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育休・産休中の従業員に対する年末調整はどうする?
―令和7年改正も踏まえて解説

年末調整は、企業にとって毎年欠かせない業務のひとつです。
従業員が育休や産休で長期休業している場合、「従業員が育休や産休で休業中の場合はどう対応すればよいのか?」と疑問に思う担当者も多いのではないでしょうか。

さらに今年(令和7年)は、年末調整の申告書類が刷新され、従来以上に正確な事務処理と従業員への案内が求められています。

この記事では、育休・産休中の従業員に対して企業がどのように年末調整を行うべきかを整理し、実務のポイントを解説します。

1. 育休・産休中でも年末調整は必要?

まず押さえておきたいのは、従業員が会社に在籍している限り、年末調整の対象になるという点です。

たとえ育休や産休に入って給与の支給が停止されていても、年の途中までに給与が発生していれば、その分の源泉徴収税額を精算する必要があります。
「休業中で給与がゼロ円だから、申告書は不要」と誤解されがちですが、それは誤りです。
その年に給与が一切支給されていない場合は年末調整の対象外となり、年度の途中まででも給与が支給されていれば申告書提出が必要となります。
人事・労務担当者は、この点を従業員にしっかりと周知しておくことが大切です。

2. 年末調整の対象外となる給付金・手当金

一方で、休業中に受け取る手当のすべてが年末調整の対象になるわけではありません。

たとえば、健康保険から支給される「出産手当金」、雇用保険から支給される「育児休業給付金」、さらに健康保険組合などから支給される「出産育児一時金」などはすべて非課税です。つまり、これらの給付金は課税所得には含まれず、年末調整では給与として計算されません。

育児休業給付金の詳細や申請の流れについては、以下の記事もあわせてご参照ください。

3. 年末調整の必要書類と流れ

育休・産休中であっても、提出してもらう書類は通常勤務の従業員と変わりません。

具体的には、扶養控除等(異動)申告書、給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書、保険料控除申告書、そして住宅ローン控除を受ける場合には住宅借入金等特別控除申告書が必要となります。

書類名 提出対象者 主な内容・役割
扶養控除等(異動)申告書 全員 扶養親族の有無や異動状況を申告し、扶養控除の適用を受けるための書類
給与所得者の基礎控除申告書
兼 給与所得者の配偶者控除等申告書
兼 給与所得者の特定親族特別控除申告書
兼 所得金額調整控除申告書
全員 基礎控除や配偶者控除、所得金額調整控除の適用を申告するための書類
(※令和7年より名称変更)
保険料控除申告書 保険料を支払っている従業員 生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除などを受けるための書類
住宅借入金等特別控除申告書 住宅ローン控除の適用者
(2年目以降)
住宅ローン控除を受けるための書類。初年度は確定申告が必要

流れとしては、通常の年末調整と同じです。
人事・労務担当者は年末調整の時期になったら休業中の従業員にも必ず書類を送付・提出依頼を行い、期限内に回収して精算を進めます。

ただし、休業中で出社していないことが多いため、書類の配布方法や提出期限の管理に工夫が必要です。

1. 書類の配布・依頼
年末調整の時期になったら、まずは必要書類を休業中の従業員に送付します。出社していないため、郵送や電子申告システムを活用しましょう。
案内文を添えて「休業中でも提出が必要であること」「提出期限」を明確に伝えることが重要です。

2. 書類の記入・返送
従業員は、扶養状況や保険料控除などを記入した申告書を返送します。電子システムを導入している場合は、入力画面から直接申告できるため、休業中の従業員にも便利です。
返送漏れを防ぐため、担当者は提出状況を随時チェックしてリマインドすると良いでしょう。

3. 書類の内容確認
返送された申告書を受け取ったら、記載内容や添付書類を確認します。特に、扶養親族や控除証明書(生命保険料控除証明書など)の漏れや誤記は頻出するため、早めに確認して差し戻すことがポイントです。

4. 源泉徴収票との突合・精算
給与支給があった月の源泉徴収税額を集計し、控除の適用後に年間の所得税額を算出します。給与がごくわずかしか支給されていなくても、精算は必ず必要です。
結果として税額がゼロになったり、還付が発生したりする場合もあります。

5. 源泉徴収票の交付
年末調整後は、従業員に源泉徴収票を交付します。休業中の従業員に対しては郵送対応が必要になるケースが多く、翌年の確定申告などに使用するため、確実に従業員のもとへ届けることが重要です。

給与が支給された月がわずかでもあれば、その源泉徴収税額を基に過不足を調整することになるため、原則処理を省略することはできません。

4. 令和7年改正ポイント:書類様式の変更に注意

今年(令和7年)からは、年末調整の申告書に変更があります。

令和7年度からは特定親族特別控除が新たに創設され、「基礎控除申告書」「配偶者控除等申告書」「特定親族特別控除申告書」「所得金額調整控除申告書」が一本化されています。
初めて目にする様式で戸惑う可能性もあり、特に休業中の従業員は社内で説明を受ける機会が限られるため、誤記や提出漏れが起きやすい状況です。

人事・労務担当者は、新様式に基づいた記入例や案内文を用意し、丁寧なサポートが求められます。

年末調整に関する改正内容や書類対応については、以下の記事もご参照ください。

まとめ

育休・産休中で給与が支給されていない従業員も、その年に給与が一度でも支給された場合は、その支給分について年末調整を行う必要があります。

出産手当金や育児休業給付金は非課税で計算対象外となりますが、給与が支払われた月があればその分について必ず精算が必要です。

また、控除の適用や書類の提出は通常勤務の従業員と変わりません。
さらに、令和7年からは申告書の様式が改正されているため、従業員への周知とサポートが重要なポイントになります。

年末調整は従業員の安心につながる業務でもあります。
今年の改正も踏まえ、休業中の従業員が安心して手続きを終えられるよう、企業として丁寧な対応を心がけていきましょう。

本コラムの著者

塩坂 うみ

フリーライター

社会保険関連や企業の人事・労務向けのコラムを中心に執筆するフリーライター。美容関連やクリニック紹介、マニュアル作成などの執筆経験を活かし、読者が理解しやすい、実務に即した記事づくりを心がけている。

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