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第54回
労災の様式5号の記入例 |
他の様式との違い、入手方法、提出先は?

公開日:2024年10月17日

労災保険の様式5号は、労働災害の被災労働者が療養補償給付を申請する際に必要となる書類です。労働者は労災保険の対象になれば治療費を負担せずに治療を受けられますが、様式5号は「業務が原因の疾病である」ことを証明するために用います。

事業主(労務担当者)が様式5号にて記載事項に関する証明を行ったうえで、労働者が「労災病院または労災指定医療機関」に提出すれば、治療費を負担せずに治療を受けられます。労務担当者の方は、労働者が労災申請をしたときに備えて様式5号の書き方を知っておくとよいでしょう。こちらの記事では、様式5号書類の入手方法や記入例などを解説します。

なお、労災保険については以下の記事をご参照ください。

1. 労災の様式5号に関する基礎知識

労災保険の書類には、さまざまな種類があります。なぜたくさんの違う様式があるかというと、労災保険から受けられる給付の種類が多様なためです。

労災給付の申請を行う際には、それぞれ給付内容に合わせた様式を使う必要があり、正しい様式を選ばなければなりません。本記事では、様式5号がどういう書類で、他の様式と何が違うかについて説明します。

労災の様式5号とは?

労災の様式5号とは、業務中にケガで治療(療養補償給付=医療機関で治療を受けられる給付)を受ける際に必要な書類です。事業主が労災の様式5号で証明を行ったうえで、労働者が「労災病院または労災指定医療機関」へ提出すれば無料で治療を受けられます。

そのため、業務が原因でケガをした労働者がいる場合、事業主(労務担当者)は速やかに労災の様式5号にて証明を行う必要があります

労災の様式5号と他の様式の違い

労災の様式5号以外にも、労災関連にはさまざまな種類の書類があります。以下では、労災の様式5号と他の様式の違いについて解説します。

様式6号

労災の様式6号とは、何らかの事情で治療を受ける医療機関を変更する際に必要な書類です。例えば、療養中の労働者が転居することになり、医療機関を変更する必要がある際に利用します。

労働者が様式6号を変更先の労災指定医療機関へ提出すれば、引き続き労災保険から無料で治療を受けられます。

様式7号

労災の様式7号とは、療養補償給付を受ける場合でも、「労災病院または労災指定医療機関」以外(労災指定外の医療機関) で治療を受ける際に必要な書類です。

「労災病院または労災指定医療機関」で治療を受ける場合は、現物給付の形で直接医療サービスを受けられます。一方で、「労災病院または労災指定医療機関」以外の医療機関で治療を受ける場合は、労働者が治療費を立て替えたうえで後日還付される流れとなっています。

治療を受ける医療機関が「労災病院または労災指定医療機関」か否かで手続きの流れが異なるため、使用する様式も異なるのです。

様式8号

労災の様式8号とは、労働者が休業補償給付を受ける際に必要な書類です。

休業補償給付とは、労働者が治療で休職を余儀なくされている期間中、労働者に対して支払われる給付金です。業務災害による傷病により、4日以上休業して賃金が支払われないときが該当します。8号様式を提出する際には、事前または提出と同時に「死傷病報告書」(様式23号)を提出する必要があります。

Charlotte 36plus」では、「死傷病報告書」のほか、令和7年1月1日から義務化される手続きが電子申請できます。さらに詳しく知りたい方はリンク先をご覧ください。

様式16号の3

労災様式16号の3とは、「通勤災害」 により労働者がケガをして、「労災病院または労災指定医療機関」で治療を受ける際に必要な書類です。業務災害ではなく通勤災害が理由で治療を受ける際には、16号の3を用いると押さえておきましょう。

労災の様式5号の入手方法

労災の様式5号は、労働基準監督署で書類を入手するほかに、厚生労働省のウェブサイトからダウンロードすることもできます。

出典:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式)」

厚生労働省のウェブサイトからダウンロードすれば、労働基準監督署まで足を運んだり、郵送を依頼したりする必要がありません。

労災の様式5号の提出先

作成した様式5号の提出先は、労働者が治療を受けた「労災病院または労災指定医療機関」です。「労災病院または労災指定医療機関」が書類を確認したうえで、無料で治療できるか判断します。

