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第57回
2025年の人材不足に備える:人材不足問題と企業の対応策

公開日:2024年11月1日

2025年に向けて、日本は深刻な人材不足という大きな課題に直面しています。

少子高齢化が進行する中で、労働力人口が減少し、企業は必要な人材の確保に苦慮しています。労働市場の変化に適応するためには、企業が迅速かつ効果的な対策を講じることが求められます。

本記事では、少子高齢化による人材不足の背景とその影響、そして企業が取り組むべき具体的な対策について詳しく解説します。これからの人材戦略を見直し、2025年に向けた準備を整えるための参考にしてください。

1. なぜ2025年の人材不足が深刻化するのか

2025年に向けて、日本は深刻な人材不足に直面しています。この問題の主な原因は、少子高齢化による労働力の減少です。

出生率の低下により新たな若年層が少なくなっている一方で、ベビーブーム世代が定年を迎え、労働市場から引退する人が増えています。

現在、日本の総人口は減少傾向にありますが、特に労働力人口(15歳から64歳までの年齢層)は急速に減少しています。(図1参照)

図1

出典:厚生労働省「事業主の仕事と育児の両立支援に関する意識改革に資する周知用資料(12月22日差し替え)」(PDF)

人口減少傾向に伴い、企業が必要とする人材を確保することが難しくなり、特に専門知識や技術を持つ人材の確保が困難になることが予想されます。

2025年の人材不足問題の根底には、少子高齢化という大きな社会問題があり、このまま放置すれば、企業の生産性が低下し、経済全体にも大きな影響を与える可能性も否定はできません。

したがって、企業は今から柔軟な働き方や多様な人材の活用を検討し、長期的な視点で人材確保に取り組む必要があるといえます。

2. 少子高齢化が招く労働不足の影響

少子高齢化は、日本が直面する大きな社会問題であり、労働力の減少を加速させています。出生率が低下し、子どもの数が減少している一方で、寿命が延び高齢者の割合が急速に増加しています。出生率の低下が若年層の労働力不足を引き起こし、企業が新たな若い人材を確保するのが困難な状況です。

また、高齢者の割合が増加する中で、定年退職者が増え、企業の中核を担ってきた熟練労働者が次々と職場を離れています。特に技術職や専門職では、長年にわたり蓄積された知識やスキルが失われ、次世代の労働者に十分に引き継がれないケースも見受けられます。

少子高齢化が招く労働不足は、企業の生産性にとどまらず、国全体の経済成長にも深刻な影響を与えます。税収の減少や社会保障費の増加に伴い、経済を支える若年層の負担が増し、国全体の競争力が低下するリスクが高まります

3. 2025年人材不足に向けた企業の対応策

2025年の人材不足に向け、企業は問題への対処が必要です。

企業にとって、労働力の確保は深刻な課題です。人材不足関連での倒産の割合は近年上昇傾向にあり、倒産件数全体に占める多くが人材不足によるものだと結果が報告されています。(図2参照)

図2

出典:厚生労働省「事業主の仕事と育児の両立支援に関する意識改革に資する周知用資料(12月22日差し替え)」(PDF)

企業の存続にも影響する、人材不足を解消するため、早期に対応策を確立しておきましょう。

高齢者や女性・障害者・外国人などの雇用を検討する

少子高齢化により、若年層の労働力が減少している中で、人材不足を解消するためには、多様な人材の活用が鍵となります。

高齢者の再雇用や、女性・障害者・外国人労働者の積極的な採用を通じて、企業は新たな労働力の確保が可能です。異なる経験や視点を持つ人材を取り入れ、チームに多様性をもたらすことができます。

例えば、外国人労働者の採用によって国際的な視点を取り入れることができ、グローバル市場に対応しやすくなります。高齢者を再雇用することで、豊富な経験や知識を活かし、若手社員の育成や業務の改善に役立てることができます。

また、女性や障害者の採用は、多様な働き方を受け入れる環境を整え、全体的な労働力の活性化につながります。

こうした取り組みによって、企業は広範なスキルセットや新しい解決策を得ることができ、競争力を高めることができます。

柔軟な勤務体制を設ける

現代の働き手は、仕事とプライベートの両立を重視する傾向が強くなっています。家庭や個人の生活に合わせた働き方が求められる中で、企業は柔軟な勤務体制を整えることが不可欠です。

