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給与支払報告書の誤りはどう直す?
再提出が必要なケースと正しい訂正方法

公開日:2025年12月19日

給与支払報告書は、1月末という繁忙期に集中する業務のため、誤りが発生しやすい書類の一つです。

年末調整の業務が一段落し、給与支払報告書を提出したあとに「あれ、この金額が違う…」「住所が古いままだった…」と誤りに気づいたことはありませんか?
給与支払報告書は提出後に間違いに気づいても、訂正後の再提出が可能です。

実際、年末調整直後の12月から1月にかけては、訂正依頼が特に多い時期でもあり、自治体側も訂正を前提とした受付体制を整えています。

本記事では、給与支払報告書を提出後に間違いに気づいた場合の訂正フローと、実務で押さえておきたいポイントを詳しく解説します。

1. 給与支払報告書とは

給与支払報告書は、従業員の住民税を計算するための基礎資料となる書類です。
事業主が、従業員の住所地を管轄する市区町村に対して提出します。

給与支払報告書の基本情報

  • 提出期限: 翌年1月31日
  • 提出対象者: 1月1日時点で給与を支払っている役員・従業員(パート・アルバイト含む)
  • 構成書類: 個人別明細書+総括表

年間合計支給額が30万円を超える場合は退職した従業員の給与支払報告書の提出義務が発生します。
源泉徴収票と内容が似ているため混同されがちですが、大きな違いは提出先と目的です。

源泉徴収票は税務署と従業員本人に交付する書類であるのに対し、給与支払報告書は市区町村に提出し、住民税の賦課(行政側の税額計算)に使用されます。

源泉徴収票と給与支払報告書の違いについては、以下の記事もあわせてご参照ください。

2. 提出後に間違いに気付いた時の訂正フロー

給与支払報告書に誤りが見つかった場合、給与支払報告書の訂正版を作成して再提出することで対応できます。

全国の自治体では訂正受付の体制が整っているため、落ち着いて手続きを進めましょう。
訂正フローは、誤った書類の種類によって対応方法が異なります。

以下、それぞれのケース別に解説します。

総括表に誤りがあった場合

所在地・名称を間違えていた場合は、「給与支払者(特別徴収義務者)の所在地・名称変更届出書」という専用の届出書を提出します。
併せて、正しい内容に修正した総括表の左上余白部分に、赤字で「訂正」と記入して提出してください。

なお、総括表には「追加・訂正」欄が設けられているので、該当箇所に◯印をつけることを忘れずに行いましょう。

所在地や名称の間違え以外の軽微な誤りについては、基本的に再提出は不要とされるケースが多いです。
ただし、自治体によって判断が異なるため、念の為提出先に訂正・書類の再提出が必要かどうかの確認をしましょう。

個人別明細書に誤りがあった場合

個人別明細書の訂正は、住所の誤りかそれ以外かで手続きが異なります。

従業員の住所を間違えていた場合は給与支払報告・特別徴収に係る給与所得者異動届出書(異動届出書)を提出します。
ただし、同一市区町村内での住所の誤りであれば、訂正版の給与支払報告書を提出するのみで対応可能です。※自治体によるようなので対象の自治体にご確認下さい。

支払金額や控除額など、住所以外の項目に誤りがあった場合は、訂正版の個人別明細書を新たに作成します。
新たに個人別明細書を作成する際、摘要欄に赤字で「訂正」と明記してください。

また、総括表も併せて提出する必要があるため提出漏れが無いよう注意しましょう。

提出先の自治体へ再提出する

訂正書類が揃ったら、該当する従業員の住所地を管轄する市区町村へ書類を再提出します。
【提出時に必要となる主な書類】 ※自治体によって必要書類が異なるので提出先へ要確認

  • 給与支払報告書(総括表)
  • 給与支払報告書(個人別明細書)※訂正対象者分
  • 普通徴収切替理由書(普通徴収該当者がいる場合のみ)
  • 事業主本人のマイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類の写し(個人事業主の場合のみ)

訂正書類の提出方法は、郵送・窓口持参・電子申告など自治体によって異なります。

また、複数の市区町村に給与支払報告書を提出している場合は、それぞれの自治体ごとに個別の訂正手続きが必要となる点にも注意しましょう。

初めて訂正を行う際は、提出先の自治体に事前に確認しておくと、手続きをスムーズに進められます。

3. eLTAXで提出した際の訂正

電子申告(eLTAX)で提出した場合も訂正の流れは基本的に同じですが、システム上の操作手順が一部異なるケースがあります。(表1)

