ここがポイント!
- 現在マイナポータルで電子申請が可能な健康保険組合向けの手続きについて、今後e-Gov(電子申請API)に移行されます。
- 人事給与システムが未対応でもe-Govアプリケーションで申請できますが、申請フォーマット(XML)がマイナポータルと異なるため確認が必要です。
- マイナポータル経由の申請は移行後も並行利用できますが、終了時期は未確定のため、e-Govからの案内の確認が必要です。
健康保険組合への電子申請をマイナポータル経由で行っている企業では、今後の申請方法が変わることをご存じでしょうか。
現在、マイナポータルの「社会保険・税手続申請API」で電子申請できる健康保険組合向けの手続きについて、e-Govの『電子申請API』へ移行する準備が進められています。
当初は2026年11月の利用開始が予定されていましたが、2026年10月14日に延期が発表され、変更後のスケジュールは未定です。
移行後は、e-Gov電子申請アプリケーションを利用して申請できるようになるほか、人事給与システムなどからe-Govの『電子申請API』を利用する方法も整備されます。
一方、現在のマイナポータル経由の申請については、e-Govへの移行後も一定期間は並行して利用できる予定です。
本記事では、健康保険組合の電子申請がなぜ変わるのか、対象となる手続きや今後のスケジュール、移行に向けて人事・労務担当者が確認しておきたい点を解説します。
1.健康保険組合の電子申請は現在どうなっている?
社会保険関係の電子申請ではe-Govを利用する手続きが多い一方、現在マイナポータルの「社会保険・税手続申請API」で電子申請できる健康保険組合向けの手続きについては、e-Govとは異なる申請経路が用いられています。
こうした中、e-Govでは、電子申請のさらなる普及を図る観点から、健康保険組合向けの手続きについてもe-Govの電子申請APIを経由した申請を可能にすることとしました。現在マイナポータル経由の電子申請に対応している人事給与システムなどは、e-Govへ申請先を移行することになります。
移行の目的は、事業主が行う社会保険手続きの申請先をe-Govに統一し、事務負担を軽減することです。これまで健康保険組合への電子申請には、マイナポータルと連携した人事給与システムなどが必要でした。移行後は、年金事務所やハローワーク向けの手続きと同じくe-Govで申請できるようになり、人事給与システムを使わずに、e-Gov電子申請アプリケーションからCSVファイルを添付して申請する方法も利用できるようになる予定です。
ただし、今回e-Govが移行の対象としているのは、現在マイナポータルで電子申請が可能な健康保険組合向けの手続きです。
つまり、健康保険組合へのすべての申請方法が一度に変更されるという話ではなく、現在マイナポータル経由で電子申請している対象手続きについて、申請先をe-Govへ移すための仕組みが整備されているのです。
今回の移行で、申請書の提出先である健康保険組合そのものが変わるわけではありません。変更されるのは、対象手続きを電子申請する際に利用するシステムです。
人事・労務担当者にとっては、「健康保険組合への届出内容が変わる」というよりも、「電子申請の方法が変わる」と捉えると分かりやすいでしょう。
参照:e-Gov Developer健康保険組合手続のe-Gov経由への移行についてお知らせ
2.健康保険組合の電子申請はどう変わる?
