4月入社を控える時期になると、人事・労務担当者の業務は一気に慌ただしくなります。
新卒・中途を問わず入社手続きが集中するなかで、必ず対応が必要となるのが「雇用保険被保険者資格取得届」です。
検索すると記入例や様式解説の記事は多く見つかりますが、実務では「社会保険との同時取得はどう整理するのか」「提出先はどこになるのか」「郵送と電子申請はどちらがよいのか」といった判断に迷う場面も少なくありません。
本記事では、雇用保険被保険者資格取得届の基本から、提出方法・提出後の対応までを、繁忙期の実務を想定しながら整理します。
目次
1. 雇用保険資格取得届の基本
雇用保険被保険者資格取得届は、新たに雇用した従業員が雇用保険の加入要件を満たす場合に提出する届出です。
正社員かパートかといった雇用形態ではなく、週所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあるかどうかが雇用保険加入か非加入の判断基準となります。
4月入社の新卒社員は原則として加入対象となるため、多くの企業では毎年まとまった件数の届出を行うことになります。
提出期限は入社日の属する月の翌月10日までと定められており、期限管理も重要なポイントです。
2. 雇用保険との同時取得で混同しやすい点
入社手続きでは、雇用保険だけでなく健康保険・厚生年金保険の資格取得手続きも同時に発生します。
この際に注意したいのが、提出先がそれぞれ異なる点です。
| 手続き | 提出書類 | 提出先 |
| 社会保険 | 健康保険・厚生年金 資格取得届 | 年金事務所 |
| 雇用保険 | 雇用保険被保険者資格取得届 | ハローワーク |
提出先が異なる点が混同されやすいため、社内フローとして明確に切り分けておくことが重要です。
社会保険の資格取得届は年金事務所へ提出しますが、雇用保険被保険者資格取得届はハローワークが提出先となります。
手続きのタイミングが近いため、提出先を混同したり、社内で管理が煩雑になったりしやすい部分でもあります。
繁忙期に備えて、社内フローの段階で「どの書類を、どこへ、いつ提出するのか」を整理しておくことが、差戻しや提出遅れの防止につながります。
3. 添付書類はどこまで必要なのか
雇用保険被保険者資格取得届には、状況に応じて労働条件通知書の写しなどの添付が求められる場合があります。
ただし、すべてのケースで必須というわけではありません。
実務上は、「紙提出か電子申請か」「マイナンバーを記載しているか」によって、添付書類の要否が分かれるケースが多く見られます。
マイナンバーを正しく記載している場合や、電子申請を利用する場合には、添付書類が省略できるケースも多く見られます。
特に電子申請では、ハローワーク側で過去の被保険者履歴を確認できるため、書類準備の手間が大きく軽減される点が特徴です。
件数が多くなる時期ほど、添付書類の要否を正しく理解しておくことが業務効率に直結します。
4. 記入例を見る前に押さえておきたいチェックポイント
記入例どおりに転記しても、実態と合っていなければ差戻しの原因になります。
特に注意したいのが、資格取得年月日や所定労働時間、賃金額といった項目です。
資格取得年月日は原則として入社日を記載しますが、雇用開始日とずれがないかを必ず確認します。
| 項目 | 内容 |
| 資格取得年月日 | 原則として入社日を記載 |
| 被保険者番号 | 過去に取得歴がある場合は必須 |
| マイナンバー | 記載誤りは差戻しの原因 |
| 賃金額・所定労働時間 | 雇用実態と乖離しないよう注意 |
記入例どおりに転記するだけでなく、「その数字が実態と合っているか」を確認する視点が重要です。
また、過去に雇用保険の加入歴がある従業員については、被保険者番号の記載漏れにも注意しましょう。
形式的な記入だけでなく、「この内容で雇用実態を正しく説明できるか」という視点での確認は必要です。
雇用保険被保険者番号については、以下の記事もあわせてご参照ください。
5. 雇用保険資格取得届の提出先はどこ?
提出先は、従業員の住所地ではなく、事業所の所在地を管轄するハローワークです。
複数拠点を持つ企業では、どの事業所で雇用契約を締結したかを基準に判断します。
「提出先」で検索されることが多いのは、この点が実務上わかりにくいためと考えられます。
繁忙期に迷わないよう、あらかじめ管轄ハローワークを確認しておくと安心です。
6. 郵送で提出する場合
ハローワークの窓口へ行く時間が取れない場合、郵送による提出は有効な方法です。
ただし、郵送の場合の提出日は「消印日」ではなく「到着日」で判断される点に注意しましょう。
| 項目 | 内容 |
| 提出期限 | 入社日の属する月の翌月10日まで |
| 提出日基準 | 消印日ではなく、ハローワーク到着日 |
| 注意点 | 個人情報を含むため追跡可能な方法が望ましい |
被保険者証の返送を希望する場合は、返信用封筒の同封を忘れないようにしましょう。
提出期限ギリギリの発送はリスクが高いため、余裕を持ったスケジュールで準備することが求められます。
また、マイナンバーなどの個人情報を含む書類であることから、追跡可能な送付方法を選ぶことが望ましいでしょう。
7. 電子申請で提出する場合
近年は、e-Govや電子申請アプリケーションを利用した電子申請を選択する企業も増えています。
電子申請であれば、郵送や窓口対応が不要となり、提出状況の確認もオンラインで完結します。
電子申請の主なメリット
- 窓口・郵送対応が不要
- 添付書類の省略がしやすい
- 進捗状況をオンラインで確認できる
新卒一括採用などで件数が多い企業ほど、電子申請による業務効率化の効果を実感しやすいといえます。
添付書類の省略が可能な点も、繁忙期には大きなメリットとなります。
8. 提出後に必要な対応
届出が受理されると、雇用保険被保険者証が交付されます。
内容に誤りがないかを確認したうえで、従業員本人へ速やかに交付し、社内でも写しを保管しておくことが一般的です。
提出して終わりではなく、ここまでを一連の業務として管理することが重要です。
まとめ
雇用保険被保険者資格取得届は、4月入社繁忙期の実務を左右する重要な手続きです。
提出先や提出方法を正しく理解し、郵送と電子申請を使い分けることで、業務負担は大きく変わります。
年明け以降に慌てないためにも、今のうちから手続きの流れを整理し、自社に合った提出方法を検討しておくことが、結果的に人事・労務業務全体の効率化につながります。
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