コロナ禍をきっかけに、多くの企業がテレワークを導入し、働き方に大きな変革がもたらされました。
しかし、2023年以降、海外ではテレワーク廃止の動きが加速しています。特にGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)といった世界的なIT企業が次々とオフィス勤務の回帰を進めることで注目を集めています。
この流れの背景には、「チームの連携強化」や「イノベーション創出」の必要性、生産性を最大化するための環境再構築といった経営者側の課題が挙げられます。
一方、労働者にとっては、通勤負担の再来やワークライフバランスの低下といった不安も少なくありません。
このような国際的な動向は、日本における働き方改革にどのような影響を与えるのでしょうか?
この記事では、海外でのテレワーク廃止の背景を探りつつ、日本の未来の働き方について考察します。
目次
1.テレワーク廃止の背景:生産性の向上を求めて
GAFAMをはじめとする大手企業がテレワーク廃止の動きを見せる背景には、生産性やイノベーションを最大化するための戦略があります。
たとえば、Amazonのアンディ・ジャシーCEOは、2025年1月から完全なオフィス勤務を導入する方針を発表しました。オフィス勤務に伴い、フリーアドレス制も廃止し、固定デスクを再導入するとしています。
その理由についてジャシーCEOは、「過去5年を振り返ると、オフィスで直接顔を合わせて働くことで得られるメリットが非常に大きい」と述べました。
このような動きは、チーム間のコミュニケーション強化や組織文化の再構築を目指したものといえます。特に、偶然の会話や対面での意見交換から生まれるイノベーションの価値が再評価されており、企業は「オフィス」という物理的な場を重要な資産と捉える傾向にあります。さらに、従業員が集中して働ける環境を提供するために、最新設備を導入した快適なオフィスを整備する例も増えています。
2.日本の現状と今後の展望
新型コロナウイルスの影響で日本でも一時的にテレワークが広まりましたが、2023年の国土交通省調査によると実施率は30%未満に留まっています。(図1参照)
出典:国土交通省「令和5年度 テレワーク人口実態調査 -調査結果(概要)-」(PDF)
大都市圏では一定の導入が見られるものの、地方では依然として出社中心の働き方が主流です。この背景には、対面文化の根強さや、テレワーク対応のITインフラが未整備であることが挙げられます。
また、テレワークを効果的に活用するためには多くの課題が残されています。生産性の評価基準が曖昧で、上司が従業員の成果を適切に評価しづらい点や、労働者側の自己管理能力やITツール活用スキルの向上が求められる点がその一例です。
一方で、柔軟な働き方を推進することで地方創生や多様な働き方の促進といった可能性も広がります。テレワークの活用を進めるには、これらの課題に対応する仕組みづくりが欠かせません。
ハイブリッド型勤務と柔軟性の両立
日本では、テレワークとオフィス勤務を組み合わせた「ハイブリッド型勤務」の導入が増加しています。特に、大企業を中心に「週2~3日はリモート、残りは出社」といった柔軟な働き方が採用されており、これにより労働者のワークライフバランス向上や企業の生産性向上、人材確保が期待されています。
一方で、海外ではテレワーク廃止の動きが進む中、日本はテレワークを維持しつつオフィス勤務との最適なバランスを模索する方向に進む可能性があります。労働人口が減少する中、柔軟な働き方の選択肢を提供することが、企業にとって優秀な人材を引き留める鍵となるからです。
また、政府や自治体がテレワーク導入支援やITインフラの整備を強化することで、全国的な普及を目指すことが重要です。これにより、柔軟性と効率性を両立させた新しい働き方として、日本社会に根付くことが期待されます。
3.企業が行うべき対応
今後の働き方の多様化に対応するためには、企業として柔軟な戦略が求められます。
特に、ハイブリッド型勤務の導入は、テレワークとオフィス勤務の両立を実現するための重要な選択肢です。以下の施策を検討することが推奨されます。
ハイブリッドモデルの導入
企業は、従業員のニーズや業務内容に応じて、テレワークとオフィス勤務のバランスを取る「ハイブリッド型勤務」を導入することが求められます。
例えば、特定の曜日にリモートワークを指定したり、必要に応じてオフィスに出社する柔軟なシステムを構築したりすることで、従業員のワークライフバランスを向上させ、業務効率を高められるでしょう。
生産性と従業員満足度の両立
生産性向上と従業員の満足度を両立させるためには、成果主義の導入や柔軟な評価基準を設けることが効果的です。
また、従業員からのフィードバックを重視し、定期的なアンケート調査や面談を通じて、勤務形態に対する満足度を把握し、柔軟に対応する体制を整えることが重要です。
テレワーク政策を見直す際の注意点
テレワークを推進するにあたっては、単に出社を減らすだけではなく、適切なコミュニケーションツールや業務管理ツールの導入が不可欠です。
定期的な社員との対話やチームビルディングの場を設け、リモートワークにおける孤独感や不安感を軽減することも大切です。
テレワーク政策を見直す際には、企業文化や業務内容に合った柔軟な対応を行いましょう。
なお、柔軟な働き方を推進することで、人材不足問題も緩和することがあります。人材不足問題と企業の対応策については以下の記事もあわせてご参照ください。
まとめ
海外ではテレワーク廃止の動きが広がる中、日本においてはその動向に影響されるのではなく、独自の文化や課題に合った働き方改革を進める必要があります。
特に、日本の企業文化に根付いた「対面重視」の姿勢と、働きやすさや生産性向上を両立させる柔軟なアプローチが大切です。これからの働き方は、企業にとっても従業員にとっても「柔軟性」と「バランス感覚」が鍵となるでしょう。
企業側に求められるのは、生産性を重視するだけではなく、従業員一人ひとりのニーズを尊重しつつ、企業全体の生産性向上を目指す適切な施策の導入です。
従業員へ働き方の選択肢を提供し、適切な働き方を提案することで、持続可能な働き方改革が行えるでしょう。
なお、2023年12月22日に閣議決定された「こども未来戦略」に基づき、企業には、男女ともに仕事と育児・介護を両立できるようにテレワークや短時間勤務等の複数の制度から選択し、措置として義務付けられる事項があります。詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
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「Charlotte」の開発会社である株式会社ユー・エス・イーは一般社団法人 人事労務システム協議会の会員企業です。
「一般社団法人 人事労務システム協議会」は、社会保険、労働手続、給与業務、勤怠、源泉徴収所得税・個人住民税(特別徴収)など人事労務の問題解決を推進することを目的とする団体です。行政とHRサービス事業者のつながりや事業者間の協働環境を構築し、相互の事務連絡、情報交換や協議等の円滑化を目指して活動しています。
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「税務システム連絡協議会」は、税務・会計に関するシステム・ソフトウェアに携わる企業を対象として作られた、税務行政の効率化・省力化とともに納税者の利便性の向上を図り、税務行政のICT化に寄与し、適正な申告納税制度の確立に努めることを目的とした集まりです。1994年に設立され、2022年3月末時点において、税務及び財務関連システムを開発・販売・サポートとする企業33社が加盟しています。
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