プロが教える! 電子申請導入のポイント

第36回
今年の労働保険料の申告・納付も注意が必要?
あらかじめ整理しておきましょう

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公開日:2023年6月2日

ここがポイント!

  • 令和4年度は雇用保険料率が改定されたことにより、期間・業種によって料率が異なる
  • 特に令和4年度の雇用保険料額の算出は、厚生労働省提供の作成ツールで計算誤りを防ぐ
  • 令和5年度の年度更新は、新規手続の追加、および手続名称の変更あり

社会保険労務士法人アールワンの西嶋です。

間もなく、労働保険の申告・納付(以下、年度更新)の時期となります。

2022年は、雇用保険料率が令和4年10月から改定されたため、概算保険料の算出が大事なポイントでした。
そして、2022年に続き2023年の年度更新も大事なポイントがあります。

今回は、労働保険料の年度更新についてお伝えします。

目次

  1. 1. 労働保険料の申告・納付(年度更新)とは
  2. 2. 今年の年度更新で注意が必要な点
  3. 3. 電子申請で年度更新申告を行う

1. 労働保険料の申告・納付(年度更新)とは

毎年、6月1日から7月10日(10日が土日祝日の場合、翌営業日まで)の間に行う手続きです。
確定保険料(一般拠出金含む)を算出したら、前年の年度更新の際に申告納付した概算保険料に対して「充当」なのか「不足」なのかの確認を行い、概算保険料と一緒に確定保険料を申告・納付を行います。

※ 詳しくは第11回コラムをご参照ください。

 

確定保険料:
保険年度※1末にその年度の確定した賃金総額に保険料を乗じて計算した額。
【計算式】毎年 保険年度の賃金総額×保険料率で算出

一般拠出金:
石綿健康被害救済法に基づき、石綿健康被害救済のためのその額を申告・納付。
【計算式】毎年 保険年度の賃金総額×保険料率(0.02/1000)で算出

概算保険料:
保険年度の初めにその年度の見込み賃金総額に保険料を乗じて計算した額。
【計算式】確定保険料をベースに来期の概算保険料を算出

※1 保険年度=毎年4月1日から翌年3月31日までの1年間

 

保険料率(雇用保険料率)は、保険年度間に労働者に支払われる賃金の総額に、保険料率を乗じて算定します。
ただし、雇用保険料率は、以下の3つの業種に分けられますのでご注意ください。次節で詳しく説明します。

  • 一般の事業
  • 農林水産・清酒製造の事業
  • 建設の事業

2. 今年の年度更新で注意が必要な点

令和4年度は雇用保険料率が改定されたことにより、期間によって料率が異なり、令和5年4月1日から再度雇用保険料率が改定となっています。
そのため、雇用保険料率を算出する期間と業種をよくご確認の上、該当の雇用保険料率を乗じて算出してください。

令和4年度の確定保険料の算出について

令和4年4月1日から令和4年9月30日、令和4年10月1日から令和5年3月31日まで半期ごとに保険料を算出し、合算した保険料を確定保険料とします。

<令和4年4月1日から令和4年9月30日>

事業の種類 ① 労働者負担 ② 事業主負担 雇用保険料率(①+②)
一般の事業 3/1000 6.5/1000 9.5/1000
農林水産・清酒製造の事業 4/1000 7.5/1000 11.5/1000
建築の事業 4/1000 8.5/1000 12.5/1000

<令和4年10月1日から令和5年3月31日>

事業の種類 ① 労働者負担 ② 事業主負担 雇用保険料率(①+②)
一般の事業 5/1000 8.5/1000 13.5/1000
農林水産・清酒製造の事業 6/1000 9.5/1000 15.5/1000
建築の事業 6/1000 10.5/1000 16.5/1000

 

★ポイント★
令和4年度の雇用保険料額を算出する際は、厚生労働省が提供しているExcel形式の「年度更新申告書計算支援ツール」(以下支援ツール)を使用することをお勧めします。算定基礎賃金集計表に各月の賃金額を入力することで、申告書記入のイメージができるというものです。
注意として、支援ツールで表示された数値はそのまま申告書に記載ください。小数点も表示される場合があるため全て記載ください。

