介護休業給付金は、雇用保険制度の中でも「突発的に対応が必要になりやすい給付金」の一つです。
育児休業と比べて発生頻度は高くないものの、いざ申請が必要になると、提出書類の多さや従業員との連絡方法に悩むケースが少なくありません。
制度そのものはシンプルに見えても、実務では「誰が対象になるのか」「どの書類を、いつまでに用意すべきか」といった点で判断に迷いやすくなります。
本記事では、制度概要の整理だけではなく、申請時に求められる書類・実務上の注意点・業務効率化の視点も解説します。
目次
1. 介護休業給付金とは?
介護休業給付金は、雇用保険の被保険者が、家族の介護を理由に休業した場合に支給される給付金です。
休業期間中の収入減少を一定程度補填することを目的としており、対象家族1人につき通算93日まで支給されます。
介護休業は、制度上、最大3回まで分割して取得できます。
そのため、人事・労務担当者は「1回の休業対応」ではなく、複数回にわたる申請対応を前提に考える必要があります。
2. 支給対象の条件
まず押さえておきたいのが、誰が介護休業給付金の支給対象になるのかという点です。
主な要件は以下のとおりです。(表1)
表1
| 条件 | 内容 |
| 雇用保険の加入状況 | 介護休業開始前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12か月以上 |
| 休業後の状態 | 介護休業後に復職することが前提 |
| 有期雇用労働者 | 契約更新の見込みといった一定の条件を満たす場合に適用 |
この表だけを見ると形式的な条件に見えますが、
実務上は 「復職予定があるか」「契約更新の見込みをどう確認するか」 が判断ポイントになります。
特に有期雇用労働者の場合、雇用契約書の内容や更新実績の確認が不可欠です。
対象となる家族と介護状態
介護休業給付金は、「誰を介護するのか」「どの程度の介護状態か」によって支給可否が決まります。
対象となる家族の範囲は、配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫です。
なお、介護対象家族との同居・別居は要件とされていません。
要介護状態の考え方
負傷や疾病、身体または精神障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態であれば、介護休業給付金の対象となります。
介護保険の要介護認定を受けているかどうかは、必須条件ではありません。
3. 支給額と支給対象期間
介護休業給付金は、次の算式に基づいて計算されます。
給付額=休業開始時賃金日額×支給日数×67%
休業期間中に会社から支払われる賃金がある場合は注意が必要です。
支払われた賃金額が、通常賃金の80%を超えると、その期間は給付金の支給対象外となります。
支給期間は対象家族1人につき通算93日、最大3回まで分割取得が可能です。(表2)
しかし、分割して取得した場合は、合計日数が93日を超えない範囲で支給される仕組みとなっています。
「93日=1回分」ではないので注意しましょう。
表2
| 項目 | 内容 |
| 支給上限日数 | 対象家族1人につき通算93日 |
| 分割取得 | 最大3回まで |
| 就労日数制限 | 1支給単位期間(1か月)につき10日以下 (または就労時間が80時間以下) |
4. 申請手続きと提出書類の整理
介護休業給付金の実務で最も負担になりやすいのが、申請書類の管理です。
申請期限は、介護休業終了日の翌日から起算して2か月を経過する日の属する月の月末までとされており、原則として事業主を経由し、ハローワークへ提出します。
申請期限は比較的長く設定されていますが、書類不備による差し戻しを見越し、早めに準備を進めておくことが重要です。
実際の申請では、以下のような書類を組み合わせて提出することになります。
主な提出書類は以下を参考にしてください。(表3)
表3
| 書類名 | 内容 |
| 介護休業申請書 | 給付金の申請書類 |
| 賃金月額証明書 | 休業前賃金の確認 |
| 介護休業申請書(写し) | 休業事実確認 |
| 家族関係を証明する書類 | 住民票、戸籍謄本など |
| 出勤簿 | 就労状況の確認 |
| 賃金台帳 | 賃金支払い状況の確認 |
介護休業給付金の審査では、休業後の就労状況や被保険者期間を確認するため、追加書類の提出を求められることがあります。
たとえば、支給対象期間の途中で職場に復帰した場合には、実際の復帰日が分かる資料として、出勤簿や復職したことを証明する書類の提出が必要となります。
また、現在在籍している事業所において、賃金支払基礎日数が11日以上(または日数が10日以下であっても総労働時間が80時間以上)の月が、12か月分確認できない場合には、被保険者期間を補完する資料として、前職で交付された「雇用保険被保険者離職票(離職票-2)」の原本の提出が求められます。
出典:厚生労働省 兵庫労働局「介護休業給付申請にかかる提出書類」
離職票の取得方法や電子対応については、以下の記事も参考になります。
分割取得時の注意点
介護休業を93日の範囲内で分けて取得する場合、2回目以降の申請であっても、初回と同様の提出書類一式が求められます。
一度提出した書類が省略されるわけではないため、分割取得を前提とする場合は、初回から継続的な書類管理を意識した運用が重要です。
5. 実務で課題になりやすいポイント
介護休業給付金の対応では、書類を揃えたり申請期間内にハローワークへ提出をしたりするという点が実務上の負担になりやすいです。
また、休業中の従業員とは連絡手段が限られることもあります。会社のメールアドレスを使用できない場合、やり取りが煩雑になり、情報の取りこぼしや確認漏れが発生しやすくなります。
さらに、書類に不備があった場合の再提出対応も工数を増やす要因です。
これらの課題は、介護休業給付金に限らず、育児休業給付金や高年齢雇用継続給付金など、雇用保険給付金全般に共通して見られる実務上の課題となります。
業務負担を軽減するためにも、手続きの流れを整理できるツールやサービスの活用を検討しておくと安心です。
労務手続きを効率化する具体的な考え方については、以下の記事も参考になります。
まとめ
介護休業給付金は、制度理解だけでなく、書類管理と申請フローの設計が実務負担を左右する給付金です。
申請作業の全体像を押さえつつ、その意味や注意点を正しく理解することで、申請対応の精度は大きく変わります。
給付金申請を単発業務として終わらせず、継続的に運用できる体制づくりにつなげることが重要です。
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