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2025年4月から育児休業給付金の延長手続きが厳格化|
人事・労務が押さえるべき実務のポイント

公開日:2025年6月19日

2025年4月より、育児休業給付金の延長手続きに関するルールが厳格化されました。

これまで柔軟に対応できていた申請内容や提出書類の扱いが見直されたことで、企業の人事・労務担当者にはより正確で迅速な対応が求められます。

本記事では、今回の制度改正の背景や対象者、変更点、延長申請に必要な書類、そして実務上の注意点を整理し、企業として準備すべき対応について解説します。

1. 育児休業給付金とは?延長制度の概要

育児休業給付金は、1歳未満の子どもを養育するために育児休業を取得した場合に支給される雇用保険制度上の給付金です。
原則として、子どもが1歳の誕生日を迎える前々日までが支給期間とされています。

ただし、保護者が復職を希望して保育所等への入所申込を行っているものの、定員超過などにより入所が叶わなかった場合など、一定の条件を満たす場合には、支給期間を延長することができます。

この延長は段階的に認められており、まずは1歳6か月の誕生日の前々日までの延長が可能です。さらに、引き続き要件を満たすと認められれば、最長で子どもが2歳の誕生日の前々日まで支給期間を延長することができます。

この制度は、育児と就労の両立を支援するために設けられており、特に保育所の利用状況や申込内容が延長の可否に大きく影響するため、企業としても適切な案内と申請サポートが求められます。

2. 2025年4月から何が変わった?延長手続きの厳格化のポイント

今回の改正により、「保育所に入所できなかった」という理由だけでは育児休業給付金の延長が認められるわけではありません。
延長の対象となるのは、職場復帰を目的として保育所等の利用申込を行ったことについて、ハローワークによる確認が必要です。

改正内容の具体的な変更点

証明書類の厳格化
これまで、保育所に1つ以上申し込んでいれば「保育所に入れなかった」として延長が認められるケースが一般的でした。

しかし改正後は、「合理的な保育所の選定」や「十分な申込数」があったかどうかまで確認されるようになります。

以下のようなケースでは、たとえ保育所に入れなかった場合であっても、育児休業給付金の延長対象と認められない可能性があります。

  • 市区町村から「年度途中の入所は困難」「定員が埋まっている」などの説明を受けた結果、入所申込そのものを行わなかった場合
  • 認可外保育所等(認証保育所など)のみへの申込にとどまり、認可保育所へ申し込んでいない場合(一部自治体では「認可外施設のみの申込」であっても、やむを得ない理由がある場合は例外的に認められるケースあり)
  • 保育所の申込日が、子どもの1歳の誕生日を過ぎている場合
  • 入所希望日(保育の利用開始日)が1歳の誕生日の翌日以降で設定されている場合
    • 例:利用開始日が毎月1日・11日・21日で定められている自治体において、10月29日生まれの子について11月1日を希望したケースなど(この場合、利用開始日が1歳の誕生日より後になるため、延長対象外となります)

引用:厚生労働省_保育所に入所できない場合の育児休業給付金の延長について_PDF

提出期限の厳守
育児休業給付金の延長申請には、厳格な提出期限が定められています。
延長申請の期限は、支給期間が終了する前月の末日(=末日が土日祝の場合はその直前の平日)が基本となり、提出が遅れた場合は、給付金の延長が認められない可能性が高くなるため、企業側の対応スケジュール管理がより重要になります。

記載内容の詳細化
保育所の「不承諾通知書」などにおいて、入所不可の理由が具体的に記載されている必要があります。
単なる「落選」や「空きがない」だけでなく、なぜ選定された保育所がダメだったのかが求められることがあります。

3. パパ・ママ育休プラスを利用する場合の特例と延長続きの注意点

「パパ・ママ育休プラス制度」を活用して父母ともに育児休業を取得したケースでは、育児休業給付金の延長申請における取り扱いが通常とは異なります。

具体的には、同制度の要件を満たして育児休業を取得した場合、給付金の支給対象期間が「子が1歳2か月に達する日の前日まで」に拡張されます。
これは、通常の「1歳到達日」までの支給とは異なり、特例的な措置です。

*延長手続き時の基準日が「変わる」
この特例を利用した場合、次の段階である「1歳6か月までの延長申請」では、申請書における「1歳の誕生日」の扱いを、実際の誕生日ではなく、休業終了予定日の翌日として読み替える必要があります。

たとえば:

  • 実際の1歳の誕生日:2024年10月1日
  • パパ・ママ育休プラスにより休業終了予定日:2024年12月1日(子が1歳2か月)
  • この場合、「延長申請上の1歳の誕生日」=2024年12月2日とみなす

