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第81回
最大9割の税額控除も可能!企業版ふるさと納税の仕組みと導入メリット

企業の社会貢献活動がますます重要視されるなか、「企業版ふるさと納税」に注目が集まっています。
この制度を活用すれば、企業は地方自治体の地域活性化プロジェクトに寄附しながら、最大9割の税額控除を受けることが可能です。

単なる節税対策にとどまらず、CSRやSDGsの取り組みとしても有効なこの制度ですが、具体的な仕組みや活用方法については十分に理解されていない部分もあります。

本コラムでは、企業版ふるさと納税の基本的な仕組みやメリット、活用のポイントについて解説し、企業がどのように制度を活用できるのかを詳しく紹介します。

1. 企業版ふるさと納税とは?

企業版ふるさと納税は、企業が地方自治体に寄附を行い、地域活性化を支援する制度です。自治体が実施する地域再生計画に基づく事業への寄附が対象となり、産業振興や観光促進、教育支援など、多岐にわたるプロジェクトに活用されます。

企業版ふるさと納税の大きな特徴のひとつが税制優遇措置です。企業が寄附を行うと、法人税や法人住民税、法人事業税の控除が受けられ、寄附額の最大約9割が税額控除される仕組みになっています。

そのため、企業の実質的な負担は大幅に軽減され、社会貢献と節税対策を両立できるメリットがあります。

また、個人向けのふるさと納税とは異なり、企業版ふるさと納税には返礼品がありません。 その代わりに、企業の社会的責任(CSR)活動の一環として、地域との関係構築やブランディング強化につながる点が評価されています。

特に、地方創生やSDGsの観点からも、企業が積極的に活用すべき制度として注目されています。

ふるさと納税の制度詳細や実務サポートについては、以下の記事もあわせてご参照ください。

2. 企業が活用するメリット

企業版ふるさと納税を活用することで、企業は単なる寄附以上の価値を得ることができます。具体的なメリットとして、以下の4点が挙げられます。

(1)節税対策

最大のメリットは税額控除です。
寄附額の約9割が法人税・法人住民税・法人事業税から控除されるため、企業の実質的な負担は大きく軽減されます。

通常の寄附では損金算入のみが認められるのに対し、企業版ふるさと納税ではこれに加えて税額控除が適用されるため、より高い節税効果を得ることが可能です。

(2)地域貢献(CSRの推進)

地方自治体が取り組む地域活性化プロジェクトに直接貢献できる点も大きな魅力です。

過疎地域のインフラ整備や教育支援、観光振興など、自治体ごとにさまざまな事業が実施されており、企業は自社の理念や事業方針に合ったプロジェクトを支援できます。
こうした活動を通じて、企業の社会的責任(CSR)を果たすことができます。

(3)企業ブランディング(SDGs・ESG経営の推進)

近年、多くの企業がSDGs(持続可能な開発目標)やESG(環境・社会・ガバナンス)経営を推進しています。

企業版ふるさと納税を活用すれば、地方創生に貢献する姿勢を社内外に示すことができ、社会貢献活動を通じた企業イメージの向上につながります。

特に、環境保護や地域の教育支援などの分野では、企業の社会的価値を高める大きなアピールポイントとなります。

(4)地域との関係構築(将来的な事業展開・採用活動への好影響)

企業が特定の地域に継続的に貢献することで、自治体や地元企業とのつながりが深まり、将来的な事業展開の土台となる可能性があります。

例えば、新たな工場やオフィスの設立、観光業への参入など、地域と協力することで生まれるビジネスチャンスもあります。

また、地域支援を行うことで、そのエリアの人材採用にもプラスに働き、企業の知名度向上や優秀な人材の確保にもつながるでしょう。

企業版ふるさと納税は、単なる税制優遇制度ではなく、企業が社会貢献しながら成長戦略の一環として活用できる制度です。企業版ふるさと納税を積極的に活用することで、企業・地域双方にとってのメリットが生まれる仕組みになっています。

3. 企業版ふるさと納税の仕組み

企業版ふるさと納税には、主に「資金提供型」と「人材派遣型」の2つの仕組みがあります。
いずれも、地方自治体が推進する地方創生事業への貢献を目的としており、企業は自社の方針やCSR戦略に合わせて活用することができます。

(1)資金提供型(寄附による支援)

最も一般的な形態が「資金提供型」です。企業が地方自治体の認定を受けたプロジェクトに対して寄附を行い、その資金が地域活性化に活用されます。

主な対象事業:

