賞与)が免除
<改定後ルール>
給与の社会保険料免除は、月内に14日以上の育児休業を取得した場合、育児休業開始日に属する月の社会保険料が免除
賞与の社会保険料免除は、月内に1ヶ月以上育児休業を取得した場合に限り免除
※ 免除の詳しい考え方については、第29回コラムの「1. 社会保険料免除の考え方」をご参照ください。
出生時の育児休業の創設により、育児休業を短期間で取得される方が増える見込みですので、免除となる場合とならない場合について整理しておきましょう。
令和4年10月1日の育児休業法改正の内容について詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
2. 実際の届出について
実際の届出に関する申請手続きを解説します。
提出方法
電子申請、郵送、窓口持参(年金事務所のみ)
届書様式
紙の場合
健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書
参照:日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が育児休業等を取得・延長したときの手続き」
電子の場合
次の3種類に分かれます。
- 健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者申出書
- 健康保険・厚生年金保険 育児休業等取得者終了届
- 健康保険 育児休業等取得者申出書 (新規・延長)/終了届(健保組合提出)
添付資料(原則不要)
育児休業終了から1ヶ月以内の届出であれば、添付書類が不要となるので、単純に手続き工数を減らすのであれば育児休業終了後に速やかに提出する運用も検討が必要です。
ただし、短期間の育児休業の場合、期間内に申出書を提出できない場合があります。
通常は期間を超えた場合、遅延理由書等が必要となりますが、育児休業終了から1ヶ月以内の届出であれば、添付不要となります。
※ 健康保険組合も基本的には同じ運用となりますが、従来通り期限内に提出がない場合、添付書類を求められる可能性があるため、事前に確認しておくのがよいと思います(独自ルールがある組合もあります)。
① 11/1から11/17まで育児休業を取得した場合(2日就業)
② 11/1から11/7、11/22から11/29の2回に分けて育児休業を取得した場合(就業なし)
③ 11/1から12/15まで育児休業を取得予定だったが、予定より早く終了した場合(事前に届出していた場合)
④ 11/1から11/14まで育児休業を取得予定だったが、11/25まで延長となった場合
3. 給与・賞与の計算時の注意が必要。その運用方法とは
出生時の育児休業の創設・分割取得の法改正に伴い、従来よりも育児休業が取得しやすくなっています。
それに伴い、給与計算を行う労務担当者は、計算時に誤りを起こさぬよう、対応する必要があります。
参考までに当事務所で行っている運用方法をお伝えします。
① 毎月の給与・賞与計算の度にチェックリストを作成し、育児休業を取得者及び取得期間をチェックリストに反映させる。
表1
12月給与 出産・育児関連の休業者(保険料翌月控除)
氏名(敬称略) | 出産日 | 産前休業開始日 | 産後休業終了日 | 育児休業開始日 | 育児休業終了日 | 保険料免除 (12月給与) |
保険料免除 (12月賞与) |
---|---|---|---|---|---|---|---|
田中 花子 | 2022年9月27日 | 2022年8月17日 | 2022年11月22日 | 2022年11月23日 | 2023年9月26日 | 〇 | 〇 |
鈴木 太郎 | - | - | - | 2022年11月26日 | 2022年12月10日 | 〇 | × |
② 給与ソフトの従業員マスタ(育児休業取得者)へ休業情報を登録する。(自動的に保険料が控除されないようにする)
③ チェックリストを基に対象者の保険料控除が正しく反映されているか支給控除一覧表で確認する。
※ 表1については、これが正ではなく、当事務所もどういう形が必要かを見極め切れておりません。そのため、より良い管理方法があれば別途周知いたします。
まとめ
育児休業のルール変更により、実務上の手続きは煩雑になりがちです。
また、保険料に関することは給与や賞与支給の計算の際、注意しないと誤った計算により従業員の方に迷惑がかかってしまうことに繋がります。
制度を理解した上で、現在の自社の体制で今後対応できるのかを改めて確認しておきましょう。
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