この読み替え処理を誤ると、提出書類の整合性が取れず、給付金の延長が認められない可能性があります。

*実務での注意点

  • 申請書類の「子の年齢欄」や「申請理由」欄で日付を読み替えて記入する必要がある
  • ハローワークへの説明時にも、「パパ・ママ育休プラス利用済み」であることを明記する
  • 通常のケースと区別した社内フローやチェックリストを用意しておくと安全

パパ・ママ育休プラスの活用は年々増えていますが、延長申請時の「基準日の読み替え」に気づかず、書類に不備が生じないよう注意しましょう。

申請ミスを防ぐためにも、制度の特例的な扱いを十分に理解したうえで対応しましょう。
企業の人事・労務担当者としては、制度の利用有無に応じて適切な運用を行えるよう、申請のタイミング・書類作成フローの見直しが求められます。

4. 育休延長手続きで必要な書類一覧

育児休業給付金の支給対象期間を延長するには、以下の書類を提出する必要があります。
申請時には、記載内容や添付資料に漏れがないよう注意しましょう。

1.育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
育休延長の理由(保育所に入所できなかった等)を申告するための書類

2.保育所等の利用申込書の写し(市区町村に提出したものと同一のもの)
※以下の点に注意:

  • 市区町村への申込書と同じ内容であれば、受付印は不要
  • 利用申込内容を途中で変更した場合は、変更後の申込書の写しが必要
  • 全ページの写しを提出
  • 入所保留を希望する旨の書類を提出している場合は、その写しも必要
  • 申込内容について市区町村へ確認が入る場合がある
  • 実際の申込内容と異なる書類を提出した場合、不正受給とみなされ、給付金の返還や、追加の納付命令を受ける可能性がある

3.市区町村が発行する「保育所等の利用ができない旨の通知」
(例:入所保留通知書、入所不承諾通知書など)
申請者が希望する保育所等に入所できなかったことを証明する書類

必要書類がそろっていない場合、延長手続きが認められないことがあります。

引用:厚生労働省_2025年4月から保育所等に入れなかったことを理由とする育児休業給付金の支給対象期間延長手続きが変わります_PDF

5. 人事・労務担当が注意すべき実務上のポイント

1. 変更内容の速やかな把握と従業員への周知
育児休業給付金の延長手続きに関する法改正があった場合、まずは企業側が最新の制度変更点を正確に把握することが不可欠です。
新たに追加された「育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書」については、従業員が記入する様式となるため、厚生労働省の公式様式を速やかに従業員へ案内し、必要に応じて事前に様式を準備しておくなど、手続きの遅延を防ぐ対応が求められます。

2. 必要書類の管理と提出漏れ防止
育児休業延長申出を受けた際は、給付金延長に必要な書類を一覧で管理し、従業員から確実に提出を受けることが重要です。
提出された書類は支給対象期間延長の条件を満たしているかどうか、内容をしっかりと確認してください。確認不足による誤申請はトラブルにつながるため、慎重なチェックを心がけましょう。

3. 厚生労働省のガイドライン・資料の活用
改正に伴い、厚生労働省が公開しているリーフレットや申告書裏面の注意事項を積極的に活用しましょう。
これらの資料は手続きのポイントや注意点をわかりやすく解説しているため、従業員説明時の参考資料として非常に役立ちます。
従業員の手続き負担軽減に繋がるよう、丁寧なサポートを心がけてください。

まとめ

2025年4月からの育児休業給付金の延長手続きの厳格化により、企業の人事・労務担当者には、これまで以上に正確で迅速な対応が求められています。

今回の改正では、保育所の入所申し込み状況や申請書類の内容が厳しくチェックされるようになり、単に「保育所に入れなかった」という理由だけでは延長が認められません。

企業は新たに追加された申告書の管理や、必要書類の取り扱いに細心の注意を払い、提出期限を守ることが不可欠です。

また、「パパ・ママ育休プラス」などの特例制度の取り扱いにも十分な理解が必要です。厚生労働省の公式資料やリーフレットを活用し、従業員への的確な周知とサポートを行うことで、スムーズな手続きが実現できます。

人事・労務担当者は、今回の改正内容を速やかに把握し、必要書類の管理と従業員支援を徹底することが、企業としての適切な対応につながるでしょう。

本コラムの著者

塩坂 うみ

フリーライター

社会保険関連や企業の人事・労務向けのコラムを中心に執筆するフリーライター。美容関連やクリニック紹介、マニュアル作成などの執筆経験を活かし、読者が理解しやすい、実務に即した記事づくりを心がけている。

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