指定医療機関で処方箋をもらって薬を受け取る際には、労災指定薬局にも様式5号を提出しましょう。

なお、提出した様式5号は、「労災病院または労災指定医療機関」が必要事項を記載したうえで、労働基準監督署へ提出されます。

労災の様式5号を提出する流れ

実際に労災事故が発生し、労働者が労災申請を行う際の流れを解説します。

Step1:労働者から会社へ労働災害発生の報告
労災事故が発生した場合、労働者から労働災害が発生した旨の連絡が入ります。発生時の具体的な状況を聴取しましょう。

Step2:労働者が指定病院等で受診
労働者が「労災病院または労災指定医療機関」へ行き、治療を受けます。

窓口で保険証を提示すると自己負担が発生するため、労働者に対して業務中にケガをしてしまった」と伝えるように指示しましょう。

Step3:様式5号の作成
労働者から労災事故が発生した報告を受けたら、労働者が安心して治療を受けるためにも速やかに様式5号を作成しましょう。

「労災病院または労災指定医療機関」には原本を提出する必要があるため、作成したら会社側で保管するためのコピーを取っておくと安心です。

Step4:受診した指定病院等に様式5号を提出
様式5号の原本を労働者に渡し、治療を受けた「労災病院または労災指定医療機関」に提出します。提出した様式5号は、その後労働基準監督署へ送付されます。

Step5:労働基準監督署による調査・結果通知
労働基準監督署が様式5号を受理したら、労働基準監督署による調査が行われます。必要に応じて、請求人や関係者に書類の提出や聴取が行われる場合があるため、労働基準監督署の指示に従いましょう。

労働基準監督署より労災認定がされると、保険給付が決定します。労災保険より「労災病院または労災指定医療機関」に治療費が支払われ、一連の手続きは終了です。

2. 労災の様式5号の記入例、記載項目の書き方

労災申請の実務に携わったことがない場合、労災の様式5号をどのように記入すればよいのかわからないこともあるでしょう。

以下では、様式5号の記入例や記載項目の書き方を解説します。

労災の様式5号の記入例

まずは労災の様式5号のフォーマットから確認しましょう。(図1参照)

図1労災の様式5号の記入例

様式5号には、会社の情報やケガをした労働者の情報、事故が発生した状況などを正確に記載する必要があります。記載した情報に誤りがあると労災申請の手続きが停滞するおそれがあるため、気をつけましょう。

労災の様式5号の記載項目

労災の様式5号で事業主(労務担当者)が記載すべき項目と、何を記載すべきかを解説します。

労働保険番号
労働保険番号とは、各事業所に割り振られた労働保険に関する14桁の番号です。
労働保険の年度更新申告書の控えや、労働基準監督者または労働局への問い合わせなどで確認できます。

労働者の性別、生年月日
労働災害を受けた労働者の性別や生年月日を記入します。

負傷または発病年月日、負傷または発病の時刻
労働災害が発生した年月日と時刻を記入します。可能な限り正確に記入しましょう。

労働者の氏名、年齢、住所、職種
労働災害を受けた労働者の氏名、年齢、住所、職種を記入します。作業内容が分かるように、職種欄に関しては従事している職種と職名を記入しましょう。

災害発生の事実を確認した者の職名、氏名
実際に労働災害の発生を目撃した労働者の職名と氏名を記入します。実際に、労働災害を会社へ報告した労働者の情報を記載すれば問題ありません。

災害の原因及び発生状況
どのような状況で、どのような理由で労働災害が発生したのかを具体的に記入します。可能な限り具体的に記載すれば、労働基準監督署の調査がスムーズに進みます。

指定病院等の名称、電話番号、所在地
労働者が治療を受ける指定病院等の名称や電話番号、所在地を記入します。

傷病の部位及び状態
労働者が被った傷病を記入します。身体のどの部位に、どのような傷病が発生しているか記入しましょう。

事業の名称、事業場の所在地、事業主の氏名、労働者の所属事業場の名称・所在地
自社が行っている事業の名称や事業場の所在地、事業主の氏名、労働者の所属事業場の名称・所在地を記入します。

管轄の労働基準監督署
事業場の所在地によって、管轄の労働基準監督署が異なります。労働局のホームページで管轄エリアを調べられます。

病院・診療所・薬局・訪問看護事業者の名称
実際に様式5号を提出する病院や診療所などの医療機関名を記入します。

請求人の住所、氏名、請求の日付
請求人は、労働災害を被った労働者です。労働者本人の住所や氏名、実際に請求する日付を記載しましょう。

3. 労災の様式5号の記入に関するよくある質問

多くの事業主(労務担当者)から寄せられている、労災の様式5号の記入に関するよくある質問を紹介します。

労災の様式5号は誰が記入しますか?

