採用活動において、候補者の経歴や素性をどこまで確認すべきか悩む企業は少なくありません。
経歴詐称や反社会的勢力との関与、過去のトラブルなど、入社後に問題が発覚すると対応が難しくなるケースもあります。
しかし、採用者の身の回りについて採用面接で聞いてはいけない項目もあり、企業側がどの範囲まで身元調査を行えるのか、適切な確認方法を理解し慎重に行わなければなりません。
本記事では、採用者の身元調査に関する注意点や、法的リスクを避けながら候補者の経歴や信用情報を確認する具体的な方法について解説します。
目次
1. 採用者の身元確認の重要性
企業が採用活動を行う際、候補者の経歴や素行に問題がないかの確認は、組織の安全性を守る上で重要といえます。
入社後に重大なトラブルが発覚すると、解雇の手続きが複雑になり、企業の信用にも影響を与えかねません。
特に、経歴詐称や反社会的勢力との関与、社内外でのトラブル歴などは、企業のコンプライアンスや職場環境に悪影響を及ぼす可能性があります。
しかし、日本の労働法では、正当な理由がなければ簡単に解雇することができません。そのため、採用前の段階でリスクをできる限り排除することが求められます。
一方で、採用時の調査には法的な制約もあり、個人情報保護や差別禁止の観点から、どの範囲まで調査できるのか慎重に判断する必要があるのです。
2. 採用前に確認をしておきたい項目
採用面接では、候補者のスキルや経験を確認する一方で、企業の信用や安全性を守るためにリスク要因の有無も見極める必要があります。
しかし、日本の法律ではプライバシー保護や差別の観点から、面接時に直接質問できない項目も多く、慎重な対応が求められます。
犯罪歴・反社会的勢力との関与
採用候補者が過去に罪を犯していたり、反社会的勢力と関係があったりする場合、企業の信用を大きく損なうリスクがあります。
しかし、犯罪歴を直接質問することは「採用差別」に該当する可能性があります。
対策として、反社会的勢力との関与がないことを面接応募条件とする、または反社チェックツールを活用するといった方法が有効です。
SNSでの不適切発言やトラブル履歴
近年、企業の採用リスクとしてSNSの投稿が問題視されるケースが増えています。
過去に差別的な発言をしていたり、企業の機密情報を漏洩していたりする候補者を採用してしまうと、社内外でトラブルに発展する可能性があります。
ただし、採用候補者のSNSを確認する際は、個人のプライバシーを侵害しない範囲で確認することが重要です。
公開されているSNS情報をチェックし、不適切な投稿や過激な発言がないかを確認することで、企業にとってのリスクを軽減できます。
これらのリスクは、採用前に慎重に確認する必要がありますが、違法な調査を行わないよう注意しましょう。
金銭トラブル・過去の懲戒処分
採用候補者が過去に勤務していた企業で横領や経費の不正利用などの金銭トラブルを起こしていた場合、同様の問題が再発する可能性があります。
しかし、これも面接で直接確認することは難しく、候補者の前職での評価を客観的に知る手段が必要です。
リファレンスチェックを活用し、前職の上司や同僚から候補者の勤務態度や信頼性についてヒアリングすることで、ある程度のリスクを把握できます。
3. 具体的な身元確認方法
採用後のリスクを軽減するためには、採用前に候補者の身元を確認することがポイントです。
ただし、法律の制約があるため、適法な範囲で身元の確認を実施することが求められます。以下では、具体的な確認方法を紹介します。
ツールを活用したチェック
近年、採用リスクを低減するために以下のようなツールの導入をしている企業もあります。
- 反社チェックツールの活用
候補者が反社会的勢力と関わっていないかを確認するツールを活用することで、効率的にチェックが可能です。
導入には一定のコストがかかりますが、企業の安全を守るための有力な手段となります。 - SNSチェック(公開情報の確認)
候補者が過去に不適切な投稿をしていないか、SNSの公開情報をもとに確認する方法です。
特に企業の信用を損なうような発言、差別的発言、企業秘密の漏洩リスクがある投稿などがないかをチェックします。
ただし、SNSチェックの際は個人のプライバシーに踏み込みすぎないように注意しましょう。
興信所や探偵事務所への依頼
特定の職種やポジションでは、より慎重な身元確認が求められるケースもあります。その場合、興信所や探偵事務所などの専門調査機関を活用することが選択肢となります。
