2025年6月13日に年金制度改正法が成立し、6月20日に公布されました。
企業の実務に関わる内容について解説します。
目次
1. 改正の概要
企業に関わる改正の趣旨は、「働き方に中立的で、ライフスタイルの多様化等を踏まえた制度を構築するとともに、高齢期における生活の安定及び所得再分配機能の強化を図るための公的年金制度の見直し」です。
そのうち、企業の実務に影響のある改正は、以下のとおりです。
- 被用者保険の適用拡大を進める
- 在職老齢年金の支給停止となる収入要件基準額を50万円から62万円に引き上げる
- 厚生年金保険等の標準報酬月額の上限を段階的に引き上げる
施行日は、改正内容により異なります。スケジュールについては図1のようになっています。

出典:厚労省㏋「年金制度改正法が成立しました」法律説明資料(詳細版)
2. 社会保険の適用拡大
ポイントは2つあります。
(1)賃金要件の撤廃により、「106万円の壁」をなくす
最低賃金の引き上げの状況により、公布日(2025年6月20日)から3年以内に賃金要件を廃止することで、短時間労働者の「106万円の壁」がなくなります。(学生は対象外)
(2)企業規模要件の撤廃により、働く企業の規模にかかわらず社会保険に加入する
同じ働き方をしていても、社会保険の被保険者となるかならないかに差があり、将来の年金受給額に差があることが高年齢者の低収入につながっているという課題があり、この格差是正を目的とした改正が行われます。現在(2025年6月時点)では、被保険者数51人以上の企業が適用拡大対象ですが、2027年10月から段階的に拡大されます。
- 2027年10月~ 36人以上の企業
- 2029年10月~ 21人以上の企業
- 2032年10月~ 11人以上の企業
- 2035年10月~ 10人以下の企業
なお、現在農林水産業、理美容業、飲食業などの一部業種(いわゆる適用除外業種)以外の常時5人以上の者を使用する個人事業所については、2029年10月から社会保険の加入義務対象となります。(2029年10月時点で既に設立されている事業所は当分の間、対象外)
3. 在職老齢年金の見直し
人手不足や物価上昇への対応のため、高年齢者が年金の支給停止を気にせずに働けるよう、2026年4月から在職老齢年金の支給停止基準額を50万円から62万円に引き上げることになりました。
4. 厚生年金保険等の標準報酬月額の上限の引き上げ
現在(2025年6月時点)の厚生年金保険料の標準報酬月額(保険料計算の基礎となる月額)の上限は月65万円です。この上限を2027年9月から3年間で段階的に引き上げられます。
- 2027年9月~ 68万円への引き上げ
- 2028年9月~ 71万円への引き上げ
- 2029年9月~ 75万円への引き上げ

出典:厚労省㏋「年金制度改正法が成立しました」法律説明資料(詳細版)
引き上げは、それぞれの年度で算定基礎届により決定された標準報酬月額により保険料が徴収されるタイミングになります。
また、月額変更により9月以降に引き上げられる標準報酬月額の上限に該当するケースにも注意が必要になります。
標準報酬月額の月額変更届については、以下の記事もあわせてご参照ください。
以上、年金制度改正で企業に関わりのある内容について解説いたしました。準備期間や激減緩和措置として、段階的に改正されていきます。在職老齢年金の引き上げや厚生年金保険料の標準報酬月額の上限引き上げは、従業員の働き方や人事制度にも影響のある内容です。
施行日を確認し、準備を進めていきたいですね。
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