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36協定の特別条項とは?
提出期限・上限時間・電子申請の注意点を実務目線で解説

公開日:2026年1月6日

36協定の更新時期が近づくと、人事・労務担当者の実務は一気に慌ただしくなります。
特に多くの企業で期初に合わせて協定を更新するため、3〜4月は36協定に関する検索や確認作業が集中する時期です。

通常の36協定だけで足りるのか、それとも特別条項を付けるべきなのか。
「前年と同じ内容で更新しているが、今の運用に合っているのか不安」「特別条項の書き方や上限時間が正しく理解できていない」という声も少なくありません。

本記事では、36協定の特別条項について、制度の基本から上限時間の考え方、提出期限や電子申請時の注意点までを、実務担当者向けに整理して解説します。

36協定届の実務全体については、以下の記事もあわせてご参照ください。

1. 36協定と特別条項の基本

36協定とは、労働基準法36条に基づき、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超える時間外労働や、法定休日に労働させる場合に必要となる労使協定です。

出典:厚生労働省_時間外労働の上限規制 わかりやすい解説_pdf

36協定を締結・届け出ないまま時間外労働や休日労働を行わせた場合、労働基準法違反となります。

原則として、時間外労働の上限は

  • 1か月45時間
  • 1年360時間

と定められています。

この原則的な上限を超えて労働させる必要がある場合にのみ、例外的に設けられるのが「特別条項」です。

2. 36協定の特別条項とは

36協定の特別条項とは、繁忙期など臨時的かつ例外的な事情がある場合に限り、通常の限度時間を超えて時間外労働をさせることを認める条項です。

特別条項を定めていないにもかかわらず、月45時間・年360時間を超える時間外労働をさせることはできません。

また、特別条項は「恒常的な長時間労働」を容認する制度ではありません。
あくまで一時的な業務増加への対応として位置づけられています。

3. 特別条項で定めるべき内容

特別条項付き36協定を締結する場合、労働基準法および施行規則で定められた事項を協定書に記載する必要があります。
主な項目は次のとおりです。

1か月・1年の上限時間

特別条項を設けた場合でも、次の上限を超えることはできません。

  • 1か月の時間外労働と休日労働の合計:100時間未満
  • 1年の時間外労働時間:720時間以内

なお、1年の上限720時間には休日労働は含まれません。

限度時間を超えられる回数

月45時間を超えることができるのは、1年につき6回以内とされています。
協定書には、その回数を明記する必要があります。

限度時間を超える具体的な事由

「業務多忙」「繁忙期対応」といった抽象的な表現は避け、できる限り具体的に記載することが求められます。

例としては、

  • 突発的な仕様変更への対応
  • 製品トラブルや大規模クレーム対応
  • 特定月に集中する業務への対応

などが挙げられます。

健康福祉確保措置と割増賃金率

長時間労働となる労働者の健康を確保するための措置や、限度時間を超える部分に適用する割増賃金率についても、協定内で定めなければなりません。
(例:医師面接指導、代償休日付与 等)

4. 特別条項があっても超えられない上限

特別条項を定めた場合でも、無制限に残業をさせることはできません。

単月の上限だけでなく、2か月、3か月、4か月、5か月、6か月のいずれの期間を平均しても、時間外労働と休日労働の合計が月80時間以内という制限があります。

この「複数月平均80時間」の規制は見落とされやすいため、実務上は特に注意が必要です。

5. 特別条項付き36協定の締結と提出手続き

特別条項付き36協定を締結する際の一般的な流れは以下のとおりです。

  • 労使協議と協定の締結

    労働組合、または労働者の過半数代表者と協議を行い、合意した内容を書面で締結します。

  • 就業規則の確認・変更

    常時10人以上の労働者を使用する事業場では、特別条項の運用内容が就業規則に影響する場合、就業規則に反映させる必要があります。
    就業規則の変更日は、36協定の効力発生日と合わせる必要があります。

  • 労働基準監督署への届け出

    36協定の提出期限は、協定の効力発生日の前日までです。
    多くの企業では4月1日を効力発生日としているため、3月中の提出が一般的です。
    特別条項付き36協定は、「様式第9号の2」を使用して届け出ます。

6. 電子申請と実務上の注意点・罰則

実務上の注意点
36協定は、労働基準監督署への窓口提出のほか、電子申請にも対応しています。
電子申請は、「24時間いつでも提出できる」「翌年度以降にデータを流用できる」といったメリットがあります。

一方で、入力内容に不備があると「返戻(差し戻し)」となり、再提出が必要になります。
特に注意したい点として、

  • 一般条項と特別条項で同一の事由を記載している
  • 労働者代表の選出方法に関するチェック漏れ

などが、返戻の原因として多く見られます。
更新期限直前ではなく、余裕をもって申請を行うことが重要です。

特別条項付き36協定に違反した場合の罰則
特別条項を定めずに限度時間を超えた時間外労働をさせた場合や、特別条項の範囲を超えた運用を行った場合、労働基準法違反となります。

この場合、行為者には6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金、会社にも30万円以下の罰金が科される可能性があります。

また、36協定自体の届け出を怠った場合も、罰金の対象となります。

36協定の届出方法については、以下の記事も参考になります。

まとめ

36協定の特別条項は、繁忙期などに柔軟な労務運用を可能にする一方で、厳格な上限規制と記載要件が設けられています。

毎年の更新業務では、前年の内容をそのまま踏襲するのではなく、実際の労働時間管理や運用状況と合致しているかを確認することが重要です。

特に提出期限が集中する3〜4月は、電子申請の返戻リスクや記載漏れにも注意が必要です。

制度を正しく理解したうえで、計画的に36協定の更新手続きを進めていきましょう。

本コラムの著者

塩坂 うみ

フリーライター

社会保険関連や企業の人事・労務向けのコラムを中心に執筆するフリーライター。美容関連やクリニック紹介、マニュアル作成などの執筆経験を活かし、読者が理解しやすい、実務に即した記事づくりを心がけている

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