令和5年度の概算保険料の算出について

令和4年度の確定保険料をベースに令和5年度の概算保険料を算出します。

事業の種類 ① 労働者負担 ② 事業主負担 雇用保険料率(①+②)
一般の事業 6/1000 9.5/1000 15.5/1000
農林水産・清酒製造の事業 7/1000 10.5/1000 17.5/1000
建築の事業 7/1000 11.5/1000 18.5/1000

 

★ポイント★
雇用保険料率が、令和4年度より上昇しているため、令和4年度の確定保険料で集計した賃金総額をベースに算出したとしても
令和5年度の確定保険料は概算保険料より高くなります。会社の状況に合わせて概算保険料を決定しましょう。

3. 電子申請で年度更新申告を行う

令和5年度の年度更新申告は、適用事業の種類によって選択する手続が異なります。
そのため、新規手続の追加、および手続名称の変更が発生しています。

電子申請での手続き名称の変更と新規追加される手続きについて

【手続き名称変更】

手続き名(旧) 手続き名(新)
労働保険年度更新申告 労働保険年度更新申告(二元適用事業 (労災保険分)の場合)

【新規追加手続き】

手続き名(旧) 手続き名(新)
なし 労働保険年度更新申告(一元適用事業・二元適用事業 (雇用保険分)の場合)

 

今回の法改正は、適用事業する事業によって選択する申告書の追加や変更がありました。
では、今まで一元も二元も同じ「労働保険 年度更新申告」で申告していたけど、今年は適用事業の種類によって選択する手続が異なるならどっちを選択して申告すればいいのか?
それは、自社の事業が一元適用事業なのか二元適用事業なのか確認して手続き選択する必要があります

・ 一元適用事業(一般の事業)

労働保険年度更新申告(一元適用事業・二元適用事業( 雇用保険分)の場合)を選択
※ 労災保険、雇用保険の申告を一緒に行います。

・二元適用事業(建設業など)

現場労災:労働保険年度更新申告(建設の事業)を選択
※ 一括有期事業の申告です。
事務所労災:労働保険年度更新申告(二元適用事業 (労災保険分)の場合)を選択
雇用保険:労働保険年度更新申告(一元適用事業・二元適用事業 (雇用保険分)の場合)を選択

 

申告書画面の仕様変更について

手続き名:労働保険年度更新申告(一元適用事業・二元適用事業 (雇用保険分)の場合)
確定保険料算定内訳が追加されました。

以下より、支援ツールとCharlotteの電子申請画面を使い、ご説明いたします。
なお、支援ツールから電子申請画面に転記する作業が発生します。転記する際は、必ず小数点まで全て転記ください。

 

手順1 支援ツールを使って計算し、申告書に転記する。

図1

年度更新申告書計算支援ツール

図2

Charlotte 操作画面

  1. 支援ツールに4月1日から9月30日(前期)、10月1日から3月31日(後期)までの賃金額を手入力すると確定保険料算定内訳に前期と後期の小計が図1の①④に自動反映される。
  2. 図1の①④の数値を図2の①④に手入力で転記する。
  3. 図1に手入力した②⑤を図2の②⑤に手入力で転記する。
  4. 図1で手入力した賃金額と保険料額に基づき、図1の③⑥(確定保険料)が自動計算される。
  5. 図1の③⑥の数値を図2の③⑥に手入力で転記する。

手順2 申告書を完成させる。

図3

Charlotte 操作画面

  1. 手順1で行った確定保険料算定内訳の内容が図3の①に自動反映される。
  2. 図3の②に概算保険料算出の基となる賃金額を手入力し、概算保険料を算出する。
  3. 図3の③で延納回数を決め、確定保険料が前年度の概算保険料に対して「十分」もしくは「不足」なのか確認を行う。
  4. 今期の納付額に問題ないようなら申告を行う。

名称変更と新規手続きの追加がありましたが、事前にどの手続きを選択するのか確認できていれば問題なく進められます。
また、申告書の仕様変更については、確定保険料に算定内訳が追加されただけなので、事前に支援ツールを使用していれば入力に戸惑うこともないという印象なので、電子申請メインで申告を進めていくのが良いです。

まとめ

イレギュラーな雇用保険料率の改定により、2年続けて労働保険料の算出や申告に影響がありましたが、それも今年でいったん落ち着くことになります。
この先イレギュラーなケースや様式変更がありましたら、随時情報を発信していきます。

社会保険労務士法人アールワン 様
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