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2025年最新版|36協定の本社一括届出とは?

36協定の届出は、原則として「事業所ごと」に行うことが定められています。
しかし、一定の条件を満たせば「本社一括」での届出も可能です。

2025年には、本社一括届出に関する取扱いについての見直しが予定されており、労働条件ポータルサイト(仮称)を利用した新たな電子申請方法も加わります。

この記事では、36協定の基本から本社一括届出の要件・メリット・デメリット、そして最新の制度変更ポイントまでを整理して解説します。

1. 36協定とは?改めて確認しておきたい基本

36協定(時間外・休日労働に関する協定)とは、労働基準法第36条に基づく労使協定です。

企業が法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えて労働させる場合や、休日労働を命じる場合には、労働者代表(または労働組合)と協定を締結し、所轄の労働基準監督署に届出を行う必要があります。

届出を行わずに時間外労働をさせた場合、労働基準法違反となるため、各企業で確実な管理が求められます。

36協定の届出は、支店・営業所などの「事業所単位」で行うのが原則です。
これは、事業所ごとに勤務形態や労働時間の実態が異なるためです。

例えば、同じ企業であっても、東京本社と地方営業所では残業時間の傾向や勤務シフトが違う場合があります。

そのため、各事業所で過半数代表者を選出し、それぞれで協定を締結・届出する必要があります。

2. 36協定の「本社一括届出」とは?

労働基準法第36条に基づき、企業が従業員に法定時間を超えて労働させる場合には、労使間で「36協定(時間外・休日労働に関する協定)」を締結し、所轄労働基準監督署に届け出る必要があります。

通常、36協定は「事業所ごと」に締結・届け出する必要がありますが、一定の条件を満たせば「本社一括届出」が認められる場合があります。

これは、複数の事業所を持つ企業が本社を窓口として、一括で36協定を届け出られる仕組みです。

3. 本社一括届出が認められる要件

(1)事業所の労務管理が本社で一元化されていること

各事業所で勤務実態の把握や残業時間の管理が本社で統一的に行われている場合に限り、一括届出が認められます。

例えば、勤怠管理システムが全社で統一され、就業規則や労働時間制度も本社が管理しているケースです。

(2)各事業所の労働者代表が明確に選出されていること

36協定は事業所単位での労使合意が前提のため、事業所ごとに労働者代表を選出する必要があります。
そのうえで、本社が各代表者と協定を締結し、まとめて届け出を行う形になります。

(3)事業所の所在地が同一労働局管轄内にあることが原則

本社一括届出は、基本的に同一労働局管轄内の事業所を対象としています。
ただし、都道府県をまたぐ場合であっても、労働局との個別協議により認められるケースもあります。この点は法令に明文された要件ではなく、運用上の取扱いであるため、事前に所轄労働局へ確認することが推奨されます。

4. 本社一括届出のメリット・デメリット

メリット1:管理業務の効率化

事業所ごとに提出書類を作成・提出する手間が省け、本社で一元的に対応できるため、労務管理部門の負担を大幅に軽減できます。

メリット2:提出内容の整合性が保たれる

各事業所で異なるフォーマットや記載内容になってしまうリスクを防ぎ、統一的な協定内容を維持できます。

デメリット1:各事業所の労使合意が形式的になりやすい

本社主導で進めるあまり、現場の実態を十分に反映できないまま協定が締結されるケースもあります。
実際の労働時間や残業上限を把握したうえで、各代表者との実質的な合意形成を丁寧に行うことが重要です。

デメリット2:管轄の違いによる届出制限

事業所が複数の都道府県にまたがる場合、それぞれの労働基準監督署に個別提出が必要となるケースがあります。
自社の事業所配置や管轄を事前に確認しておきましょう。

5. 36協定の本社一括届出を電子申請で行う方法

現在、36協定は「e-Gov(イーガブ)電子申請」を利用してオンライン提出が可能です。
本社一括届出もこの仕組みを利用すれば、紙での提出を省略できます。

2025年4月以降には、厚生労働省が構築を進めている「労働条件ポータルサイト(仮称)」からも届出が可能となる見込みです。

また、同年6月には特別条項付き協定に関する法令改正が予定されており、運用の見直しも検討されています。

6. 本社一括届出の実務上のポイント

労働組合または労働者代表の選定手続きの明確化

各事業所の代表者選出は、形式だけでなく「民主的手続き」に基づいて行われたものである必要があります。
選出方法や経緯を記録し、社内で保存しておくと監督署対応にも役立ちます。

提出書類の内容を統一する

本社が一括で提出する際は、協定書の内容(上限時間・特別条項など)をすべての事業所で統一しておくことが基本です。
ただし、業務内容や繁忙期が異なる場合は、事業所ごとに異なる協定内容を作成し、個別届出と併用する方法も検討しましょう。

7. 本社一括届出を利用しない一括届出の方法

本社一括届出については管轄制限がある為、全国に支社・支店を持つ企業では運用上の柔軟性に欠ける面があり、結果的に事業所ごとの申請を行うこととなります。
この課題を解決するために、Charlotteでは以下のような支援機能を提供しております。

  • 事業所単位の手続きをマスターとして簡単に複製・生成できる
  • 全国の事業所単位の申請を一括で行うと自動的に提出先を振り分けして提出できる。

の2点により、本社一括申請の仕組みを利用しなくても同様の運用が可能です。

まとめ

労働局ごとに運用や確認手順が微妙に異なる場合もあるため、特に全国展開している企業では、事前に各局への照会や電子申請システム上の届出先確認を行うことが重要です。

また、2025年以降は、電子申請やポータルサイトの利用拡大など、36協定の届出方法が大きく変化します。

本社一括届出は、労務管理の効率化を図るうえで有効な選択肢ですが、各事業所の実態把握や代表者選出の正確性を欠くとトラブルにつながる恐れがあります。

自社の労務管理体制を見直しつつ、「事業所ごと」と「本社一括」のどちらが適しているかを検討し、今後の制度変更にも柔軟に対応していきましょう。

本コラムの著者

山下 うみ

フリーライター

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