探偵や興信所は、「探偵業法」の範囲内で合法的に身辺調査を行います。
依頼する際は、調査範囲や手法を十分に確認することが重要です。
調査機関によって費用は異なりますが、一般的に数十万円以上かかるケースが多いです。
しかし、法律の範囲内で採用候補者の身元確認ができるため、企業が独自に調査を行い違法となるリスクを抑えられます。
リファレンスチェック・バックグラウンドチェック
採用候補者の前職関係者へのヒアリングや、公的情報の調査を行い、虚偽申告やコンプライアンスリスクの有無を確認します。
- リファレンスチェック
前職の上司や同僚に候補者の勤務態度や実績をヒアリングする方法です。
客観的な情報が得られるだけでなく、候補者の強みや適性を把握するのにも役立ちます。 - バックグラウンドチェック
候補者の学歴・職歴が正しいか、公的な情報をもとに調査を行う手法です。
犯罪歴や過去のコンプライアンス違反の有無も確認できます。
事前に十分な確認を行うことで、採用後のトラブルを未然に防ぎ、より適切な人材の確保につなげられるでしょう。
まとめ
採用活動において、候補者の身元確認は企業の信用と安全を守る重要なプロセスです。
採用候補者の身元確認を行うことで、採用後のトラブルを未然に防ぐことができます。
ただし、採用時の調査には個人情報保護や差別禁止の観点から法的な制約があるため、適法な範囲で実施することが求められます。
反社チェックツールの活用、SNSの公開情報確認、リファレンスチェック、探偵・興信所への依頼などをし、調査をする企業のリスクを抑えることも重要です。
適切な調査手段を講じ、リスクを最小限に抑えた上で、信頼できる人材を確保しましょう。
2025年の深刻な人材不足という課題に関して、大手企業の事例を交えて企業が取り組むべき具体的な対策を知りたい方は、以下の記事もあわせてご参照ください。
「Charlotte(シャーロット)」とは?
「Charlotte」は、人事給与システムのデータを活かし、幅広い電子申請(146手続き)に対応。26の人事給与系システムとの連携実績があり、複数のソフトを介さず1つのシステムで行えるSaaS型クラウドサービスです。
●社会保険、雇用保険、労働保険の電子申請 ●36協定や就業規則変更などの労使手続き ●健康保険組合に向けた手続き ●労務担当者が対応する税申告「e-Tax」「eLTAX」に関する申告
さらにオプションとの組み合わせで公文書や離職票、支払い決定通知書を従業員に自動で届けるサービスなど、労務DXの実現により労務ご担当者様の業務負担を軽減します。
総務省推進のASPIC「ASP・SaaS安全・信頼性に係る情報開示認定制度」を取得しています。
認定年月日:2021年2月10日 認定番号:第0245-2102号
デジタル庁 e-Gov最終確認試験合格
デジタル庁の最終確認試験は、民間事業者が開発したソフトウェアを使用してe-Gov電子申請サービスが正常動作確認することを目的としております。民間事業者が開発したソフトウェアの正常動作の確認を目的とするものではありません。
「Charlotte」の開発会社である株式会社ユー・エス・イーは社会保険システム連絡協議会の幹事会社です。
「社会保険システム連絡協議会」とは、総務省行政管理局及び厚生労働省等と、社会保険・労働保険関係手続きの電子申請が可能なソフトウェアを開発・販売・サポートする社会保険システム業界との窓口として、相互の事務連絡、情報交換及び協議等の円滑化を図り、社会保険行政の円滑な執行に資することを目的とした団体です。
「Charlotte」の開発会社である株式会社ユー・エス・イーは税務システム連絡協議会の加盟会社です。
「税務システム連絡協議会」は、税務・会計に関するシステム・ソフトウェアに携わる企業を対象として作られた、税務行政の効率化・省力化とともに納税者の利便性の向上を図り、税務行政のICT化に寄与し、適正な申告納税制度の確立に努めることを目的とした集まりです。1994年に設立され、2022年3月末時点において、税務及び財務関連システムを開発・販売・サポートとする企業33社が加盟しています。
※「Charlotte」は株式会社ユー・エス・イーの登録商標です。(登録商標第5980282号)
※ 本ウェブサイトに掲載されている各社名あるいは各製品名は、各社の登録商標または商標です。