ホーム > お役立ちコラム > 【社労士監修】人事・労務管理職が見落としがちな法令リスクを解説

【社労士監修】人事・労務管理職が見落としがちな法令リスクを解説

大企業の人事・労務管理職は、日々の意思決定に追われており、現場の細かな業務や負担をすべて把握することは困難です。その結果、業務の属人化や対応のバラつきが現場で起きやすくなるほか、重大なリスクを見過ごしてしまう可能性もあります。管理職には、こうした見えづらい課題をどう捉え、適切に対処していくかが問われています。

本記事では、労務業務において見落とされがちな実務の煩雑さや、日常業務に潜む法令リスクについて解説。また、人事管理職が持つべきマネジメント視点と、そのためにCharlotte(シャーロット)が貢献できることをご紹介します。

<この記事でわかること>

  • 人事・労務の現場には、組織全体を危険にさらしかねないリスクが数多く潜んでいる。
  • 現場の担当者が安心して働ける業務体制を設計することが、管理職の大切な役割である。
  • Charlotteは単なる業務効率化ツールではなく、労務担当者が安心して働ける環境づくりを支援するサービス。

1. 管理職が見落としがちな労務部門の実態とリスク

人事・労務部門の現場には、管理職が見落としがちなリスクが数多く潜んでいます。

特に、マイナンバーの運用や電子証明書の取り扱いは、人事・労務部門の現場の担当者にとって大きな負担であると同時に、法令違反や情報漏洩といった重大なリスクを伴います。

こうした人事・労務部門の現場の実態を管理職が正しく把握しないでいると、知らぬ間に組織全体が危険にさらされるおそれもあるのです。

そこで、管理職が知っておくべき「労務ならではのリスク」について解説しましょう。

マイナンバーや電子証明書の取り扱いに潜むリスク

労務業務の中でも、特に注意が必要なのが、マイナンバーと電子証明書の取り扱いです。これらは法律上の制約が多く、適切な理解と管理が欠けると、情報漏洩や法令違反といった深刻なリスクにつながりかねません。管理職がこのリスク構造を正しく認識していない場合、組織全体が危険にさらされる可能性があります。

現在、各種労務手続きでマイナンバーを扱う機会は増加していますが、万が一漏洩が起これば、番号法(特定個人情報保護法)違反や行政指導の対象になるだけでなく、企業の信用そのものを揺るがす事態になりえます。

SNSが発達した現代、一度流出した情報は瞬時に拡散され、取り返しのつかないトラブルへと発展するリスクがあります。人事・労務部門の現場で対応する担当者はこうしたプレッシャーと日々向き合っており、管理職には、その実情を理解する姿勢が求められているのです。

また、社会保険の電子申請や税の電子申告で利用される商用登記電子証明書(以下、電子証明書)は法的な効力を持ち、本来は社長印と同レベルの厳格な管理が求められる重要なツールといえます。しかし、実際はその管理が人事・労務部門の現場任せになっている企業も少なくありません。

一方で、過度に厳格な運用により、人事・労務部門の現場に過剰な負担をかけてしまっている企業もあり、「セキュリティ」と「効率」のバランスが問われています。

さらには、過剰な業務負担から部門内での情報共有が後回しとなったり、特定の担当者に業務が集中したりすることで、属人化が進みやすいことも、大きなリスクといえるでしょう。

管理職には、人事・労務部門の現場が「安全に、かつ効率よく運用できているか」を俯瞰して確認する視点が不可欠です。

手続き提出遅延、漏れ、申請内容ミスによるリスク

人事・労務の業務では、雇用保険や社会保険の資格取得・喪失、育児休業給付など、従業員の生活に直結する手続きを日々扱います。提出の遅延や漏れ、申請内容の誤りが発生すると監査の対象となるほか、場合によっては照合省略認可の取り消し、さらに申請に対して偽りその他不正の手段により届け出を行ったとみなされた場合には、6ヵ月以下の懲役または30万円以下(雇用保険の場合)の罰金が科せられるなど、非常に高いリスクがあります。

さらに、こうしたミスは給付金の支給遅れや、病院で健康保険が利用できないといった、従業員の生活に直接的な影響を及ぼし、会社への不信感や強いクレームにつながるのです。担当者は「従業員の生活を守る」という大きな責任とプレッシャーを日常的に背負っています。

情報セキュリティ事故に見舞われるリスク

人事・労務の業務は、企業の中枢の個人情報を扱う以上、情報セキュリティ事故のリスクと常に隣り合わせです。

特に近年は、人事・労務システムを標的としたサイバー攻撃が相次いでおり、管理職としても「他人事」では済まされません。例えば2023年には、人事・労務系システム会社がランサムウェア(身代金要求型ウイルス)による攻撃を受けサービスを停止、利用者に混乱を招く事態となりました。

こうした中、ベンダー側がセキュリティ対策を講じるのは当然ですが、利用する企業も「万が一」を想定した備えが不可欠といえるでしょう。

具体的には、BCP(事業継続計画)の観点から、自社なりの対応フローや判断基準を明文化することが重要です。

もしもシステムが一時的にダウンした場合、大企業ではひと月に数千件にものぼる労務手続きが滞ることになります。その際、すべての労務手続きを紙の書類での運用や手作業に戻して対応するのは、現実的ではありません。

