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【2025年(令和7年)年末調整】
変更点と提出方法別メリット・デメリットを解説

年末調整は、毎年9月頃から人事・労務担当者が本格的に準備を始める重要な業務です。

2025年(令和7年)の年末調整は、様式や提出方法に一部変更があり、例年どおりの進め方では誤りや遅延につながる恐れがあります。

本記事では、今年度の主な変更点と注意すべきポイントを整理したうえで、書類提出方法(紙・電子・マイナポータル連携)のメリット・デメリットを比較し、来年度以降の見通しも解説します。

1. 2025年(令和7年)年末調整の主な税制改正と留意点

令和7年度税制改正により、所得税に関する複数の制度が見直されます。
施行日は令和7年12月1日で、同日以降に支払われる給与や年末調整業務から適用されます(11月以前の給与計算や源泉徴収には影響しません)。

今年の年末調整では以下の4つの改正が特に重要です。

基礎控除額の拡充と所得段階制

これまで一律48万円だった基礎控除額が、所得水準に応じて最大95万円まで引き上げられます。

たとえば、年収200万円程度の従業員は95万円の基礎控除を受けられる一方、年収が高くなるにつれて控除額は段階的に縮小します(年収850万円超は58万円、2,350万円超は現行と同額)。

年末調整時には、改正前の源泉徴収税額表で徴収してきた税額を、改正後の基礎控除額で再計算し、差額を精算する必要があります。

給与所得控除の下限額引き上げ

給与所得控除の下限額が55万円から65万円にアップします。

対象は給与収入190万円以下の従業員で、それ以上の収入層の控除額は従来どおりです。
こちらも年末調整では新しい控除額を反映させ、年間の税額を再計算します。

「特定親族特別控除」の新設

19歳以上23歳未満で、一定の所得範囲(給与収入123万円超188万円以下)にある親族を扶養している場合、合計所得金額に応じて3万円〜63万円の追加控除を受けられます。

該当者は「給与所得者の特定親族特別控除申告書」を提出する必要があり、控除額は9段階で設定されています。

初年度は従業員からの申告漏れ防止が重要です。

扶養親族・配偶者等の所得要件引き上げ

基礎控除額の見直しに合わせ、扶養控除や配偶者特別控除の所得基準も緩和されます。

たとえば、扶養親族や同一生計配偶者の所得要件は「48万円以下」から「58万円以下」(給与収入123万円以下)に引き上げられ、配偶者特別控除の対象範囲も広がります。

勤労学生控除の所得上限も75万円から85万円に拡大されます。

2025年(令和7年)年末調整 主要改正ポイント一覧

改正項目 改正内容 対象者・条件 実務上の注意点
基礎控除額の拡充 一律48万円 → 所得に応じ58〜95万円 年収200万円以下は最大95万円、年収850万円超は58万円、2,350万円超はゼロ控除 年末調整時に改正後額で精算が必要
給与所得控除下限引き上げ 最低55万円 → 65万円 給与収入162.5万円以下 年末調整で改正後の控除額を適用
特定親族特別控除の新設 所得に応じ3〜63万円控除 19〜23歳未満、給与収入123〜188万円の親族 「特定親族特別控除申告書」の提出必須
扶養・配偶者等の所得要件引き上げ 所得要件48万円以下 → 58万円以下等 扶養親族、同一生計配偶者、勤労学生 該当者が増える可能性、事前周知が必要

2. 2025年年末調整で注意すべきポイント

  • スケジュールの前倒し

    様式変更に伴い、従業員への案内やマニュアル更新が必要です。9月中には社内配布を開始できる体制を整えておきましょう。

  • 記載内容の周知

    記入方法の細かな変更点を周知しないと、回収後の確認作業が増加します。説明資料や記入例の提示が有効です。

  • 電子化対応の確認

    社内システムや委託先の仕様が新様式に対応しているか、事前にテスト送信やレイアウトチェックを行いましょう。

3. 年末調整書類の提出方法は3種類

企業が従業員から年末調整の必要書類を回収する方法は、大きく分けて3つあります。
それぞれに特徴とメリット・デメリットがあるため、自社の環境や従業員の状況に合わせて選択・併用すると効率的です。

事業者経由(紙提出)

