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『公文書』の保管期間まとめ|人事・労務書類は何年保管する?廃棄のタイミングは?

ここがポイント!

  • 労働基準法上の書類の保存期間は本則5年に延長されましたが、経過措置により当分の間は3年とされています。
  • 雇用保険は被保険者に関する書類が4年、それ以外が2年と異なり、健康保険・厚生年金保険は2年、労災保険は3年と定められています。
  • マイナンバーは一律7年ではなく、記載書類ごとの法定保存期間の満了後、利用の必要がなくなった時点で速やかに廃棄・削除が必要です。

人事・労務の仕事をしていると、「この書類、いつまで取っておけばいいの?」と手が止まる瞬間が誰にでもあるのではないでしょうか。

雇用契約書や賃金台帳、社会保険の届出控えなど、日々扱う書類は多岐にわたり、しかも法律ごとに保管期間がバラバラに決められています。

うっかり早く処分してしまえば法令違反になりかねませんし、逆に不要になった個人情報をいつまでも抱え続けることも、情報漏えいのリスクを高める要因になります。

本記事では、行政機関や関連機関が作成・管理する「公文書」そのものではなく、人事・労務の実務で「公文書」と呼ばれることがある、行政機関等から交付された電子公文書や、企業が保管すべき労務関係書類を対象に解説します。

1.「公文書」とは何を指すのか

人事労務の実務では、公文書等の管理に関する法律上の「行政文書」とは別に、労働基準監督署、ハローワーク、日本年金機構などへの電子申請や届出の処理完了後に交付される通知書やデータを「公文書(電子公文書)」と呼ぶことがあります。また、協会けんぽなどの関係機関から交付される通知書類についても、同様に「公文書」として扱われることがあります。

e-Gov電子申請を通じて手続きを行うと、審査終了後に「電子公文書」としてPDFやXML形式のファイルが交付され、事業主はこれをダウンロードして受け取ります。

具体的には、雇用保険関係であれば資格取得確認通知書や資格喪失確認通知書、離職証明書に基づき交付される離職票などがあります。

社会保険関係でも、健康保険・厚生年金保険の資格取得や資格喪失に伴う決定通知書・確認通知書が同様に交付されます。これらは従業員の入社・退社や社会保険の加入・喪失に関する手続きが行政機関等に正式に受理されたことを示す重要な記録です。

ただし、電子公文書には、事業主が保存するものだけでなく、従業員本人へ交付すべき通知書等も含まれるため、書類ごとの取扱いを確認する必要があります。

期限を過ぎるとe-Gov上からダウンロードできなくなるため、必要な公文書は期限内に取得・保管しておくことが重要です。

紛失した場合などの再交付については、手続きの所管機関に確認する必要があります。

こうした電子公文書を含め、労務担当者が法律にもとづいて保管すべき書類全般の保管期間の考え方を整理していきます。

2.労働基準法にもとづく書類の保管期間

担当者がまず押さえておきたいのが、労働基準法第109条です。

同条では、労働者名簿、賃金台帳、そして雇い入れ・解雇・災害補償・賃金その他労働関係に関する重要な書類について、保管義務を定めています。

具体的には、雇用契約書、出勤簿やタイムカード、賃金の決定に関する書類、時間外・休日労働に関する労使協定届などが対象です。

これらの書類の法定保管期間は、2020年4月1日の改正により3年間から5年間へ延長されました。ただし、経過措置により、当分の間は3年間とされています。

労働基準法上の保存期間は本則では5年間ですが、5年間へ完全に移行する具体的な時期は現時点で定められておらず、当分の間は3年間とされています。社内規程の保存年数を見直す際は、この経過措置を踏まえる必要があります。

保存期間の起算日は書類の種類によって異なります。労働者名簿は労働者の死亡・退職・解雇の日、賃金台帳は最後の記入をした日、雇入れまたは退職に関する書類は労働者の退職または死亡の日が起算日です。ただし、賃金台帳や賃金に関する重要書類について、賃金の支払期日がこれらの日より遅い場合は、その賃金支払期日から保存期間を数えます。

参照:厚生労働省山口労働局_労務管理の基本ルール

1. 社会保険・雇用保険関係の書類の保管期間

労働基準法とは別に、雇用保険・健康保険・厚生年金保険・労災保険についても、それぞれの施行規則で保管期間が定められています。

整理すると、次のようになります。(表1)

(表1)

区分 保管期間
雇用保険に関する書類(被保険者に関するものを除く) 2年
雇用保険の被保険者に関する書類(資格取得届など) 4年
健康保険に関する書類 2年
厚生年金保険に関する書類 2年
労災保険に関する書類 3年

同じ「雇用保険関係の書類」でも、被保険者に関する書類は4年間、それ以外の雇用保険関係書類は2年間とされている点は、見落としやすいポイントです。

健康保険・厚生年金保険関係は2年と比較的短めですが、退職者の書類だからと早々に処分すると、後日年金事務所や労働局からの照会に対応できなくなるおそれがあるため注意しましょう。

2. 扶養控除等申告書などは原則7年保存

給与所得者の扶養控除等申告書、配偶者控除等申告書、保険料控除申告書など、給与支払者が保存する申告書の多くは、原則として7年間保存する必要があります。

保存期間は、その申告書の提出期限が属する年の翌年1月10日の翌日から数えます。ただし、書類によって保存期間が異なる場合があるため、対象となる書類ごとに確認する必要があります。

労働関係・社会保険関係・税務関係で保管期間の物差しが異なることを踏まえ、書類の種類ごとに管理表を作成しておくと保管漏れや誤廃棄を防ぎやすくなります。

3.マイナンバーはどう保管する?

