ここがポイント!
- 月額変更届は「臨時に社会保険料が変更となった場合に提出する」、算定基礎届の修正を行うための申請
- 提出先は電子申請になっても、紙申請時と変わらない
- Charlotteなら、健康保険組合へ義務化対象の月額変更届が電子申請が可能
社会保険労務士法人アールワンの西嶋です。
はじめに、今回のコラムは社会保険に対応している企業向けに作成しています。
国民健康保険組合と全国労働者共済生活協同組合連合会については触れていません。
さて、社会保険料は毎年定期的に更新されますが、昇給や降給により毎月の固定的賃金に変更があった場合、月額変更届(随時改定)の提出が必要となる事があります。
正式名称は「健康保険・厚生年金保険被保険者報酬月額変更届」略して月変(げっぺん)とも呼ばれています。
月額変更届は企業と従業員が負担する社会保険料額に関わり、従業員の将来や現在の年金額にも影響する重要なものです。
今回は月額変更届の確認と申請についてお伝えします。
目次
1. 月額変更届(随時改定)とは?
昇給や降給などにより、報酬額が大きく変わった際に(2等級以上)標準報酬月額を見直す手続きです。
※ 標準報酬月額は社会保険料計算の基本となり、年に1回(7月)算定されます。=「算定基礎届」
例えば、算定基礎届時に高い報酬額であった従業員が途中で報酬額が下がった場合でも、次回の7月で算定されるまで高い社会保険料を支払い続ける必要があります。
そのために随時、実際報酬額と標準報酬月額との間に隔たりがないよう、月額変更届は「臨時に社会保険料が変更となった場合に提出する」、算定基礎届の修正を行うための申請となります。
算定基礎届についてより詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
2. 対象になる人・そうでない人
対象となる人の条件は以下で該当した場合です。
以下2つを両方とも満たす場合
- 報酬平均額と現在の標準報酬月額に2等級以上の差がある(残業手当(非固定的賃金)も含めて確認する) ※1補足
- 3ヶ月連続した月に支払基礎日数が17日(短時間労働者は11日)以上ある
※1補足
固定的賃金の変更
日給や時間給の日当・単価など基礎単価
請負給や歩合給などの単価、またその歩合率
以下2つはよくあるイレギュラー条件
- 給与体系(日給から月給へなど)の変更
- 住宅手当や役付手当など固定的な手当の追加、またはその支給額の変動
その他のイレギュラーな月額変更届の条件について詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
3. 注意点
申請のタイミング
月額変更届は固定給が2等級変動してすぐに提出するものではありません。
例えば、1月に固定給が2等級以上変動した場合、「1月・2月・3月」の3か月の賃金が支払われた後に、月額変更届を提出します。
そのため、変更があった場合、各機関に届け出るといった不定期なものになるので忘れないように社内で運用ルールを整える必要があります。
健康保険組合加入の場合、2か所へ提出
全国健康保険協会(以下、協会けんぽ)の場合、1か所で健康保険と厚生年金保険の提出が完了しますが、健康保険組合の場合、2か所への提出が必要となります。
電子申請義務化対象の手続き
厚生労働省から社会保険電子申請利用の各企業へ図1のリーフレットが配布されています。
月額変更届は電子申請義務化対象手続きとなりました。
図1
厚生労働省 資料:https://www.mhlw.go.jp/content/000511981.pdf
また、提出先が異なれば対応している申請種別も異なるので注意が必要です。表1をご確認ください。
◆届書作成プログラムの場合◆
第6回コラムでもお伝えした通り、マイナポータルにはe-Govのように申請画面が用意されていませんが、日本年金機構への提出は「届書作成プログラム」を利用すれば電子申請が可能となります。
※ 申請にはGビズIDの取得が必要です。
◆Charlotte(シャーロット)の場合◆
日本年金機構と健康保険組合の両方へ電子申請提出が可能です。
届書作成プログラムで作成した申請書(CD-ROMで提出していた方はそのデータ)をCharlotteにアップロードするだけです。
4. 電子申請で行いましょう!