加えて、マイナンバーなどの機微な個人情報を多数扱う労務業務においては、情報漏洩=株価の下落やブランド毀損といったレピュテーションリスクとなります。

そのため、人事・労務管理職には、これらのリスクを冷静かつ深く理解した上で、自社のBCP整備にとどまらず、システム側のセキュリティ水準やベンダーの対策内容を確認・評価することが欠かせません。単に形だけの体制ではなく、「実効性のあるセキュリティ対策」を選択・運用していく姿勢が求められます。

2. Charlotteが備える複数のセキュリティ対策

人事・労務の現場には、情報漏洩などのリスクが潜んでいます。
Charlotteは、労務現場に潜むリスクを根本から低減するために、特許技術「Charlotteキー」や「情報を持たない設計」など、複数のセキュリティ対策を組み込んでいます。

Charlotteキーで証明書の管理リスクを解消

Charlotteキーは、電子証明書の安全な運用を可能にする、Charlotte独自の仕組みです。2018年に特許を取得したこの技術により、電子証明書を全支社に配る必要がなくなり、管理やコストの課題を解消できます。

さらにCharlotteキーは、キーそのものを紛失しても単独では意味をなさない設計となっているため、紛失・盗難時のリスクについても大幅に低減できます。

加えて、この仕組みはID/パスワードだけに依存しない二要素認証の役割も果たしています。ランサムウェア攻撃の原因となりやすい「パスワード流出リスク」を補完し、より高い安全性を確保できる点も大きなメリットです。

情報を持たない設計で、万一の漏洩にも強い

Charlotteは、個人情報などのセンシティブなデータを、システム側で保持しない設計思想を採用しています。また、保持している僅かなデータも全て独自暗号化が行われており、Charlotteの運用担当者でさえデータ閲覧ができない仕組みを有しています。これにより、たとえ外部から不正アクセスがあったとしても、漏洩の被害を最小限に抑えることが可能です。

もちろん、全くデータを保持していないと利便性が低下します。そのため、Charlotteはデータの保管期間をユーザーが設定できます。各企業が「セキュリティリスク」と「利便性」のトレードオフを設定いただける仕組みが、Charlotteには備わっているのです。

万が一の障害や災害に備えたインフラ・運用体制

Charlotteは、システム内部だけでなく、インフラや運用体制においても、多層的なセキュリティ対策を講じています。万が一の障害や災害が発生しても、サービスが継続利用できる仕組みをあらかじめ備えているのが特長です。

具体的には、東日本・西日本に分散配置した国内複数拠点のデータセンターを活用し、大規模災害が発生しても切り替えてサービスを継続できるBCP体制を構築しています。

また、バックアップデータは別のセンターに保管されており、仮に両センターが封鎖されるような事態でも、データ自体は確実に保護される仕組みを有しています。

なお、インフラには高い信頼性と稼働率を誇るOracle Cloudを採用。物理的な拠点には国内でも最高ランクにあたる「Tier4」レベルのデータセンターを利用しています。

さらに、IPA(情報処理推進機構)のガイドラインに準拠した構築・運用を徹底し、独自の認証方式と組み合わせることで、第三者によるなりすましや不正アクセスのリスクにも対応しています。

プライバシーマークやISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)など、第三者認証も取得済みです。より詳しい取り組み内容は「Charlotteサービスセキュリティガイド」で公開していますので、ぜひご確認ください。

自動連携でヒューマンエラーを防ぐ

Charlotteは、行政手続きの自動化を通じて、ヒューマンエラーを未然に防ぐ仕組みを提供しています。特に、e-GOV(デジタル庁が運営する総合的な行政ポータルサイト)やeLTAX(地方税ポータルシステム)との自動連携は、担当者の操作を不要にし、作業漏れや誤送信といったリスクを大幅に減らすことが可能です。

例えば、離職票や育児休業給付の申請などをCharlotteで予約すれば、指定日に自動でe-GOVへ送信されます。このとき、担当者がPCを立ち上げていなくても申請は完了するため、申請漏れといったミスを防ぐことができるのです。

さらに、2024年から開始された住民税特別徴収税額通知の電子化にも対応しており、自治体が住民税の特別徴収税額通知などをeLTAXにアップロードすると、Charlotteが自動でデータを取得。ノーオペレーションで、従業員の個人単位に設置された電子私書箱である「CharlottePOST」に届けます。労務担当者がeLTAXにアクセスして、通知を確認してからメール転送するという工程を排除することで、情報の見落としや誤送信のリスクを大幅に減らすことができます。

Charlotteの自動連携は、単なる業務効率化ツールではありません。ヒューマンエラーを防ぎ、情報の流出リスクを低減することで、人事・労務部門だけでなく企業全体の安全性を高めるサービスなのです。
なお、CharlottePOSTは公文書だけでなく、離職票や決定通知書といったさまざまな「会社から従業員へ」の書類を送付できます。

