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【年末調整実務】上限6万円への引上げでどう変わる?生命保険料控除の改正ポイントと問合せ対策

公開日:2026年7月15日

ここがポイント!

  • 23歳未満の扶養親族がいる場合、新契約の一般生命保険料控除の上限が6万円に引き上げられる。
  • 全体の合計上限12万円は据え置きで、対象は子以外にも及び、新旧契約混在時の計算ルールに注意が必要。
  • 問い合わせを最小限にするため、社内FAQの用意や年末調整システムの対応状況確認などの備えが重要。

令和8年(2026年)の年末調整は、前年同様、基礎控除・給与所得控除・扶養親族の所得要件等が法改正により引き上げられます。加えて、令和7年(2025年)の改正により令和8年(2026年)の年末調整から適用される事項に、「生命保険料控除の拡充」があります。

この改正は、子育て支援策の一環として、23歳未満の扶養親族を有する場合に、一般生命保険料控除額の上限を6万円に引き上げるというものです。実務に携わる人事労務担当者にとっては、「新たな確認項目の追加」「従業員からの問い合わせ対応」「システムの自動判定ロジックの確認」など、事前の準備が欠かせないテーマです。
本コラムでは、年末調整実務のうち、生命保険料控除について、担当者が押さえておくべき改正のポイントと、問い合わせ対策について解説します。

1.改正内容:誰が、どう変わる?

今回の改正の目的は「子育て世帯の負担軽減」です。そのため、すべての従業員が対象になるわけではありません。

・対象となる要件
その年の12月31日時点で、23歳未満の扶養親族がいる居住者

・改正される点
平成24年以降に締結した「新契約」の一般生命保険料控除について、所得税の控除上限額が従来の4万円から6万円に引き上げられます。

具体的な控除額の計算式は次の表のとおりです。 

年間の新生命保険料 控除額
30,000円以下 新生命保険料の全額
30,000円超 60,000円以下 新生命保険料×1/2+15,000円
60,000円超 120,000円以下 新生命保険料×1/4+30,000円
120,000円超 一律 60,000円

2.実務担当者が絶対に注意すべき3つのポイント

実務で注意すべき3つのポイントを確認していきましょう。

①生命保険料控除額の上限の12万円は変わらない

一般生命保険料の控除枠が6万円に広がったものの、「一般+介護医療+個人年金」を合わせた全体の合計の上限額は「12万円」のまま据え置きです。
例えば、すでに「一般(4万)+介護医療(4万)+個人年金(4万)=12万円」で枠を使い切っている従業員の場合、今回の改正で一般生命保険料控除が6万円になったとしても、合計の控除額は12万円のまま変わりません。対象となる従業員から「6万円の控除になっていない」との問い合わせがある可能性があります。控除額の上限額は12万円であることを事前にアナウンスしておきましょう。

出典:令和7年度 税制改正の概要(厚生労働省関係)

②対象は「子」だけじゃない? 23歳未満の扶養親族とは

改正の要件は「23歳未満の扶養親族」とあり、「子」だけでなく、生計を一にする「孫」や「兄弟姉妹」などを扶養している場合も対象となります。

また、共働き夫婦の場合、扶養控除を受けている配偶者がどちらであるかにかかわらず、夫婦のどちらも「23歳未満の扶養親族等を有する」という要件を満たすため、夫・妻の双方がそれぞれこの上限6万円の新しい計算式の適用を受けることができます。つまり、16歳未満など扶養控除申告書には記載されない扶養親族であっても、23歳未満の扶養親族であれば本改正の対象となります。

では、「23歳未満の扶養親族」を有しているかはどこで確認すればよいかというと、「令和8年分 保険料控除申告書」に、新たに「年齢23歳未満の扶養親族」について、氏名・個人番号・生年月日・続柄等を申告する欄が設けられました。

「子以外の親族を扶養している」や「夫婦共働き」の従業員への適切な案内が必要となります。

 

③「旧契約」との混在時の計算ルール

平成23年以前に加入した「旧契約」の一般生命保険料がある場合、新契約(最高6万円)と旧契約(最高5万円)を合わせて申告できますが、その際の全体の一般生命保険料控除の上限も「6万円」となります。新旧契約が混在した場合でも正しく計算できるよう備える必要があります。お使いの年末調整システムが今回の制度改正へ対応しているか確認しておきましょう。

3. 従業員からの問い合わせを最小限にする対策

年末調整期間中には多くの従業員から一斉に質問が寄せられる可能性があります。問い合わせを減らすため、事前に対策をしておきましょう。

  1. 社内FAQを事前に用意する
    特に以下の3点は、よくある質問(FAQ)として、年末調整システムや案内文の目立つ場所に掲載します。
    • 「共働き世帯は、夫婦どちらの年末調整でも、一般生命保険料控除の新しい計算式(最高限度額6万円)が適用されます」
    • 「3つの保険料控除の合計がすでに12万円に達している方は、今回の改正で一般生命保険料控除の控除額が増えたとしても、全体の控除額は増えません」
    • 「23歳未満の扶養親族は、お子さんだけでなく、兄弟姉妹等の扶養親族も対象になります」

  2. 「保険料控除申告書」の様式変更に備える
    紙で申告書を回収している企業はもちろん、Web申告システムを導入している企業でも、「どこにチェックを入れればいいのか」の画面ガイドやマニュアルの整備を早めに進めておきましょう。

まとめ

今回の生命保険料控除の改正は、計算の仕組みそのものが変更されています。また対象親族の範囲など、実務担当者としては正確な理解が問われる内容となっています。間際になって慌てないよう、まずは現在ご利用中の年末調整システムの対応状況の確認から、一歩ずつ準備を進めていきましょう。

年末調整業務全体の効率化については、以下の記事もあわせてご参照ください

本コラムの著者

北條 孝枝

北條 孝枝(ほうじょう たかえ)

株式会社ブレインコンサルティングオフィス株式会社ブレインコンサルティングオフィス
社会保険労務士 メンタルヘルス法務主任者

会計事務所で長年に渡り、給与計算・年末調整業務に従事。また、社会保険労務士として数多くの企業の労務管理に携わる。情報セキュリティについての造詣も深く、実務担当者の目線で、企業の給与、人事労務担当者へのアドバイスや、業務効率化のコンサル等に取り組むとともに、実務に即した法改正情報、働き方改革などの企業対応に関する講演も多数行っている。

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