  • 方法
    従業員が紙の申告書類(扶養控除等申告書、保険料控除申告書など)を記入し、直接人事・労務担当者に提出。
  • メリット
    • パソコンやスマートフォン操作が苦手な従業員でも対応可能
    • 書類の原本をそのまま保管でき、証憑管理がシンプル。
  • デメリット
    • 記入漏れや誤記のチェックを人手で行う必要があり、担当者の負担が大きい。
    • 配布・回収・保管に時間とコストがかかる。

紙提出は依然として多くの企業で使われていますが、特に従業員数が多い場合は確認作業やデータ入力が煩雑になりやすい方法です。
電子化が進んでいる中でも、電子化環境の整っていない企業では安定した選択肢となります。

事業者経由(電子提出)

  • 方法
    年末調整対応システムや給与計算ソフトを通じて、従業員がオンラインで申告書類を作成・提出。
  • メリット
    • 入力内容の自動チェックや自動計算により、記入ミスを大幅に減らせる。
    • 回収・データ化の時間短縮、ペーパーレス化が可能。
  • デメリット
    • システム導入コストや社内研修が必要。
    • ネット環境や操作スキルがない従業員への対応策が必要。

電子提出は業務効率化に直結しますが、社内全体で運用ルールを統一しないと混乱が生じる恐れがあります。
特に初年度はサポート体制を整えることが成功の鍵です。

マイナポータル提出

  • 方法
    従業員がマイナポータルから控除証明書などのデータを取得し、対応システムに連携して提出。
  • メリット
    • 生命保険料控除証明書や住宅ローン控除証明書などを自動取得でき、添付不要。
    • データの正確性が高く、紙証憑の管理負担が軽減。
  • デメリット
    • 従業員がマイナンバーカードを保有し、利用者登録している必要がある。
    • 対応システムとの連携設定が必要で、導入準備に時間がかかる。

マイナポータル提出は、将来的に主流化が見込まれる方法です。
ただし、カード普及率や操作慣れの課題があり、現時点では紙や電子提出との併用が現実的な場合もあります。

この3種類の方法は、必ずしも一つに絞る必要はありません。
企業によっては紙提出と電子提出を併用し、さらにマイナポータル対応を段階的に導入するのも一つの方法です。

業務負担と従業員の利便性を両立できる組み合わせを検討するとよいでしょう。

年末調整の電子化についての詳しい解説は、以下の記事もあわせてご参照ください。

4. 令和8年分からの源泉徴収事務の主な変更点

令和8年1月以降に支払われる給与や公的年金については、税制改正に伴い源泉徴収のルールが一部変わります。

具体的には、扶養控除等申告書に「源泉控除対象親族」の記載欄が追加され、特定の親族については毎月の給与計算時に特別控除が反映されるようになります。

また、源泉徴収税額表も改訂されるため、従来と同じ計算式では誤差が生じる可能性があります。

実務でのチェックポイント

  • 申告書の記載確認

    従業員が提出する扶養控除等申告書に、源泉控除対象親族が正しく記載されているかを必ず確認する。

  • 改訂後の税額表を使用

    令和8年分の新しい源泉徴収税額表に基づき、毎月(または日割り)の源泉徴収額

  • 生命保険料控除の拡充対応

    子育て世代向けの生命保険料控除が拡充されるため、控除額計算や証明書類の確認手順も見直す。

こうした変更は、年末調整や月々の給与計算に直結するため、事前に新様式や税額表を入手し、社内の計算システムやフローに反映しておくことが重要です。

まとめ

以上、令和7年(2025年)年末調整における主な変更点について解説しました。

基礎控除額の拡充や給与所得控除の下限額引き上げ、特定親族特別控除の新設など、税制面での大きな見直しが行われています。
これらの改正は、年末調整の計算方法や申告書の記入内容に影響を与えるため、担当者は正確な理解と周知を徹底する必要があります。

また、提出方法についても紙、電子、マイナポータル連携など複数の選択肢があり、それぞれのメリット・デメリットを踏まえた運用が求められます。

制度の変更点と提出方法の特徴をしっかり把握し、スムーズかつ正確な年末調整の実施を目指しましょう。

本コラムの著者

塩坂 うみ

フリーライター

社会保険関連や企業の人事・労務向けのコラムを中心に執筆するフリーライター。美容関連やクリニック紹介、マニュアル作成などの執筆経験を活かし、読者が理解しやすい、実務に即した記事づくりを心がけている。

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