いきなり、「義務化なので電子申請をしましょう」と言われても、今まで紙申請をされていた方にとっては難しいと思います。
ここからは複数ある電子申請の方法と注意点をお伝えします。
電子申請の場合
- 会社の「印鑑」と「印鑑証明書」の代わりになるものとして電子証明書やGビズIDを利用することになります。
- 月額変更届は「CSV形式届書総括票」の添付が必須です。
- 「公文書」で通知書等を受領できます。
公文書は通常、1つのXMLデータ内に申請した該当被保険者情報が入っています。
① タイトル構成:到達番号+取得した日時。内容:公文書
② タイトル構成:日本年金機構で定めているファイル名。内容:通知書 ※図3
※ファイル名詳細は日本年金機構が発行している「通知書形式変換プログラム操作説明書」を参照ください。
③ 上記②データのXSL版
④ タイトル構成:到達番号。内容:年金機構からのお知らせ ※図4
⑤ 上記④データのXSL版
⑥ タイトル名:申請手続き通知書名。内容:通知書 ※図3
ここで、公文書取得で気を付けないといけない落とし穴をお教えいたします。
例えば、3名分申請したのに、公文書として受領したXMLデータ内には2名分しか記載していないケースがあります。
月額変更届に限らずですが、旧字などが含まれている申請の場合、PDFで受領できますのでそちらをご確認ください。※図2の⑥
◆e-Govの場合◆
必要添付書類:CSV形式届書総括票
添付書類枚数分に電子証明書の添付が必須
証明種別:月額変更届はGビズIDで申請可能(ほとんどの手続き申請時は電子証明書が必要)
※詳細は厚生労働省HP「e-Gov電子申請利用マニュアルの紹介」を参照ください。
入力値エラー確認・修正方法:申請書のエラー確認はできない。エラーの場合は、返戻される。
事前にチェックプログラム等での確認が必要です。
◆届書作成プログラムの場合◆
届書作成プログラムでは「マイナポータル」を経由して日本年金機構への提出が可能です。
ただし、健康保険組合への提出は対応していません。そのため、APIソフトの導入をご検討ください。
必要添付書類:CSV形式届書総括票(届書作成プログラムで自動生成後、パソコンに保存し、添付し直す必要がある)
証明種別:GビズIDが必要
※詳細は日本年金機構HP「電子申請・電子媒体申請」を参照ください。
入力値エラー確認・修正方法:チェックプログラムで確認。
修正方法は①CSVデータを開いて”何項目目のどこを…”とCSVと照らし合わせながらの修正が必要になります。
②人事給与システムのデータを修正し、再度CSVデータを書き出す必要があります。
◆Charlotte(シャーロット)の場合◆
必要添付書類:なし。(CSV形式届書総括票は自動生成され、そのまま申請が可能なため)
※詳細は、第6回コラム「3. 紙申請・CD申請・電子申請では必須添付書類が異なる」を参照ください。
証明種別:電子証明書。(普段電子証明書を使用しない運用が可能です。特許出願中の「Charlotteキー」を使用)
※詳細は、第7回コラム「3. 電子証明書について」を参照ください。
入力値エラー確認・修正方法:編集画面上でエラー箇所が赤く表示されるため、直感的に編集画面上で修正可能です。
+αポイント
あまりないかと思いますが、個人番号などが間違えており、返戻を受けた際は、人事給与システムから再度CSVファイル作り直さなくても、申請時のデータを使い、対象者だけ選択することで、再申請が可能です。
手順:申請時作成した画面を表示させ、再申請を行いたい被保険者をCharlotte上で選択するだけです。
5. 豆知識
昔よりも緩和されていますが月額変更届は頻繁に法改正がある手続きの一つです。
そのため、定期的に厚生労働省のHPへ行き、法改正の情報を確認するという作業は手間ですよね。
◆Charlotte(シャーロット)の場合◆
法改正で様式変更や項目変更の際にログインすれば「サポートセンターからのお知らせ」から変更点があることを簡単に確認できます。
※ 新規に追加された様式や項目の変更が発生し、Charlotteで対応した場合にのみです。
※ e-Gov改訂のように大きな仕様変更の場合は事前に周知する場合もあります。
内容の確認方法は、「ご利用について」から変更点の詳細が確認できます。
法改正の多い手続きだと、情報の確認不足のために様々な時間ロスが生じることがあります。
「提出不要となっていた書類」で無駄な申請書作成時間や「必須事項になっていた項目」で無駄な返戻等、が発生しやすいです。