労災の様式5号は、一般的に企業の労務担当者が記載します。ケガをした労働者本人が記載することも可能ですが、労働者本人の負担を軽減するために、労務担当者が作成するケースが多いでしょう。

労災の様式5号の訂正方法は?

記載する内容に誤りがあり、訂正する場合は二重線を引き空いているスペースに書き直しましょう。修正テープや修正液、訂正印を押す必要はありません。

労災の様式5号をコピーして利用することは可能ですか?

原則として、労災の様式5号は原本を提出する必要があります。コピーして利用することはできないため、注意しましょう。

なお、処方薬を受け取る際には、薬局へ提出する分も合わせて原本を2枚作成する必要があります。なお、この薬局が労災指定外の場合は、様式5号ではなく様式7号が必要になります。

労災の様式5号の提出期限はいつまでですか?

実際に労災事故が発生したら、速やかに書類を作成し労働者に渡しましょう 。療養補償給付は、請求権が発生した日の翌日から2年が経過すると時効で申請できなくなります。

労災の様式5号に押印は必要ですか?

「国民及び事業者等の押印等を不要とする改正」が行われた影響で、労災の様式5号に押印は不要となりました。

指定外の医療機関で受診してしまった場合は?

労災指定外の薬局で処方薬を受け取る場合は様式7号を用います。提出先となる薬局が労災指定なのか、労災指定外なのか、事前に確認しておきましょう。

4. 労災の様式5号を利用する際の注意点

労災の様式5号を利用して実際に労災申請をする際には、いくつか注意すべき点があります。

以下で、労務担当者が知っておくべき労災の様式5号の注意点を解説します。

様式と給付が一致しているかを確認する

労災関係の必要書類は細分化されており、申請する給付内容に応じてどの様式を使うべきか異なります。正しい様式を使わないと労災申請ができないため、様式と給付内容が一致しているか確認しましょう。

様式5号を使用するのは、「労災病院または労災指定医療機関」で療養補償給付(治療の現物給付)を申請するときです。また、労働災害の中でも通勤災害ではなく業務災害に該当するときに用います。

紛らわしい様式があるため、間違えないように注意してください。

指定医療機関の受診時に健康保険証を使わない

指定医療機関で療養補償給付を受ける際には、健康保険証を使わないように労働者へ伝えておきましょう

労災で治療を受ける場合と健康保険証で治療を受ける場合では、医療機関へ支払われる報酬の財源が異なるためです。また、労働者が健康保険証を提示して治療を受けると自己負担が発生してしまいます

もし労働者が健康保険証で提示して健康保険による治療を受けた場合は、速やかに医療機関へ連絡して健康保険から労災保険への切り替えを依頼しましょう。様式5号を提出すれば、労働者に対して自己負担した治療費が返還されます。

5. 労災の様式5号は記入例を参考にすればスムーズに作成できる

労働者が労働災害によってケガをして、「労災病院または労災指定医療機関」で療養補償給付(治療の現物給付)を申請するときは労災の 様式5号を使用します。労務担当者が作成するケースが一般的なので、労災事故の発生に備えて書き方を知っておくとよいでしょう。

現在、労災申請(補償・給付)は「電子申請にほとんど対応していない」「医師や費用の支払いの証明を行う場合、電子申請後に原本の郵送が必要となり紙での申請と手間が変わらない」等の理由により、紙での申請が大半を占めています。

しかし、将来的には電子での申請が普及する流れにあります。

というのも、医師の証明や費用の支払いなどの電子データ化(電子カルテや電子領収書など)や、マイナンバー利用拡大などが進んでおり、まずは休業補償・給付、費用請求の手続きから電子申請が普及することが予想されるからです。

また、令和7年1月1日から、以下の手続きが電子申請の義務化対象となります。

① 労働者死傷病報告
② 定期健康診断結果報告書
③ じん肺健康管理実施状況報告
④ 総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告
⑤ 有害な業務に係る歯科健康診断結果報告書
⑥ 有機溶剤等健康診断結果報告書
⑦ 心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(ストレスチェック結果報告)

今後、電子申請での義務化対応となる手続きが増えていきますので、いつでも電子申請ができる環境を整えておくのがよいでしょう。

労働保険関係の手続きを軽減したいときは「Charlotte36plus」の利用が便利です。「Charlotte36plus」では、令和7年1月1日から義務化される手続きが電子申請できます。

その他、「時間外労働・休日労働に関する協定届(通称:36協定)」「就業規則(変更届)」「心理的な負担の程度を把握するための検査結果等報告書(通称:ストレスチェックの報告書)」などの手続き にも対応可能です。

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