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「就労証明書」と「就業証明書」の違いとは?人事・労務担当者が知っておくべき用途の整理

公開日:2026年10月15日

ここがポイント!

  • 就労証明書は保育の必要性を認定する行政手続き用で、令和7年度の利用調整事務から原則としてこども家庭庁の標準様式が使用されます。
  • 就業証明書・在籍証明書には全国共通の法定様式や在職中の発行義務がなく、提出先の指定に応じて企業が作成します。
  • 証明書の依頼を受けた際は、使用目的・提出先・指定様式・提出期限・記載内容の一致の5点を作成前に確認する必要があります。

人事・労務担当の元へ、従業員から「証明書を発行してほしい」という依頼が届く場面は少なくありません。
子どもの保育所の利用申込手続きや、住宅ローンの契約時など、生活の節目で会社が発行する証明書が必要になるためです。

こうした依頼では、「就労証明書」や「就業証明書」といった名称の書類が求められることがあります。
「就労証明書」と「就業証明書」は、名称が似ているものの、必ずしも同じ制度上の書類を指すわけではありません。

提出先や用途によって求められる証明内容や様式が異なるため、まずは何の手続きに使用する書類なのかを確認することが重要です。担当者が違いを理解しないまま対応すると、記載内容の不足や再提出の手間につながります。

本記事では、就労証明書と就業証明書それぞれの位置づけと用途の違いを整理し、実務で気をつけたいポイントを解説します。

1.就労証明書と就業証明書の違いを整理

就労証明書と就業証明書は名称が似ているだけでなく、本人の就労状況や勤務状況を証明するという点では共通しています。しかし、主な用途や提出先、様式などには違いがあります。

実務対応の目安として、次の表に整理しました。(表1)

(表1)

比較項目 就労証明書 就業証明書・在籍証明書
主な用途 保育所等の利用申込み・利用調整など、保育の必要性を確認する手続き 住宅ローン、賃貸契約、各種申請など、在籍・勤務状況の確認
様式 こども家庭庁が標準的な様式を示している。自治体の指定に従う 全国共通の法定様式はなく、提出先の指定様式や企業所定の様式を使用
発行義務 一律の発行義務が定められているわけではない 一律の発行義務が定められているわけではない

このように、就労証明書は「保育の必要性」を公的に判断するための行政手続き上の書類であるのに対し、就業証明書・在籍証明書は、住宅ローンの審査や賃貸契約、各種申請など、提出先が在籍・勤務状況を確認するために用いられる書類です。

従業員から証明書の依頼を受けた際は、まず「どの制度・手続きのために必要なのか」「提出先はどこか」を確認することで、どちらの書類として、どの様式で対応すべきかを判断しやすくなります。

参照:こども家庭庁の標準様式

2.就労証明書とは

就労証明書は、主に保育所や認定こども園、放課後児童クラブの利用を申し込む際に、市区町村へ提出する書類です。

子ども・子育て支援法に基づき、市町村が保護者の申請を受け、就労などの事由や保育必要量等について「保育の必要性」を認定します。また、保育所の利用調整等は、児童福祉法に基づき市町村が行います。

就労証明書はこの認定の根拠資料として位置づけられており、勤務先の事業主が記入・証明する形式が一般的です。

以前は自治体ごとに様式がまちまちでしたが、近年は全国的な統一が進んでいます。

こども家庭庁は標準的な様式を示しており、令和7年度の利用調整事務から原則としてこの標準的な様式を使用することとされています。ただし、自治体によって運用や追加項目などが異なる場合があるため、実際の手続きでは提出先の自治体が指定する様式を確認する必要があります。

そのため、従業員から就労証明書の記入を依頼された場合は、まず自治体が指定する様式(多くはこども家庭庁の標準様式に準じたもの)を使用しているかを確認することが実務上のポイントです。

また、就労証明書には勤務先の押印を求める自治体と求めない自治体が混在しています。

就労証明書は保育の必要性の認定を受けようとする保護者が添付書類として提出するものであり、法令上は押印を必須としておらず、押印を求めるかどうかは各市区町村の判断に委ねられています。押印の要否や提出期限は自治体によって異なるため、従業員が持参した様式の指示に従って対応するのが基本です。

就労証明書が必要となるケース

就労証明書の提出を求められる場面は、保育所への新規利用申込み時に限りません。
人事・労務担当者が実務で対応する機会が多いケースとして、次の4つが挙げられます。

①認可保育所や認定こども園への新規利用申込み
市区町村が保育の必要性や利用調整に必要な就労状況を確認するための資料となるため、正確な対応が求められます。

②育児休業から復職する際の継続利用申請
育児休業からの復職を前提として保育施設の利用を申し込む場合、自治体によって復職期限などの要件が設けられていることがあります。復職後に就労状況を確認するため、復職証明書などの提出を求められる場合もあります。

従業員の育休復職スケジュールと連動する書類のため、関係する担当者間での情報共有が重要になります。

③幼児教育・保育の無償化に伴う認可外保育施設や幼稚園の預かり保育などの利用給付認定
認可外保育施設や幼稚園の預かり保育などについて、施設等利用費の支給を受けるために「保育の必要性」の認定が必要となる場合があり、その確認資料として就労証明書が用いられることがあります。

④放課後児童クラブ(学童保育)の利用申請
就学後の子どもを預ける学童保育でも保護者の就労状況の確認が必要とされており、自治体によっては保育所・認定こども園用と学童保育用の様式が兼用になっているケースもあります。