マイナンバー(個人番号)そのものに、労働基準法のような一律の保管期間が定められているわけではありません。

マイナンバー法上は、社会保障・税・災害対策に関する事務を処理するために必要な間だけ保管が認められ、その必要がなくなれば、できるだけ速やかに廃棄または削除しなければならないとされています。

在職中であれば、給与や社会保険の手続きでマイナンバーを利用する機会が続くため保管を続けられますが、退職後は状況が変わります。

退職者についても、扶養控除等申告書や退職所得の受給に関する申告書など、法令上の保存期間が定められている書類にマイナンバーが記載されている場合は、その保存期間中、マイナンバーを含めて保存します。保存期間が満了し、個人番号関係事務に利用する必要がなくなった時点で、速やかに廃棄または削除します。

ただし、マイナンバーの保存期間を一律に7年間とすることはできません。マイナンバーが記載された書類ごとに法定保存期間を確認し、その期間が満了した後、個人番号関係事務に利用する必要がなくなった時点で、速やかに廃棄または削除する必要があります。

一方で、法定保存期間が満了した後も、個人番号以外の記載内容を業務上保存する必要がある書類もあります。

法定保存期間が満了した後も、個人番号以外の記載内容を保存する必要がある場合は、個人番号部分を復元できない程度に削除またはマスキングしたうえで、その他の情報の保存を続けることができます。

ただし、扶養控除等申告書など、法令上の保存期間中に原本を保存する必要がある書類については、保存期間中に個人番号部分をマスキングすると、原本を保存したことになりません。マスキングは、法定保存期間の満了後に行う必要があります。

法定保存期間が満了し、個人番号関係事務に利用する必要もなくなった後に、マイナンバーをそのまま保存し続けることは認められません。書類ごとの保存期限を管理するとともに、廃棄・削除やマスキングの方法、実施時期を社内ルールとして定めておく必要があります。

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4.保管期間が長い書類・保管期間を過ぎた書類の扱い

すべての人事労務書類が2〜7年で完結するわけではありません。

一般健康診断の健康診断個人票は5年間保管します。なお、特殊健康診断では30年・40年など、より長い保管期間が定められているものがあります。有害業務による健康障害は退職から長い年月を経て現れることがあるためです。

一方、保管期間を過ぎた書類やマイナンバーを含む個人情報は、漫然と保管を続けず計画的に廃棄することが望まれます。

紙の書類は保管期間の満了日をあらかじめ記載し、定期的に棚卸しをして廃棄対象を洗い出す運用にすると、誤廃棄と個人情報の抱え込みの両方を防ぎやすくなります。

5.手続き別・保管期間の早見表

最後に、人事労務担当者が特に迷いやすい手続きについて、保管期間を一覧にまとめます。(表2)

(表2)

手続き・書類 保管期間
労働者名簿・賃金台帳・雇用契約書等(労基法関係) 5年(当分の間3年)
雇用保険(被保険者に関する書類以外) 2年
雇用保険(被保険者に関する書類) 4年
厚生年金保険関係書類 2年
健康保険関係書類 2年
労災保険に関する書類 3年
扶養控除等申告書・配偶者控除等申告書・保険料控除申告書等 原則7年
健康診断個人票(一般健診) 5年
マイナンバー 法令上の保存義務がある書類は、その保存期間中、マイナンバーを含めて保存。保存期間が満了し、個人番号関係事務に利用する必要がなくなった後は、速やかに廃棄・削除。

まとめ

人事労務が扱う法定保管文書は、根拠となる法律によって保管期間が異なり、労働基準法関係は5年(当分の間3年)、社会保険・労働保険関係は2〜4年、扶養控除等申告書などの税務関係書類は原則7年というように物差しが異なります。

マイナンバーも一律の保存期間があるわけではなく、記載された書類の保存期間に合わせて管理し、法定保存期間が満了して個人番号関係事務に利用する必要がなくなった後は、速やかに廃棄または削除することが原則です。

書類ごとに保管期間と起算日を一覧化し、満了日を可視化しておくことで、法令違反と個人情報の抱え込みの両方のリスクを防ぎやすくなります。

本コラムの著者

塩坂 うみ

フリーライター

社会保険関連や企業の人事・労務向けのコラムを中心に執筆するフリーライター。美容関連やクリニック紹介、マニュアル作成などの執筆経験を活かし、読者が理解しやすい、実務に即した記事づくりを心がけている

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