もしかしたらその申請、提出しなくてもいいかもしれません!という状況になっていることもあります。
例えば・・・
下記のケースの場合、添付書類が必要でしたが、2019年から添付が不要となっております。
- 改定年月の初日(1日)が、届書の受付年月日から60日以上遡る場合(60日以上遡及しての申請)
従前は出勤簿、賃金台帳の添付が必要でした。 - 改定後の標準報酬月額が、従前の標準報酬月額から5等級以上引き下がる場合(役員の報酬変更により5等級以上差が発生した場合)
従前は取締役の議事録(報酬の変更が確認できるもの)の添付が必要でした。
※健康保険組合への申請時には、上記の添付書類の提出が必要な場合があります。申請時に都度確認をお願いいたします。
まとめ
月額変更届を提出する該当者がいた場合、該当する月を3か月分計算し、速やかに提出しなければいけません。
月額変更届は従業員の給与の動きを把握しないといけないもので不定期に発生する申請業務です。
電子申請を有効活用し、業務を進めたいものですよね。
電子申請が普及し始め、申請方法が効率化しているのとは対照に申請内容は煩雑化しています。
Charlotte(シャーロット)は“申請するだけのための電子申請”ではなく“申請業務を簡略化・効率化のための電子申請”を提供していると感じます。
現に、作業中の「あっ、これなんだっけ」「別で管理するの手間だな」等の発生するストレスを緩和させてくれます。
with電子申請時代と上手に付き合っていくには、会社ごとの運用に合った機能を持つ&ユーザーの声が反映されやすいCharlotte(シャーロット)のような電子申請ソリューションソフトを導入するのがおススメです。
どんどん業務効率を上げていきましょう。
「Charlotte(シャーロット)」とは?
「Charlotte」は、人事給与システムのデータを活かし、幅広い電子申請(143手続き)に対応。26の人事給与系システムとの連携実績があり、複数のソフトを介さず1つのシステムで行えるSaaS型クラウドサービスです。
●社会保険、雇用保険、労働保険の電子申請 ●36協定や就業規則変更などの労使手続き ●健康保険組合に向けた手続き ●労務担当者が対応する税申告「e-Tax」、「eLTAX」に関する申告
さらにオプションとの組み合わせで公文書や離職票、支払い決定通知書を従業員に自動で届けるサービスなど、労務DXの実現により労務ご担当者様の業務負担を軽減します。
サービス、費用の詳細やデモンストレーション、無料トライアルなど、当サイトよりお気軽にお問い合わせください。
総務省推進のASPIC「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」を取得しています。
認定年月日:2021年2月10日 認定番号:第0245-2102号
デジタル庁 e-Gov最終確認試験合格
デジタル庁の最終確認試験は、民間事業者が開発したソフトウェアを使用してe-Gov電子申請サービスが正常動作確認することを目的としております。民間事業者が開発したソフトウェアの正常動作の確認を目的とするものではありません。
「Charlotte」の開発会社である株式会社ユー・エス・イーは社会保険システム連絡協議会の幹事会社です。
「社会保険システム連絡協議会」とは、総務省行政管理局及び厚生労働省等と、社会保険・労働保険関係手続きの電子申請が可能なソフトウェアを開発・販売・サポートする社会保険システム業界との窓口として、相互の事務連絡、情報交換及び協議等の円滑化を図り、社会保険行政の円滑な執行に資することを目的とした団体です。
「Charlotte」の開発会社である株式会社ユー・エス・イーは税務システム連絡協議会の加盟会社です。
「税務システム連絡協議会」は、税務・会計に関するシステム・ソフトウェアに携わる企業を対象として作られた、税務行政の効率化・省力化とともに納税者の利便性の向上を図り、税務行政のICT化に寄与し、適正な申告納税制度の確立に努めることを目的とした集まりです。1994年に設立され、2022年3月末時点において、税務及び財務関連システムを開発・販売・サポートとする企業33社が加盟しています。
※「Charlotte」は株式会社ユー・エス・イーの登録商標です。(登録商標第5980282号)
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