今回の変更では、現在マイナポータルの「社会保険・税手続申請API」で電子申請できる健康保険組合向け手続きについて、e-Govの『電子申請API』を利用した申請へ移行する予定です。
e-Govでは、人事給与システムとe-Gov電子申請システムを接続するための検証環境が用意され、2026年8月7日から連携テストが開始されています。
また、人事給与システム側でe-Govの『電子申請API』による電子申請に対応していない場合でも、e-Govアプリケーションを利用して申請できることがFAQで案内されています。
参照:健康保険組合向け手続について(FAQ集)(20260929)
そのため、移行後は「現在使っている人事給与システムが対応しているかどうか」だけが申請手段を決めるのではなく、e-Govアプリケーションを利用して直接申請する方法も選択肢になります。
なお、e-GovのFAQでは、マイナポータルとe-Govでは申請フォーマット(XML)が異なることも示されています。
システムから電子申請している企業では、単に申請先が変わるだけではなく、利用するデータ形式なども確認が必要です。
e-Govへの移行対象となる主な手続き
e-Gov Developerサイトの案内によれば、2026年8月7日から人事給与システムのベンダー向けの検証環境において、人事給与システムとe-Gov電子申請システム間の連携テストが開始されています。
対象となっている主な手続きは以下のとおりです。(表1)
(表1)
| 分類 | 主な対象手続き |
|---|---|
| 資格・異動 | CSV形式届書総括票(資格取得、資格喪失、月額算定、月額改定、賞与、被扶養者異動届の6届出共通様式) |
| 産前産後休業 | 産前産後休業取得者申出書・変更(終了)届、産前産後休業終了時報酬月額変更届など |
| 育児休業 | 育児休業等取得者申出書(新規・延長)・終了届、育児休業等終了時報酬月額変更届など |
| 適用関係 | 介護保険適用除外等該当届、新規適用届、任意適用申請書・取消申請書、一括適用承認申請書 |
e-Gov側での利用開始は当初2026年11月の予定でしたが延期となり、新たな開始時期は未定です。
さらに注意したいのは、表に記載した手続きが「健康保険組合へ提出するすべての手続き」ではないことです。
e-Govが公表しているのは、今回の移行に伴う対象の手続きのみです。
対象手続きや提出先(加入する健康保険組合)は、e-Govで公開されている手続情報一覧・提出先一覧のほか、加入している健康保険組合や利用中のシステムベンダーの案内で確認しましょう。
参照:e-Gov Developer健康保険組合手続のe-Gov経由への移行についてお知らせ
3.今後のスケジュールとマイナポータルの並行期間
e-Govでは、健康保険組合向け手続きについて当初2026年11月の利用開始を予定していましたが、2026年10月14日に延期が発表されました。今後のスケジュールは決まり次第、案内される予定です。
また、マイナポータル経由の申請がe-Govへの移行と同時に終了するわけではありません。
e-Govの案内では、マイナポータルにおける健康保険組合向け手続きの申請受付について、当初は2026年12月までを予定していたものの、延長する予定とされています。
そのため、「e-Gov移行後はマイナポータルが使えなくなる」のではなく、しばらくは従来の申請経路が並行する予定であることを押さえておく必要があります。
なお、マイナポータル経由の申請をいつまで利用できるのかについては、現時点で最終的な終了時期が確定しているわけではありません。今後のe-Govからの案内を確認する必要があります。
4.e-Gov移行に向けて担当者が確認すること
健康保険組合への電子申請ルートが変わることで、届出そのものの内容が大きく変わるわけではありません。担当者が確認したいのは、主に申請環境と運用方法です。
利用しているシステムの対応状況を確認する
人事給与システムや労務管理システムから健康保険組合への電子申請を行っている場合は、まず利用中のシステムがe-Gov経由の申請に対応するか確認しましょう。
確認する際は、利用中のシステムが「e-Govに対応するか」だけではなく、健康保険組合向け手続きがいつから利用できるのか、自社で利用している手続きが対応対象に含まれるのかまで確認すると、移行時の準備を進めやすくなります。
e-Govでの申請方法を確認する
今回の移行では、申請データの形式も確認しておく必要があります。e-GovのFAQでは、健康保険組合向け手続きについて、マイナポータルとe-Govの申請フォーマット(XML)は異なると案内されています。
また、人事給与システム側でe-Govの『電子申請API』による電子申請機能に対応していない場合でも、e-Govアプリケーションを利用して申請できることがFAQで示されています。
現在の申請方法と移行後の方法が同じとは限らないため、自社でどの方法を利用するのかを事前に確認しておきましょう。
委託先との切り替え時期を確認する
電子申請を社会保険労務士などの外部へ委託している場合は、委託先にも移行スケジュールを確認しましょう。
委託先がいつからe-Gov経由へ切り替えるのか、企業側で準備や設定が必要なのかをあらかじめ確認しておくと、移行時の対応がスムーズです。
まとめ
健康保険組合向けの電子申請は、現在マイナポータルで電子申請が可能な対象手続きについて、e-Govへ移行する準備が進められています。
e-Govでの申請は2026年8月7日から検証環境での連携テストが始まっているものの、具体的なスケジュールは公表されていません。
移行後はe-Govを利用した申請が可能になるほか、人事給与システムなどからe-Govの『電子申請API』を利用する方法も整備されます。ただし、利用しているシステムの対応状況については、各ベンダーへの確認が必要です。
また、マイナポータル経由の申請はe-Govへの移行後も一定期間は並行して利用できる予定です。
現時点では終了時期が確定していないため、今後のe-Govからの案内を確認しながら対応を進める必要があります。
2026年10月時点で、e-Govでは申請書のXML構造定義やFAQなどが更新されています。
健康保険組合への電子申請を担当している企業では、自社の申請方法や利用システムを確認しながら、今後の案内にも注意しておきましょう。
参考:「健康保険組合向け手続きについて FAQ集」
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