Charlotteの導入により、労務担当者のリモートワーク導入を阻む「申請期日を守るための出社」や「通知書を紙で扱うための現場作業」が不要となるのです。

関連制度や電子化の動向も押さえておきましょう。以下の記事もあわせてご参照ください。

3. 管理職に必要なのは「従業員を守る仕組み」を作ること

人事・労務の管理職に必要なのは、現場の業務を細部まですべて把握することではありません。本当に重要なのは、労務業務に潜むリスクやその影響範囲を正しく理解する姿勢を持つことです。そのうえで、「担当者が安心して働ける環境を整える責任」が自分にあるという意識を持つことだと、私たちは考えています。

膨大な個人情報を日常的に扱う労務の現場には、情報漏洩・紛失・対応の遅延といったヒューマンエラーのリスクが潜んでいます。人事・労務の担当者は、常に「ミスが許されない」というプレッシャーのもとで働いているのです。

こうした人事・労務部門の現場の実態や不安を正しく理解し、リスクが高い業務に対しては仕組みでサポートをして、担当者が安心して働ける「安全で効率的な業務設計」をすることが、管理職の大切な役割。今こそ、従業員の安心と業務の安定を実現するためにも、リスクを正しく理解して体制を整えていきましょう。

4. Charlotteが提案する、これからの労務マネジメント

労務の仕事は、リスクを回避してマイナスをゼロに戻すことだけではありません。

Charlotteの導入により、分散していた業務の集約や一元管理の実現、作業時間の平準化、リモートワークの促進など、守りを超えて前に進むための労務マネジメントが可能になります。こうした取り組みにより、労務の仕事をプラスの価値へと変えていけるのです。

大企業の慣習に縛られ、「リモートワークは難しい」「これまでの運用は変えられない」と改善をあきらめてしまうケースも少なくありません。けれども、環境や仕組みを少しずつ変えていくことで、新しい可能性は着実に広がっていきます。

人事・労務部門の現場が抱える「本当の困りごと」が解消されれば、担当者は過度なプレッシャーからも解放されます。その結果、休復職者への対応や従業員との丁寧なコミュニケーションといった、本来注力すべき業務に力を注げるようになるでしょう。

5. 【監修社労士より】管理職に求められる「守り」と「攻め」の労務マネジメント

人事・労務部門の管理職にとって最も重要なのは、「リスクを最小化し、担当者が安心して業務に取り組める仕組みを整える」視点をもつことです。

情報漏洩やセキュリティ事故は、一度発生すれば企業全体の信頼を揺るがす重大なリスクになりえます。だからこそ現場任せにせず、管理職自身が率先して、安全で効率的な業務体制を構築することが大切といえます。

Charlotteは、属人的な運用を排除し、ヒューマンエラーの防止や法令遵守を支える強力なサービスです。社内規程の整備や運用フローの明確化、従業員教育といった制度面の強化と合わせてCharlotteを活用することで、真に安心できる体制を築くことができるでしょう。

リスク対策という「守りのマネジメント」と、従業員が人らしく働ける環境をつくる「攻めのマネジメント」の両輪を意識し、現場と一体となって改善を進めることが、これからの管理職に求められる労務マネジメントの姿勢なのです。

本コラムの監修者

内山 美央

内山 美央(うちやま みお)

うちやま社会保険労務士事務所 代表
特定社会保険労務士

新卒3年目で社会保険労務士試験に合格。ITベンチャーでの勤怠管理システムの営業・導入コンサルティング経験を経て、大手事業会社の人事部にて労務管理や人事関連業務のDX推進に携わる。独立後は「労働時間管理のプロフェッショナル」として、人事システムの選定・導入や制度設計など、働き方の改善を入り口に、会社に寄り添った長期視点での人事・労務サポートを提供している。

「Charlotte(シャーロット)」とは?

「Charlotte」は、人事給与システムのデータを活かし、幅広い電子申請(149手続き)に対応。複数の人事給与系システムとの連携実績があり、複数のソフトを介さず1つのシステムで行えるSaaS型クラウドサービスです。

社会保険、雇用保険、労働保険の電子申請
36協定や就業規則変更などの労使手続き
健康保険組合に向けた手続き
労務担当者が対応する税申告「e-Tax」「eLTAX」に関する申告

さらにオプションとの組み合わせで公文書や離職票、支払い決定通知書を従業員に自動で届けるサービスなど、労務DXの実現により労務ご担当者様の業務負担を軽減します。

サービス、費用の詳細やデモンストレーション、無料トライアルなど、当サイトよりお気軽にお問い合わせください。

労務のDX・業務改善をまるごと支援!! 無料で資料ダウンロード労務のDX・業務改善をまるごと支援!! 無料で資料ダウンロード

導入などに関するご相談を
無料でお受けしています。

お問い合わせはこちら

お電話でのお問い合わせ

受付時間:平日 9:00〜17:00
株式会社ユー・エス・イー Charlotte(シャーロット)推進室

お問い合わせお問い合わせ
資料ダウンロード資料ダウンロード

動画を見る 閉じる
×