いずれのケースも、提出先が「保育の必要性」または「放課後の見守りの必要性」を客観的に判断するための資料として就労証明書を用いる点は共通しています。

従業員から依頼を受けた際は、どの制度に基づく申請なのかを確認したうえで、該当する様式・記載期間に沿って対応することが求められます。

3.就業証明書とは

「就業証明書」という名称の書類は、提出先や企業によって指す内容が異なります。

一般には、企業に在籍していることや勤務状況などを証明するための書類として扱われ、「在職証明書」「在籍証明書」などの名称が使われることもあります。

ただし実務上は、住宅ローンの契約や賃貸借契約、各種補助金の継続受給の審査など、金融機関や自治体・団体が独自に求める場面で使われることが多く、就労証明書のような保育目的の公的様式とは提出先も使用する場面も異なります。一般的な就業証明書(在籍証明書)には、全国共通の法定様式や、在職中の従業員から依頼された場合の一律の発行義務はありません。
そのため、通常は従業員からの依頼に応じ、提出先が求める事項を確認して企業が作成します。

一方、退職時の証明については、労働基準法第22条により、退職者から使用期間、業務の種類、地位、賃金または退職事由について請求があった場合、企業は遅滞なく交付しなければなりません。書類の名称だけでなく、請求者が在職中か退職者か、何を証明するのかで判断する必要があります。

つまり、交付が義務化された退職証明書とは異なり、就業証明書(在籍証明書)はあくまで従業員からの任意の依頼に基づいて発行する書類という位置づけです。

とはいえ、提出先が住宅ローンや補助金の審査など従業員の生活に直結する手続きであることが多いため、多くの企業では依頼があれば速やかに発行する運用がとられています。

提出先が金融機関の場合は、雇用形態や在籍期間、月収・年収などローン審査に必要な項目を求められることもあり、依頼者に「何のために」「どの項目が必要か」を確認したうえで記載内容を決めるのが実務上のポイントです。

就業証明書・在籍証明書が必要となるケース

就業証明書(在籍証明書)が求められる場面も就労証明書と同様に多岐にわたります。

人事・労務担当者が対応することの多いケースとして、次の3つが挙げられます。

①住宅ローンや賃貸住宅の契約審査
金融機関や不動産会社が、申込者の勤務先や支払い能力を確認する目的で提出を求めることがあります。

②在留資格の申請・更新
外国人従業員の在留資格に関する手続きでは、申請する在留資格や手続きの内容に応じて、勤務先や活動内容を確認するための資料が求められることがあります。

必要書類は手続きごとに異なるため、出入国在留管理庁が案内する必要書類を確認したうえで対応することが重要です。

③住宅ローン以外の各種補助金・給付金の継続受給手続き
継続的に補助を受けるにあたり、在籍状況や勤務実態を定期的に証明する必要がある制度があり、その都度、就業証明書の提出が求められることがあります。

これらのケースで用いられる就業証明書・在籍証明書自体には、全国共通の法定様式はなく、提出先ごとに必要な記載項目が異なる点が就労証明書との大きな違いです。

依頼を受けた際は、使用目的と提出先の指定フォーマットの有無を必ず確認したうえで作成することが望まれます。

4.証明書発行依頼を受けたときの確認事項

証明書の発行依頼を受けたら、書類を作成する前に、使用目的や提出先を確認しましょう。
就労証明書と就業証明書・在籍証明書では、提出先や必要な記載事項が異なるためです。

確認しておきたいのは、次の5点です。

●使用目的:保育所の利用申込み、住宅ローン、在留資格の手続きなど、何に使用するのか
●提出先:自治体、金融機関、勤務先以外の企業など、どこへ提出するのか
●指定様式:提出先が指定するフォーマットがあるか
●提出期限:いつまでに提出する必要があるか
●記載内容:勤怠記録や雇用契約書、給与資料などと内容が一致しているか

特に、就労証明書は自治体によって指定様式や記載項目が異なる場合があるため、従業員から依頼された書類だけでなく、提出先の案内も確認することが大切です。

就業証明書・在籍証明書についても、指定様式があればそれに従い、指定がない場合は必要な証明事項を確認して作成します。社内では、証明書の発行窓口や確認担当者、発行方法などをあらかじめ決めておくと、依頼が集中した場合でも対応しやすくなります。

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まとめ

就労証明書と就業証明書は、名称こそ似ているものの、前者は主に保育所等の利用申込みなどで保育の必要性を確認するために用いられ、後者は住宅ローン、在留資格、各種申請などで在籍・勤務状況を確認するために用いられるという違いがあります。

就労証明書は、こども家庭庁が標準的な様式を示しており、実際の手続きでは提出先の自治体が指定する様式に従っての対応が必要です。

一方、就業証明書・在籍証明書には全国共通の法定様式がなく、提出先の指定に応じて作成します。

人事・労務担当者としては、依頼を受けた際にまず提出先と用途を確認し、それぞれの性格に応じた正確な記載を心がけることが、従業員の手続きを滞りなく進めるうえでのポイントとなります。

本コラムの著者

塩坂 うみ

フリーライター

社会保険関連や企業の人事・労務向けのコラムを中心に執筆するフリーライター。美容関連やクリニック紹介、マニュアル作成などの執筆経験を活かし、読者が理解しやすい、実務に即した記事づくりを心がけている

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