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社会保険適用拡大で何が変わる?
押さえておくべき改正ポイントと準備

2025年6月、「年金制度改正法」が国会で成立しました。
今後、公布・施行を経て、社会保険(厚生年金・健康保険)の適用対象が段階的に広がっていきます。

これまで「106万円の壁」や「従業員数51人以上」といった条件のために社会保険に加入していなかった短時間労働者も、今後は順次対象に含まれていく見込みです。

企業の担当者にとっては、従業員の加入手続きやコスト試算、社内説明など準備が欠かせません。

本記事では、改正の全体像と、押さえておきたい実務対応のポイントを整理します

1. 改正により何がどう変わるのか

今回の法改正の大きな柱は以下の通りです。

  • 賃金要件(106万円の壁)の撤廃
  • 企業規模要件(51人以上)の撤廃 → 順次縮小し、最終的に廃止
  • 個人事業所への適用範囲拡大
  • 短時間労働者や事業主への支援制度

これらは一度に施行されるのではなく、数年単位で段階的に導入されます。

特に「50人以下の企業はいつから対象になるのか?」は多くの企業に関わる論点ですので、スケジュールをしっかり把握する必要があります。

賃金要件(106万円の壁)の撤廃

現在は「週20時間以上」「月額賃金8.8万円以上(年収106万円相当)」など複数の要件がありますが、そのうち賃金要件は廃止される予定です。

つまり、賃金額にかかわらず、労働時間や日数が一定水準を満たせば社会保険の対象になります。

従来は「収入調整のため勤務時間を減らす」といった働き方も多く見られましたが、撤廃後は安定的に就労する選択肢が広がることになります。

一方で、企業にとっては社会保険料負担が想定以上に増える可能性があるため、早期に影響試算を行うことが重要です。

出典:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

企業規模要件の撤廃

これまで「従業員数51人以上の企業」に勤める場合のみ社会保険の対象とされていましたが、この要件は段階的に縮小されます。

  • 2027年10月:36人以上
  • 2029年10月:21人以上
  • 2032年10月:11人以上
  • 2035年10月:実質的に1人以上(規模要件なし)

つまり、最終的には従業員数が少ない企業もすべて対象となります。

この改正により、これまで対象外とされていた中小規模の事業所も社会保険制度に組み込まれることになります。

結果として、労働者にとっては企業規模に左右されず公平な保障が受けられる一方、中小企業には負担増をどう乗り越えるかという課題が生じる可能性もあるでしょう。

個人事業所への適用範囲拡大

現在は「常時5人以上の従業員がいる17業種」に限定されている個人事業所での適用範囲も、2029年10月以降、政令等で詳細が定められつつ段階的に拡大される予定となっています。

ただし一部の既存事業所については「当分の間」適用除外とされるケースもあるため、詳細は厚生労働省の発表を確認が必要です。

これにより、従来は適用外だった飲食業やサービス業など幅広い業種で、社会保険加入の必要性が生じます。

対象となる事業主は早めに人員構成を確認し、制度開始時に混乱が起きないよう備えることが求められます。

出典:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

短時間労働者・事業主への支援

適用拡大により新たに社会保険料を負担することになる短時間労働者や事業主に対し、国による支援措置が設けられます。
事務手続きの支援や、追加負担分に対する助成(例:事務手続き支援、保険料負担軽減策 等)が想定されています。

とくに中小企業では人件費負担が大きな懸念となるため、これらの支援策を積極的に活用することが鍵となるでしょう。

また、従業員への説明を通じて「負担増」だけでなく「将来の保障が厚くなる」というメリットを理解してもらうことも重要です。

出典:厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」

2. 「50人以下の企業」はいつから対象になるか

「社会保険加入条件 50人以下 いつから?」という疑問を持つ方は多いでしょう。

結論から言えば、2027年以降の段階的な企業規模要件の縮小により、順次対象が広がり、2035年にはすべての企業が対象となります。

つまり、現時点で50人以下の企業も「まだ関係ない」とは言えません。数年後に自社が対象になるタイミングを把握し、早めの準備が求められます。

3. 注意点やリスク

今回の法改正では段階的な施行や政令による細部の決定が予定されているため、情報が更新されるたびに最新の内容を確認していくことが欠かせません。

特に「公布から○年以内に施行」という表現が多いため、人事・労務担当者は常に厚生労働省の発表やガイドラインをウォッチしておく必要があります。

また、加入対象者が増えることで給与計算や社会保険手続きの事務負担は確実に増加します。従来の体制のままでは処理が追いつかない可能性もあるため、システムの見直しや業務フローの改善を同時に進めていくことが重要です。

さらに、従業員にとっては「社会保険料の負担が増える=手取りが減る」という側面が強調されがちです。
そのため、会社側は単に制度変更を通知するだけでなく、将来の年金受給額が増えることや医療保障が充実することなど、長期的なメリットを丁寧に説明することが求められます。

制度に対する理解を深めてもらうことで、不満や誤解による離職を防ぎ、安心して働ける職場環境づくりにもつながるでしょう。

まとめ

社会保険の適用拡大は、企業にとってはコストや事務負担の増加につながります。
しかし一方で、従業員にとっては将来の年金や保障が充実するメリットがあります。

この制度を「負担増」として受け止めるだけでなく、「従業員の安心につながる制度」として活かすことが、採用競争力や定着率の向上にもつながるでしょう。
人事・労務担当者は最新のスケジュールを確認し、自社にとっての影響度は早めに把握したうえで、体制整備を進めていくことが重要です。

本コラムの著者

塩坂 うみ

フリーライター

社会保険関連や企業の人事・労務向けのコラムを中心に執筆するフリーライター。美容関連やクリニック紹介、マニュアル作成などの執筆経験を活かし、読者が理解しやすい、実務に即した記事づくりを心がけている。

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