表1

区分 手続区分 作成する書類 提出のポイント
1 個人別明細の追加 追加 追加対象の個人別明細、合計表・総括表 追加分のみ作成して送信
2 個人別明細の訂正 取消 → 訂正 取消分(旧情報)+訂正分(正情報)、合計表・総括表 法定調書は取消と訂正の2段階処理
3 個人別明細の取消 取消 取消する個人別明細、合計表・総括表 取消分のみ1回提出で完了
4 合計表のみ訂正 要問い合わせ 合計表のみ 税務署へ直接確認が必要
5 合計表訂正+
明細の訂正等
要問い合わせ 合計表+明細の訂正・取消 合計表単独誤りを含む場合は税務署へ相談

参照:eLTAX地方税ポータルシステム_源泉徴収票及び給与支払報告書の追加・訂正・取消について_法定調書・給与支払報告書の訂正パターン表.pdf

前提条件として、既に「給与所得の源泉徴収票(新規)」を送信済みであることを確認してください。

  1. 個人別明細を追加する場合
    提出漏れが判明した際は「追加」を選び、新たな個人別明細と、それを反映した合計表・総括表を作成して送信します。既存データの再提出は不要です。
  2. 個人別明細を訂正する場合
    誤りがある場合、法定調書はまず誤った内容で取消を送り、続けて正しい内容の訂正を再送します。給与支払報告書は訂正内容を作成し、総括表とまとめて送信します。
  3. 個人別明細を取消(削除)する場合
    提出不要が判明した際は「取消」を選択し、対象者の取消分を作成します。合計表や総括表にも反映させ、取消区分として一度送信すれば処理が完了します。
  4. 法定調書合計表のみを訂正する場合
    個人別明細に誤りがなく、合計表だけ誤記がある場合、eLTAXでの単独訂正はできません。対応方法が個別判断となるため、必ず所轄税務署へ確認が必要です。
  5. 合計表の訂正に加え、個人別明細の訂正・取消も生じる場合
    個人別明細の修正に伴う合計表の訂正はeLTAXで可能ですが、合計表単独の誤りが含まれる場合は通常処理ができません。所轄税務署へ相談し、指示に沿って対応します。

4. こんな時はどうする?(Q&A)

Q1:異動届出書に給与支払額を記載して提出した場合、給与支払報告書は省略できますか?

A1:省略はできません。
住民税は、提出された給与支払報告書(総括表・個人別明細書)の情報をもとに計算されます。そのため、異動届出書に支給額等を記載していても、給与支払報告書の提出は必須です。

Q2:誤って給与支払報告書を提出してしまいました。どうすれば良いですか?

A2:まず正しい自治体へ給与支払報告書を再提出してください。
正しい自治体へ給与支払報告書を再提出した後、異動届出書を提出します。

Q3:給与支払報告書を提出した後、内容に誤りが見つかりました。訂正方法を教えてください。

A3:総括表の「訂正」欄を選択し、個人別明細書にも訂正を記載して再提出します。
総括表左上の「訂正」にチェックを入れ、該当する個人別明細書の摘要欄へも「訂正」と明記したうえで提出し直してください。

Q4:乙欄の従業員や退職者を普通徴収にしたい場合の手続きは?

A4:給与支払報告書に必要事項を記入し、あわせて普通徴収切替理由書の提出が必要です。
該当者が乙欄や退職者の場合は、個人別明細書に印と退職年月日を記入します。
さらに、平成29年度以降は普通徴収切替理由書を提出する必要があります。
個人別明細書の摘要欄には、切替理由に該当する符号(例:普B)も記入してください。

Q5:総括表の「報告人員」には何を記入すればいいですか?

A5:在住の従業員数を記入します。
提出する個人別明細書の人数と一致します。特別徴収・普通徴収の内訳も分けて記載してください。

Q6:給与支払報告書を提出した従業員が退職しました。追加で必要な手続きはありますか?

A6:異動届出書の提出が必要です。
ただし、特別徴収税額の決定通知書が未送付で、年税額が不明な場合は、年税額欄を空欄のまま提出して構いません。

参照:渋谷区_給与支払報告書の提出および書き方に関するよくある質問

まとめ

給与支払報告書は、年末調整の繁忙期と時期が重なることもあり、完成後に誤りへ気づくケースが珍しくありません。

しかし、提出後であっても訂正書類の再提出によって適切に手続きをやり直すことができ、自治体側もその前提で体制を整えています。

総括表と個人別明細書のどちらに誤りがあるかで対応は変わり、住所誤報や金額の修正、提出先の誤りなど、状況に応じた処理が必要です。

また、電子申告(eLTAX)でも、追加・訂正・取消の手順が決められているため、正しい区分で進めることが大切です。

疑問が生じた場合は、早い段階で提出先自治体へ確認すると手続きの迷いが減り、スムーズに訂正を完了できます。
正確な住民税計算につながる重要な書類として、落ち着いて対応していきましょう。

本コラムの著者

塩坂 うみ

フリーライター

社会保険関連や企業の人事・労務向けのコラムを中心に執筆するフリーライター。美容関連やクリニック紹介、マニュアル作成などの執筆経験を活かし、読者が理解しやすい、実務に即した記事づくりを心がけている

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