例えば、テレワークやフレックスタイム制度、時短勤務など、さまざまな働き方の選択肢を提供することで、従業員が自分のライフスタイルに合った働き方を選べるようになります

テレワークは、自宅やリモートの拠点から業務を行うことを可能にし、通勤の負担を減らすと同時に、仕事の効率を向上させる効果があります。
フレックスタイム制度の導入は、出勤や退勤の時間を柔軟に設定でき、家庭の事情や個人の生活リズムに合わせた働き方が実現します。

また、時短勤務を導入することで、育児や介護といった生活上のニーズに対応しやすくなり、より広範な人材を対象にすることができます。

柔軟な勤務体制を整えることで、従業員の働きやすさを向上させるだけでなく、企業にとっても多様な人材を確保でき、定着させるための重要な要素となるでしょう。

離職防止策を図る

離職を防ぐためには、社員のキャリアパスの明確化や職場環境の改善、家庭状況との両立などが求められます

特に、出産や育児のために離職するケースが増加しており、2021年10月から2022年10月の1年間で、出産・育児を理由に離職した女性は14万人を超えています。離職の背景には、育児と仕事の両立が難しいという現実があるのです。

正社員だった女性のうち、妊娠判明時に仕事を辞めた理由のトップは「仕事を続けたかったが、仕事と育児の両立が難しかったため」であり、38.1%を占めています。

さらに、離職の具体的な理由を見てみると、正社員の場合は「勤務先に短時間勤務制度や残業免除制度などの両立できる働き方の制度が整備されていなかった」(30.6%)が最も多く、非正規社員の場合は「勤務先に産前・産後休暇や育児休業の制度が整備されていなかった」(41.3%)が主要な理由となっています。(図3参照)

図3

出典:厚生労働省「人口減少社会への対応と人手不足の下での企業の人材確保に向けて~人材不足解消のカギは仕事と子育ての両立支援!~」(PDF)

これらの統計は、育児や介護を理由に離職する率が高いことを示しており、企業がこれらの問題に対処することが重要であると言えます。

4. 大手企業が進める柔軟な働き方の導入事例

大東建託パートナーズ株式会社

大東建託パートナーズ株式会社では、2024年4月1日より奨学金返還支援制度を導入しました。奨学金返還支援制度の対象者は、2020年4月1日以降に入社した新入社員を対象としています。

奨学金返済義務のある社員に対して年間最大10万円を代理返済または賞与時に支給し、若手社員の経済的・心理的負担を軽減しつつ、優秀な人材確保を目指す制度を導入しました。

パナソニックエナジー

パナソニックエナジーは、2025年度までに国内で約1000人、海外で約4000人を増員し、人的リソースの強化を図る計画を進めています。

特に、国内では製品開発や生産技術に携わる人材を中心に毎年300人の採用を目指しており、海外では新設のカンザス工場で3000人の人材を確保する予定です。これにより、従業員の海外比率も2030年度には80%を超える見込んだ取り組みを行っています。

ダイキン工業

ダイキン工業では、60歳定年後の再雇用制度を導入し、65歳まで希望者全員が働ける体制を整えています。

勤務形態はフル勤務や短時間勤務など4種類から選べ、再雇用者の賃金は55歳時点の収入を基準に調整されています。再雇用率は80%以上と高く、現在約655人が再雇用で働いています。

こうした具体例からも分かるように、企業が人的リソースの確保と強化を進めることは、今後の企業の成長や存続に欠かせない重要な戦略といえるでしょう。

まとめ

以上、日本が2025年に直面する人材不足問題について解説しました。

少子高齢化により労働力が減少する中で、高齢者や女性・障害者・外国人など多様な人材の採用、柔軟な勤務体制の導入、離職防止策の実施が求められます。これらの対策により、企業は人材不足を解消し、長期的な競争力を維持することが可能です。

2025年の人材不足問題は、企業の適応力と積極的な取り組みによって解決の可能性が開かれます。今後の課題に対処するためには、早期の対応と実行が求められるでしょう。

本コラムの著者

山下 うみ

フリーライター

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