目次
1. 制度策定の背景
異次元の少子化対策として政府は、2023年12月に「こども未来戦略」を策定し、2030年までを少子化の流れを反転させる「ラストチャンス」と位置づけ、社会全体で子育てを支える仕組みを構築する制度として、社会全体で子育てを支援するための「子ども・子育て支援金」の制度を2026年4月から運用を開始することとなりました。
2. 財源を確保する仕組み
社会全体で子育てを支援するため、医療保険の保険料とあわせて徴収することされました。つまり、全世代と企業が「子ども・子育て支援金」を負担し、財源を確保することになります。具体的には、被用者保険に加入する従業員1人あたり月額500円程度の負担が想定されており、企業側もこれに応じた金額を拠出する必要があります。

出典:子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律(令和6年法律第47号)の概要
3. 支援金は何に使われるの?
「子ども・子育て支援金」は、国の特別会計(子ども・子育て支援特別会計、一般会計とは別管理)において、収入と支出とを見える化し、施策の効果検証もしっかりと行うことが「子ども・子育て支援法」に明記され、子ども・子育て以外の目的の施策には使用できず、現段階で確定している施策は以下のように定められています。
① 児童手当(高校生年代まで延長、所得制限の撤廃、第3子以降の支給額増額を実施)※令和6年10月から
② 妊婦のための支援給付(妊娠・出産時の10万円の給付金)※令和7年4月から制度化
③ こども誰でも通園制度(乳児等のための支援給付)※令和8年4月から給付化
④ 出生後休業支援給付(育児休業給付とあわせて手取り10割相当(最大28日間))※令和7年4月から
⑤ 育児時短就業給付(時短勤務中の賃金の10%支給)※令和7年4月から
⑥ 国民年金第1号被保険者の育児期間に係る保険料免除措置 ※令和8年10月から
⑦ 子ども・子育て支援特例公債(支援金の拠出が満年度化する令和10年度までの間に限り、①~⑥の費用の財源として発行)の償還金
出生後休業支援給付や育児時短就業給付の実務対応については、以下の記事もあわせてご参照ください。
4. 企業実務への影響
「子ども・子育て支援金」は、従業員の給与から徴収し、事業主分を合わせて納付する仕組みであることは前述のとおりです。企業の実務への影響と注意すべきポイントについて考えてみましょう。
(1)健康保険料とあわせて徴収するため、健康保険の標準報酬月額により、従業員(被保険者)ごとに徴収額が異なる
健康保険料については、給与明細で金額を従業員に周知しなければなりません。当初は国会で当時の総理が、「給与明細で周知してほしい」旨の発言があり話題になっていましたが、こども家庭庁からは経済団体への事務連絡で「協力をお願いしたい」との表現に留まり、義務とはされませんでした。この点については、給与明細での周知ができない場合でも、何かしらの方法で保険料の一部に「子ども・子育て支援金」があわせて徴収がされていることを周知してほしいとされており、その具体的な方法までの指示はありません。(執筆時点2025年8月)
施行日まで、あまり余裕がないため、今後の情報収集は欠かせませんが、健康保険組合や協会けんぽから示される保険料額表や資料等を標準報酬月額とあわせて従業員に周知したり、標準報酬月額が変更されるタイミングで周知したりするなどの方法が考えられます。
(2)2026年4月の制度施行となり、2026年4月分の健康保険料での徴収(5月の給与より徴収)することで、毎年、健康保険料率が変更されている時期(3月分)と月ずれが生じた場合、4月と5月の給与計算で保険料率を変更しなければならない可能性がある
給与実務担当者としては月ずれが生じた場合に、計算ミスではなく、健康保険料率と「子ども・子育て支援金」の制度施行期日により徴収される健康保険料額が変更になっていることをしっかりと周知しなければなりません。
また、自社で開発した給与システムであれば、システム改修の必要が生じます。「子ども・子育て支援金」を健康保険料と別に計算させ表示するのか、健康保険料とあわせて表示するため保険料率(額)を施行時期にあわせて変更するのか等、早めに方針を決めておかなければなりません。
「子ども・子育て支援金」制度は、健康保険料とあわせて徴収ということですが、企業の実務で考えると、自社の対応を整理しておかなければならないことがあります。自社の加入する健康保険の保険者や、こども家庭庁の発表等に注目し、情報収集を進めていきましょう。
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