  • 産業振興(地元企業の育成、新規産業の創出)
  • 観光推進(観光資源の活用、イベントの支援)
  • 教育支援(地域の学校や職業訓練施設の整備)
  • 環境保全(再生可能エネルギー推進、森林保護)

企業は、支援したい分野を選び、地域課題の解決に貢献することが可能です。
寄附額の最大9割が税額控除されるため、節税対策としても活用しやすい制度となっています。

(2)人材派遣型

資金提供だけでなく、企業の専門人材を自治体へ派遣する「人材派遣型」もあります。
企業のノウハウを活かして地域の課題解決を支援する仕組みで、地方の人材不足解消にも貢献できます。

例えば、IT企業がデジタル化支援のために技術者を派遣したり、金融機関が地域の中小企業向けに経営アドバイザーを派遣したりするケースです。

企業にとっては、社会貢献活動の一環としてだけでなく、社員のキャリア形成やスキル向上の機会にもなります。
また、自治体と継続的な関係を築くことで、将来的なビジネス展開につながる可能性もあります。

対象となる事業の条件

企業版ふるさと納税が適用されるのは、地方創生に資する事業であることが条件となります。

自治体が策定する「地域再生計画」に基づく事業が対象であり、単なる財政支援ではなく、地域の持続的な発展につながる事業であることが求められます。

企業は、自社の理念や強みを活かせるプロジェクトを選択し、地域社会と共に発展を目指すことができるのが企業版ふるさと納税の大きな特徴です。

4. 活用時の注意点

企業版ふるさと納税を活用する際には、いくつかの重要なポイントを理解し、適切に手続きを進める必要があります。
特に、適用要件や対象事業の確認、手続きの流れについては事前にしっかり把握しておくことが求められます。

(1)適用要件

企業版ふるさと納税を利用するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 年間10万円以上の寄附が必要(小規模な寄附は対象外)
  • 対象となる自治体の認定プロジェクトへの寄附であること

(2)対象事業の確認

企業版ふるさと納税は、すべての地方自治体の事業が対象になるわけではなく、国が認定した「地方創生プロジェクト」に限られます。そのため、寄附先を決める際には、以下の点を確認しておきましょう。

  • 自治体の地域再生計画に基づく事業であるか
  • 産業振興、観光推進、教育支援、環境保全など地方創生に資する事業であるか

事前に自治体との協議を行い、企業の目的に合ったプロジェクトを選択することがポイントです。

(3)利益供与の禁止

企業版ふるさと納税は、地域貢献を目的とした制度であり、企業が経済的な見返りを受けることは禁止されています。

例えば、以下のような行為は認められません。

  • 企業が自治体から直接的な利益を得る契約を結ぶ
  • 寄附を条件に、自治体から補助金や優遇措置を受ける

また、個人向けのふるさと納税とは異なり、返礼品の提供は一切ないため、その点も理解した上で活用する必要があります。

5. 具体的な活用例

(1)製造業

•地域のものづくり支援事業への寄附

製造業の企業が、地域の伝統工芸や地場産業の技術継承、設備導入支援などに寄附することで、地域の産業基盤強化に貢献できます。

例えば、地元の職人育成支援や、新たな製品開発のための研究支援などが考えられます。

(2)IT企業

•地域のデジタル化推進プロジェクトの支援

IT企業が、自治体のデジタル化や地域企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を支援することで、業務効率化や地域経済の活性化につながります。

具体的には、学校教育のICT環境整備や、観光業向けのデジタルマーケティング支援などが考えられます。

(3)観光業

•観光資源の開発・PR活動の支援

観光業を営む企業が、地域の観光資源開発やプロモーション活動に寄附することで、地域経済の活性化に寄与できます。

例えば、観光施設のリニューアル支援、地域の食文化を発信するイベントの開催支援などが挙げられます。

まとめ

企業版ふるさと納税は、企業が地方自治体に寄附を行い、地域活性化を支援する制度です。
最大9割の税額控除が受けられるため、節税対策と社会貢献を両立できる点が大きなメリットとなります。

また、企業のCSR活動やSDGs・ESG経営の一環としても活用でき、ブランディング強化や地域との関係構築を促進する効果が期待されます。
資金提供型と人材派遣型の2種類があり、企業は自社の方針に合った形で地域に貢献することが可能です。

ただし、適用要件や対象事業の確認が必要なため、事前に自治体の認定プロジェクトを調査し、適切な手続きを進めることが重要です。
企業版ふるさと納税を活用することで、企業と地域双方にとって持続的な発展につながる可能性があります。

本コラムの著者

山下 うみ

フリーライター

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